仕入返品の2つの会計処理

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。

仕入返品を行ったときには「(借)買掛金など×××/(貸)仕入×××」といった形で、仕入の逆仕訳を切ると簿記3級で学習します。ですが、深く考えてみると、ここには非常に微妙な論点が隠れていることに気づきます。

この記事では仕入返品の2つの会計処理について解説します。

仕入返品の2つの会計処理

「商品1,000個を1個2,000円で掛で購入し、引取運賃180,000円を現金で支払った」という場合、仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
仕入 2,180,000 買掛金
現金
2,000,000
180,000

この商品の仕入単価は(2,180,000円÷1,000円=)2,180円です。

ではいよいよ返品です。「この商品の一部、100個を返品した」という場合の仕訳について考えてみます。考えられるのは次の2つの仕訳です。

  1. (借)買掛金   200,000/(貸)仕入 218,000
    (借)支払運賃   18,000/
  2. (借)買掛金   200,000/(貸)仕入 200,000

1の仕訳

1の仕訳は返品した商品に対して発生した引取運賃は仕入勘定には含めず、引取運賃として当期の費用としています。

この仕訳を切った後、最初の仕訳は次のように修正されます。

借方 金額 貸方 金額
仕入
支払運賃
1,962,000
18,000
買掛金
現金
1,800,000
180,000

仕入原価が1,962,000円になっているのですが、この金額は「当初の仕入原価2,180,000円×90%」となっています。なので仕入単価は(1,962,000円÷900個=)2,180円のままで返品前と変わりません。

支払運賃が仕入の量に完全に比例する場合は、この仕訳が合理的です。

2の仕訳

2の仕訳は返品した商品に対して発生した引取運賃は仕入勘定に含めることになります。なので、結果的に支払運賃を残り900個に負担させることになります。

この仕訳を切った後、最初の仕訳は次のように修正されます。

借方 金額 貸方 金額
仕入 1,980,000 買掛金
現金
1,800,000
180,000

仕入原価が1,980,000円になっているのですが、この場合は仕入単価は(1,980,000円÷900個=)2,200円に修正されます。同じ支払運賃を少ない商品に負担させることになるので仕入単価が上がるというわけです。

商品の仕入数量に関わらず支払運賃が定額の場合はこの仕訳の方が合理的です。

どちらがいいのか

支 払運賃が仕入量に完全に比例するときは1の仕訳の方が合理的です。逆に支払運賃が完全に定額の場合は2の仕訳の方が合理的です。しかし、実務上はどちらも 極端な料金体系なのでまずありえないと言えます。ではどちらで処理すべきでしょうか。

ちなみに、完全に合理的に処理しようと思えば、返品のつど「この返品分を最初から仕入れなかったと仮定した場合の支払運賃」を計算し、そうなるように調整して仕訳を切るのが理想的かもしれません。ですが、これではあまりに手間がかかりすぎて現実的ではありません。

「返品した分の引取運賃を残った商品に負担させるのは合理的ではない」と考えて1が適切という意見にも一理あります。ですが、実務上は2がほとんどです。支払運賃を計算するのに手間がかかるからです(なので簿記検定でもこの方法で学習します。)。

ただ、2の仕訳を採用した場合、商品有高帳でも単価の修正をしなければなりません。商品有高帳の仕入単価の修正は値引きでも行いますが、この場合は減額修正です。返品での修正の場合は増額修正になります。

試験には出ないので覚える必要はありません。取引の本質を考えるとはどういうことなのかをイメージしてもらえればそれだけで十分です。

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