【簿記2級】売上原価対立法の仕訳をわかりやすく

売上原価対立法は仕訳の数が多くて見た目が複雑なので難しいと感じてしまう方が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん売上原価対立法の仕訳についても熟知しています。

この記事で売上原価対立法の仕訳についてわかりやすく解説します。

この記事を読めば売上原価対立法の仕訳が理解できるので、売上原価対立法が簿記2級の試験で出題されても自信を持って解答することができます。

結論を一言で言うと、売上原価対立法は商品を売り上げたときに「商品」を「売上原価」に振り替える会計処理です。

売上原価対立法：商品を売上げたときに「商品」を「売上原価」に振り替える方法

商品売買の会計処理方法の一つに「売上原価対立法」というものがあります。

売上原価対立法では商品を仕入れたときは「分記法」と同じなのですが、商品を売り上げたときには「売上」を計上すると同時に、「商品」を「売上原価」に振り替えます。

売上原価対立法は「分記法」の発展形といえるもので、分記法と同じ問題があることから「三分法」が使われることになります。

売上原価対立法のメリット

売上原価対立法は「売上」と「売上原価」がリアルタイムで分かるというメリットがあります。

売上と売上原価がリアルタイムで分かるということは「売上総利益」や「売上総利益率」もリアルタイムで分かるということです。

「売上総利益」や「売上総利益率」は経営判断を行うときに非常に大切な数字なので、これらの数字が分かることは大きなメリットです。

また、決算整理仕訳が不要というのもメリットだと言えます。

売上原価対立法のデメリット

売上原価対立法には、販売時にその商品の原価を把握しておかなければ使えないというデメリットがあります。

商品数が多い商売で売上原価対立法を使うのは現実的にかなり難しいと言えます。

売上原価対立法の仕訳

商品の仕入

この例題の仕訳について考えてみましょう。

仕入時の会計処理は分記法と同じです。次のようになります。

借方	金額	貸方	金額
商品	100,000	買掛金	100,000

分記法と売上原価対立法の違いが出るのは商品を売り上げた場合です。

商品の売上

この例題の仕訳は次のとおりです。

借方	金額	貸方	金額
売掛金	150,000	売上	150,000
売上原価	100,000	商品	100,000

売上原価対立法では売上を計上すると同時に、商品という資産の勘定科目を売上原価という費用の勘定科目に振り替えます。

売上という収益の勘定が計上され、売上原価と対立する形になるので売上原価対立法といわれています。

商品の返品

売上返品があった場合は、売上の仕訳の逆仕訳を切ります。仮に上の例の売上が返品となった場合の仕訳は次のようになります。

借方	金額	貸方	金額
売上	150,000	売掛金	150,000
商品	100,000	売上原価	100,000

【まとめ】売上原価対立法の仕訳をわかりやすく

売上原価対立法は商品を売り上げたときに「商品」を「売上原価」に振り替える会計処理です。

売上原価対立法は「売上」と「売上原価」がリアルタイムで分かるというメリットがあります。しかし、分記法と同じように「販売時にその商品の原価を把握しておかなければ使えない」という問題点があります。

そのため、一般的には三分法が使われます。