貸倒引当金を設定する目的

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では貸倒引当金を設定する目的について解説します。

なぜ貸倒引当金を設定するのか

なぜ貸倒引当金を設定しなければならないのでしょうか。貸し倒れたときに次の仕訳を切ればそれで十分だとは言えないのでしょうか。

借方 金額 貸方 金額
貸倒損失 ××× 売掛金など ×××

実は、これではまずいのです。貸倒引当金設定の目的は企業の正しい経営成績を明らかにするためです。正確な期間損益の算定のため、収益と費用を対応させるためともいえます。

貸倒損失の原因の年は?

貸倒損失が発生した場合、その原因はいつなのでしょうか。前期に売り上げて、当期にその売上によって受け取った売掛金が貸倒れた場合、この貸倒損失の原因は前期にあるのでしょうか。それとも当期にあるのでしょうか。

前期です。前期の売上がなかったら、この貸倒損失も発生しなかったはずです。前期の売上が貸倒損失の原因なのです。ということは、貸倒損失も前期に発生するようにしないとまずいわけです。

しかし、発生していない貸倒損失の正確な金額は分かりません。そこで、合理的に見積もるのです。

費用収益対応の原則

企業会計原則に『費用収益対応の原則』というものがあります。文字通り、費用と収益を対応させなければならないというものです。費用というものは収益を得るために使われた犠牲のようなものです。釣りでたとえれば、費用はエサ、収益は魚です。

この場合、使ったエサと捕った魚は対応していなければなりません。その日の正しい利益を計算するためには次のようにならなければならないのです。

  • 収益…その日に捕った魚
  • 費用…その日に捕った魚を得るために使ったエサ

別の日に捕った魚のために使ったエサをこの費用に混ぜてしまってはいけません。

では、売上の例に戻りましょう。前期に次の仕訳を切っているということは、売上(収益)は前期に計上されているはずです。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 ××× 売上 ×××

それならば、この売掛金から出るであろう貸倒損失(費用)も前期に計上されなければならないのです。

これを費用収益対応の原則といいます。この費用収益対応の原則は、正確な期間損益の算定のために行われます。

正確な期間損益の算定のために貸倒引当金を設定するのです。ちなみに、減価償却を計上する目的も同じです。もう少し言えば、決算整理仕訳のほとんどは費用収益対応の原則に基づいて行われます

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“貸倒引当金を設定する目的” への4件のフィードバック

  1. みかん より:

    ■こんばんは

    いつもお世話になっております。
    少し質問させて下さい。

    質問①
    費用収益対応の原則は理解できるのですが、では貸倒引当金を設定した以上に売掛金を回収できなくなったときの仕訳

    貸倒引当金1000  売掛金1200
    貸倒損失200

    がありますが、この仕訳をおこなったときの
    貸倒損失200は費用収益対応の原則からはずれていることになるのですが大丈夫なのでしょうか?

    質問②
    貸倒引当金を設定するときは3、2級では一般債権を対象に設定していますが、同じ一般債権でもA社の売掛金1000円とB社の売掛金2000があった場合に検定試験では2社の売掛金3000円に対して3%を設定しています。実際は一社ずつ設定するのでしょうか?
    なぜこのような質問をするかというと、期中にB社が倒産したときに貸倒引当金残高が2000あればそれをつかって
    貸倒引当金2000 売掛金2000
    としているのが疑問におもったからです。
    1社ずつ設定するのであればB社の分は2000×3%なら600円しかないような気がします。そのほかの1400円は他社の分のような気がします。

    かなりおかしなことを言っているとは思うのですが、なぜこのようなことを言うのかというと、退職給付引当金の問題で「A社員が退職した。A社員に設定された退職給付引当金は300,000でありA社員に支払われる退職金は500,000であった」という問題をみたことがあり、
    仕訳は
    退職給付引当金30,000 当座預金500,000
    退職給付費用200,000
    でしたので、この場合社員別に引当金が設定されており使う時も他人に設定された引当金はつかえないのかなと感じたからです。

    もしかしたら社員がAしかいないという設定なのかもしれません(仕訳問題でしたのでどういう設定なのかは不明です)。

    すみませんが、いろいろと私が勘違いしている点をご指摘いただけると助かります。
    よろしくお願いします。

    ■訂正です

    1社ずつ設定するのであればB社の分は2000×3%なら60円しかないような気がします。そのほかの1960円は他社の分のような気がします。

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。

      早速ご質問の件ですが、

      質問1

      みかんさんのおっしゃるとおりです。みかんさんが書かれた仕訳例に出てくる貸倒損失は前期の損益を修正する意味があります。

      このような前期の損益を修正する意味があるものは特別利益や特別損失という枠で処理します。この枠は損益計算書の下の方にあります。

      費用収益対応の原則から外れることにはなりますが、費用として計上しないわけにはいかないので、この枠に記入することになります。

      前期損益修正については簿記1級の範囲になっていると思います。

      質問2

      一般債権については1社ずつ設定することはありません。してはいけないわけではありませんが、煩雑になりすぎるからです。

      逆に一般債権以外の債権については個別に貸倒引当金を引き当てることが多いです。

      一般債権以外の債権は過去の実績から貸倒率を設定することができませんし(実績になるほど過去のデータがない)、数も少ないため個別に引き当てても特に手間にはならないからです。

      ちなみに一般債権の貸倒れを一般債権以外の貸倒引当金を取り崩すことで処理することはできません。

      退職給付引当金の例ですが、私もこれだけの情報では正確なところはわかりません。ただ、このような問題の出され方をされた場合はみかんさんの書かれた仕訳を切るしかないかと思います。

      • みかん より:

        お答えありがとうございます。

        問1に関しては1級の範囲だったのですね。
        気にしないでおきます。

        >一般債権については1社ずつ設定することはありません。してはいけないわけではありませんが、煩雑になりすぎるからです。
        >逆に一般債権以外の債権については個別に貸倒引当金を引き当てることが多いです。

        とてもわかりやすく教えていただきありがとうございます。

        >ちなみに一般債権の貸倒れを一般債権以外の貸倒引当金を取り崩すことで処理することはできません。

        追加の情報もとてもありがたいです。

        このたびはお答えありがとうございました。
        今後ともよろしくお願いします。

        • dokuboki より:

          いえいえ、とんでもないです。

          簿記の勉強がんばってください。応援しています。

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