簿記検定で打歩発行がほとんど出題されない理由

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では簿記検定で打歩発行がほとんど出題されない理由について解説します。

平価発行と打歩発行

満期保有目的債券の期末の評価で平価発行と打歩発行も本質的に同じだと解説しました。ちなみに簿記検定では打歩発行はほとんど出題されません。そもそも打歩発行は現実に行われてているのでしょうか。

利払いのタイミング

  • 額面100円・取得原価104円(打歩発行)・10,000口取得・4年満期・クーポン20,000円(利払い年1回)
  • 額面100円・取得原価100円(平価発行)・10,400口取得・4年満期・クーポン利息10,000円(利払い年1回)

この2つの社債について考えてみます。この社債はどちらも次のようになります。

  • 社債取得原価…1.040,000円
  • 1年間の有価証券利息勘定…10,000円

この2つの社債は本質的には同じものです。しかし、違う点があります。それは発行会社の利払いのタイミングです。

「額面100円・取得原価104円(打歩発行)・10,000口取得・4年満期・クーポン20,000円(利払い年1回)」の社債を発行した場合、発行会社の現金の動きは次のようになります。

  • 発行時…1,040,000円の現金増加
  • 発行1年後…20,000円の現金減少
  • 発行2年後…20,000円の現金減少
  • 発行3年後…20,000円の現金減少
  • 発行4年後(満期)…債券金額1,000,000円+利払い20,000円=1,020,000円の現金減少

それに対して、「額面100円・取得原価100円(平価発行)・10,400口取得・4年満期・クーポン利息10,000円(利払い年1回)」の社債を発行した場合、発行会社の現金の動きは次のようになります。

  • 発行時…1,040,000円の現金増加
  • 発行1年後…10,000円の現金減少
  • 発行2年後…10,000円の現金減少
  • 発行3年後…10,000円の現金減少
  • 発行4年後(満期)…債券金額1,040,000円+利払い10,000円=1.050,000円の現金減少

打歩発行の場合の方が現金が減少する時期が早いのです。

打歩発行のメリットはない

発行会社の立場からは打歩発行のメリットはありません。できるだけ現金の流出は遅らせたいからです。また、社債を買う立場でもメリットはありません。特に買い手が日本の個人投資家の場合、打歩発行はデメリットだらけです。具体的に次のようなデメリットがあります。

  • 取得原価より戻ってくる金額の方が少ないため、金利に対する意識が薄い日本人は買いたがらない
  • 日本の所得税法は打歩発行の債券に対して非常に厳しい

日本人は金利に対する意識が薄い

日本人は金利というものに対して意識が薄いです。給料が翌月払いであっても、受け取るまでの金利を意識する人はほとんどいません。

金利に対する意識が薄いので、上の例で言えば「なぜ1,040,000円で買った社債が満期になって1,000,000円しか戻ってこないんだ。損するじゃないか。」となるのです。打歩発行の方がクーポン金利が高いことはあまり気にしないのです。

このように考える人が多いため、打歩発行の債券を買う人はほとんどいません。

日本の所得税法

日本の所得税法では金利収入に対する費用は認められていません。そのため、上の例で言えば次のようなことになります。

  • 「取得原価-社債金額」である1,040,000円-1,000,000円=40,000円は損失だが、これは費用として認められない
  • 毎年20,000円の利息収入には利息収入として20%課税される

そのため、実際の利息収入は10,000円なのに所得税が20,000円×20%=4,000円かかってしまうのです。実質の税率は4,000円÷10,000円=40%にもなってしまいます。

打歩発行はほとんど行われていない

このような事情により、打歩発行はほとんど行われていません。そのことを反映しているため、簿記検定でも打歩発行はほとんど出題されないのです。

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