勘定科目の考え方~有価証券利息と受取利息の違いなど

Pocket

勘定科目は最初から無理に覚えようとする必要はありませんが、簿記の学習を進めていきながら自然と覚えてしまう必要はあります。勘定科目を自然と覚えてしまうためには、勘定科目の考え方を理解しておくと近道です。この記事では勘定科目の考え方について解説します。

勘定科目の考え方

勘定科目の考え方として身につけておくと便利なものは次の4つです。

  • 有価証券利息と受取利息と受取配当金を区別する意味
  • 「受取」と「支払」がつく勘定科目とつかない勘定科目の違い
  • 「有価証券への投資から得られる利益」を意味する勘定科目を合算する意味
  • 支払利息と手形売却損と社債利息を区別する意味

≫有価証券利息とは何かについて知りたい方は社債利息の受け取りの取引と仕訳をご覧ください。

有価証券利息と受取利息と受取配当金を区別する意味

「受取利息」とよく似た勘定科目に受取配当金有価証券利息があります。

  1. 受取利息…貸付金や普通預金に対する利息
  2. 受取配当金…他社の株式を保有している場合に受け取る配当金
  3. 有価証券利息…国債や他社の社債を保有している場合に受け取る利息

これらは全て収益の勘定科目です。この中で、2は配当金であり、他の2つとは性質が異なるので区別すべき理由はあります。

ですが1と3はどうでしょうか。両方とも利息なので区別する意味はないとも考えられます(有価証券利息は受取利息の一部に含めてもいいのではないかということです。)。

ですが、この2つを区別しない場合はほとんどありません。実務でもそうですし、簿記検定でもほとんどの場合において区別されています。有価証券利息は有価証券(社債など)から得られる収益、受取利息は貸付金などから得られる収益という違いがあるからです。

余談ですが、有価証券利息という勘定科目は少しだけ収益なのか費用なのかが分かりにくいという欠点があります。

「有価証券は資産であり、その有価証券から発生する利息なのだから費用であるはずがない」というようにきちんと考えれば有価証券利息が収益であることはすぐに分かるのですが、やはり言葉だけ見ると一 瞬迷ってしまうところもあります。

このような欠点があるにも関わらずわざわざ区別しているということは明確な理由があるはずです。理由は「受取配当金と有価証券利息の合計額を分析できるようにするため」です。

企業が他社の株式や社債を取得した場合、短期的な値上がりを期待して取得したのであれば株式であっても債券であっても売買目的有価証券という勘定科目を使います(目的が異なれば他の勘定科目を使います。)。

それに対して、株式から受け取った利益の分配は「受取配当金」に、債券から受け取った利益の分配は「有価証券利息」に集計されます。

つまり有価証券の分類は取得する目的別で区別され、そこから受け取った利益の分配は株式か債券かで区別されているのです。

なので投資した有価証券からどれだけの利益が得られたのかを知るためには「売買目的有価証券などの勘定科目」と「受取配当金と有価証券利息の合計額」を比較しなければなりません

このとき有価証券利息と受取利息が区別されていなければ非常に困ってしまうことになります。このように「勘定科目が区別される理由」を考えてみると勘定科目を自然と覚えやすくなります

「受取」と「支払」がつく勘定科目とつかない勘定科目の違い

勘定科目には「受取」とつくものや「支払」とつくものがあります。

「受取」とつくものの例

  • 受取手形
  • 受取利息
  • 受取手数料

「支払」とつくものの例

  • 支払手形
  • 支払利息
  • 支払手数料

逆につけないものには「営業費」や「給料」などがあります。「支払営業費」や「支払給料」といった勘定科目は通常使われないものです。

理由は「営業費や給料は企業が受け取ることはないから」です。「支払」や「受取」をつけるのは資産と負債の区別、収益と費用の区別をしっかりと行うためです。

手形は約束手形為替手形という区別はありますが、支払うときに使う手形と受け取るときに使う手形は同じものです(渡す手形と渡される手形は同じなので当然といえば当然です。)。

ですが、資産となるときは「受取手形」、負債となるときは「支払手形」と区別しているのです。

同様に利息も収益となるときは「受取利息」、費用となるときは「支払利息」と区別しているのです。「勘定科目は資産・負債・資本・収益・費用の区別がつきやすいような名前をつける」と考えると「支払」や「受取」の使い方が分かります。

「有価証券への投資から得られる利益」を意味する勘定科目を合算する意味

先ほどお伝えしたように、株式であれ債券であれ、有価証券への投資から得られる利益は総合的に考えることが投資の効率を考える上では重要です。しかし、「有価証券への投資から得られる利益を意味する勘定科目」は「受取配当金」と「有価証券利息」だけではありません。

有価証券への投資で得られる利益を全て書き出すと次のようになります。

株式への投資で得られる損益

  • 受取配当金
  • 有価証券評価損
  • 有価証券評価益
  • 有価証券売却損
  • 有価証券売却益

債券への投資で得られる損益

  • 有価証券利息
  • 有価証券評価損
  • 有価証券評価益
  • 有価証券売却損
  • 有価証券売却益

これらの合計額が有価証券への投資で得られる損益です。そう考えるとこれらの勘定科目を区別する必要はなさそうです。これについては、実は区別しない場合もよくあります。次のようなパターンが一般的です。簿記3級の試験でも次のパターンはよく出題されます。

  • 「有価証券評価損」と「有価証券評価益」をまとめて「有価証券評価損益」とする
  • 「有価証券売却損」と「有価証券売却益」をまとめて「有価証券売却損益」とする

また、学習が進んでいくと次のようなまとめ方もあります。

  • 売買目的有価証券から発生する「有価証券評価損益」「有価証券売却損益」「受取配当金」「有価証券利息」をまとめて「有価証券運用損益」とする

ここまで勘定科目をまとめてしまうと「配当の受取」「有価証券利息の受取」「売買目的有価証券の売却損益」「売買目的有価証券の評価損益」が全て同じ勘定科目で表されることになるので、試験的には好ましくありません。

勉強が進んで簿記1級に入る頃になると時々見かけるようになります。

このように勘定科目がまとめられるときは、分ける意味が少ない場合に多いです。勘定科目がまとめられているときにはなぜまとめられているのかを考えてみると勘定科目を覚えやすくなります

支払利息と手形売却損と社債利息を区別する意味

「支払利息」とよく似た勘定科目に手形売却損社債利息があります。

  1. 支払利息…借入金に対する利息
  2. 手形売却損…手形を支払期日前に割り引いたときに支払う利息分
  3. 社債利息…社債を発行している場合に支払う利息

これらは全て費用の勘定科目です。なので勘定科目を区別しないことも考えられます。

このうち、3の社債利息は負債に計上されている社債と対応させることに意味があります。なので他の勘定科目と合わせてしまうわけにはいきません。この点については特に問題なさそうです。

ただ、社債利息という勘定科目は少しだけ収益なのか費用なのかが分かりにくいという欠点があります。ですが、「社債は負債であり、その社債から発生する利息なのだから収益であるはずがない」というようにきちんと考えれば社債利息が費用であることは分かります。

では1と2はどうでしょうか。手形売却損は一見利息とは異なるもののように見えますが、手形を期日前に割り引くことで割引日から支払期日までの利息の支払が手形売却損です。意味的には支払利息と同じだともいえそうです。

ですが、この2つを区別しない場合はほとんどありません(以前は手形売却損は「手形割引料」という勘定科目が使われていて「支払利息および割引料」という勘定科目にまとめられる場合もありました。ですが、今はほとんどありません。)。なぜでしょうか。

理由は「手形の割引は資産の売却だと考えるため」です。つまり「手形の割引」は「有価証券の売却」などと同じ資産の譲渡にあたるということです。

実はこの点については非常に難解な論点があり、手形の割引が「資金の借入」なのか「資産の売却」なのかは非常に微妙なのです。

ですが、会計基準では手形の割引は資産に売却にあたるため、「手形売却損」という「有価証券売却損」と似た勘定科目で処理することになっています。

このように勘定科目が区別されるのに、深い理由がある場合もあります。ちなみに、この論点は簿記1級でも問われることはありません(もし問われても合否に影響することはありません。)。

メルマガ登録フォーム

簿記革命メルマガ「簿記革命通信~簿記1級にラクラク合格する方法~」の登録フォームです。



お名前(名字のみ漢字でお願いします)

メールアドレス

Pocket

タグ:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ページトップへ