取得価額と債券金額との差額が金利の調整と認められない場合

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。

金融商品に関する会計基準16には、“取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときには償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額とする”とあります。

「金利の調整と認められる」の意味については満期保有目的債券の期末の評価で解説しました。

この記事では取得価額と債券金額との差額が金利の調整と認められない場合について解説します。

取得価額と債券金額との差額が金利の調整と認められない場合

取得価額と債券金額との差額が金利の調整と認められない場合は、その債券がジャンク債(ハイイールド債)の場合です。

ジャンク債(ハイイールド債)とは…

その社債を発行している企業の倒産のリスクが高い場合、通常の金利では誰も買ってくれません。そこで、社債を発行する企業は社債の額面金額より大幅に低い金額で社債を発行します。このような社債をジャンク債(ハイイールド債)といいます。

また、社債を発行したときは倒産の危険はほとんどなかった場合でも、その後経営状態が悪化して倒産の危険が上がった場合、債券の価格が暴落することもあります。このような場合も倒産の危険が相当に高い場合はジャンク債(ハイイールド債)になります。

ジャンク債(ハイイールド債)に償却原価法が適用できない理由

例えば、満期まで3年の社債があって、その社債を発行する企業がその3年の間に倒産する確率が50%あるとします。この場合、単純に考えて、その社債の取得価額が債券金額の50%以上であれば買うことはないでしょう。確率的に割に合わないからです。

逆に言えばその社債の取得価額が例えば債券金額の25%であれば買うという判断もありえます。

  • 50%の確率でほとんど0になる
  • 50%の確率で4倍になる

このように考えれば、かなり割に合うギャンブルだと考えられるからです。このように考えて社債を取得した場合、取得価額と債券金額との差額を償却原価法を使って帳簿価額を債券金額に近づけていくのは理にかなっていません。債券金額を回収できる確率が低いからです。

償却原価法を適用するということは、ほぼ確実に債券金額で回収できることが前提にあります。回収できることがほぼ確実だからこそ、まだ満期が来ていない社債から有価証券利息という収益を計上することができるのです。

回収できる確率が低いのに、有価証券利息という収益を計上するわけにはいきません。収益にはある程度の確実性が必要なのです。このような理由により、ジャンク債(ハイイールド債)については償却減価法は適用されません。

ジャンク債(ハイイールド債)かどうかの判断基準

具体的には格付け機関が行う格付けが低い社債をジャンク債(ハイイールド債)と言います。

しかし、格付けだけで金利の調整と認められるか認められないかを決めるわけではありません(たいていは格付けに従いますが…)。
格付けそのものがされていない社債も存在します。

資産運用の手段として金利を受け取る目的でその社債を買えば金利の調整と認められますし、割に合うギャンブルだということで社債を買ったのであれば金利の調整とは認められません。

これは客観的な判断基準とはいえないため、検定試験でこの判断が問われることはありません。それどころか金利の調整と認められない場合が出題されたこと自体ほとんどありません。検定試験では特に気にする必要はないと思います。

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“取得価額と債券金額との差額が金利の調整と認められない場合” への2件のフィードバック

  1. わろ より:

    ■無題

    教材では利息的性質として認められる事を前提のみ進められていたので、ずっと疑問でしたのでとても参考になりました!
    試験範囲のみを前提として学習するとどうしても視野狭窄になりがちな為、このような解説は助かります。

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。お役に立ててうれしいです。

      おっしゃるとおりテキストでは差額は金利の調整と認められる前提で書かれています。

      私は試験範囲以外のことも少しだけ学習する方が逆に効率的だと考えています。

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