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赤字でも配当が可能な理由【配当の原資は繰越利益剰余金】

  • 赤字なのに配当している会社があるんだけど……
  • 利益を分配するのは配当なはずなのに、赤字で配当できる理由が分からない
  • 赤字でも配当が可能な理由について教えて!

利益を株主に分配するのが配当金ですが、赤字でも配当金を支払う会社があり、混乱してしまう方が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん赤字でも配当できる理由についても熟知しています。

この記事では赤字でも配当できる理由について解説します。

この記事を読めば赤字でも配当できる理由が分かるので、より深く株式会社の仕組みを理解することができます。

結論を一言で言うと、株式会社には過去の利益が貯められていて、その過去の利益の貯蓄分(内部留保)から配当金を支払っています。内部留保がない状態での配当はできません。

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赤字でも配当を行うのは株価の下落を防ぐため

配当は利益の分配なので、赤字であるならば配当はなくなるのが自然です。実際、簿記の勉強をしていても「獲得した利益の中から株主へ配当する」と学習することが多いです。

関連記事

黒字での配当については「【簿記】剰余金の配当【仕訳と勘定科目をわかりやすく】」で詳しく解説しています。

利益準備金や資本準備金の積立が必要な場合の仕訳については「法定準備金とは【仕訳と計算をわかりやすく】」で詳しく解説しています。

しかし、配当がなくなってしまうと株主が失望して売却し、株価が下がってしまうことがあります。そのような株価の下落を避けるために赤字であっても配当を行うことも多いです。

赤字でも配当が可能な理由は内部留保を原資に配当しているから

「獲得した利益の中から株主へ配当する」というのが原則です。しかし、会社によっては利益が出ていない、つまり赤字であっても配当を行うことがあります。

赤字でも配当を行うことが可能なのは「過去の利益が企業内部にためられているから」です。

企業が利益を出した場合、その利益を全額配当に回すことは通常はありません。

もし全額を配当に回すと、設備投資のための資金が準備できませんし、急に資金が必要になった場合に資金繰りが苦しくなってしまうかもしれないからです。

このような事態に備えるため、当期純利益のうち半分程度は企業の内部にためておくのが一般的です。

当期純利益のうちどれくらいの割合で配当に回すのかを「配当性向」といいます。

この内部にためておいた利益(内部留保)が配当に回っているのです。

配当平均積立金:計画的に配当を行うための積立金

赤字でも配当を出すということは、赤字によって内部留保が減少している上に配当によって内部留保が減少するので、内部留保が急激に減少することになります。

考えなしに赤字での配当を行っていたら企業の財政状態が悪化してしまいます。

そこで、計画的に配当を行うために積み立てるのが「配当平均積立金」です。黒字のときに配当平均積立金を積み立てておき、赤字になったときは配当平均積立金を取り崩すことで配当の原資にします。

こうすることで黒字のときも赤字のときも安定して配当することができます。

配当平均積立金の積立は任意です。配当平均積立金を積み立てていなければ赤字での配当ができないというわけではありません。

しかし、内部留保がない状態での配当は違法配当(会社法違反)になるので注意が必要です。

【まとめ】赤字でも配当が可能な理由

株価の下落を避けるため、赤字であっても配当を行うことがあります。赤字の場合は内部留保を原資に配当を行います。

黒字であっても赤字であっても安定して配当を行うために「配当平均積立金」を積み立てておくことがあります。

黒字のときに配当平均積立金を積み立てておき、赤字になったときは配当平均積立金を取り崩すことで配当の原資にします。

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コメント

  1. 吉原 輝 より:

    ありがとうございます。
    内部留保有で配当を行う場合、海外子会社と日本の本社ではそれぞれどれぐらい税金が惹かれますでしょうか。

    • 平野 より:

      コメントありがとうございます。税金を支払うのは受け取った側なので、受け取った側がどういった状況なのか(個人なのか法人なのかなど)で異なります。

      個人が日本で受け取る場合であれば外国株式からの配当の方が税負担は一般的に大きいです(外国と日本の両方で税金がかかるため)。

      ・国内株式:20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
      ・外国株式:外国で税金を引かれたあと、残額に20.315%

      税率は変わる可能性があるので、注意が必要です。

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