- 簿記を勉強していると社債の利息を受け取る取引が出てきたんだけど……
- 社債の利息を受け取ったときにどのように処理するのか分からない
- 社債利息について教えて!
債券を保有していると利息がもらえます。しかし、ほとんどの人は債券を見たことがないので、債券の利息をイメージすることが難しいと感じてしまう方が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん社債利息についても熟知しています。
この記事では簿記2級に合格するために必要な社債利息の知識について解説します。
この記事を読めば社債利息が簿記2級の試験で出題されても自信を持って解答できるようになります。
結論を一言で言うと、受け取った社債利息は現金として処理することになります。使用する勘定科目も現金です。
債券:国や企業が資金を借り入れるために発行した証券

債券とは国や企業が資金を借り入れるために発行する証券です。
発行された債券を受け取ると同時に現金を渡し、満期時に債券を渡して現金を受け取ります。これが債券の取引です。
『債券』を『借用証書』に替えると貸付金と同じです。本質的に、国債や社債などの債券を買うということはお金を貸し付けることなのです。
お金を貸し付ければ利息を受け取れるように、国債や社債などの債券を保有している場合も利息を受け取ることができます。
社債利息の利札の支払期日が到来したら現金として処理する

債券には利息の金額と支払期日が書かれた利札というものが何枚もついています。そして、支払期日を迎えた利札を金融機関などへ持っていくと現金に換えてもらうことができます。
支払期日到来済みの債券の利札は現金です。
支払期日到来済みの債券の利札が現金であるという点については「簿記における現金」で詳しく解説しています。
利札の支払期日が到来するということは現金を受け取ることと同じです。利札の支払期日の到来は『(借)現金×××』となります。
社債利息を受け取ったことによる収益は有価証券利息

貸方は有価証券利息という勘定を使って処理します。社債利息ではありません。社債利息は社債を発行した会社が使う勘定科目です。社債利息は費用の勘定になります。
また、受取利息でもありません。受取利息は貸付金から利息が発生したときに使用する勘定科目です。
有価証券利息と受取利息の区別については「勘定科目の考え方~有価証券利息と受取利息の区別など」で詳しく解説しています。
社債を保有している場合は社債利息ではなく有価証券利息という収益の勘定を使います。
社債利息の計算方法:実務では日割、試験では問題文の指示に従う

社債の利息の計算は、本来は日割りで計算します。しかし、試験では月割りの方が多いです。
1年分の社債の利息は社債の額面総額にクーポン利率(社債に記載されている利率)をかけて求めます。
1年分の社債の利息を12で割って1ヵ月の利息を求めて何か月単位で計算するのが月割り、365で割って1日の利息を求めて何日単位で計算するのが日割りです。
試験では問題の指示が最優先です。問題文から日割りで計算すべきか月割りで計算すべきか判断するようにして下さい。
日割計算については「手形の割引の取引と仕訳」で詳しく解説しています。
社債利息の受取の仕訳

社債利息の受取
A株式会社の社債額面総額1,000,000円(年利6%、利払日年2回)の利札が支払期日を迎えた。
この例題の仕訳を考えてみましょう。
利札の支払期日が到来したということは現金を手に入れたということです。『(借)現金×××』となります。
問題はその金額です。社債額面1,000,000円で年利が6%ということは、1年間に受け取る利息は(社債額面総額1,000,000×年利6%=)60,000円となります。
利払日が年2回あるということは、半年ごとに利払日がくるということです。
この例題では、利札には半年分の利息が記載されています。半年分の利息は(1年間に受け取る利息60,000円÷2=)30,000円となります。よって『(借)現金30,000』です。
貸方は有価証券利息になります。社債利息ではなく有価証券利息です。よって『(貸)有価証券利息30,000』となります。
まとめると次のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 30,000 | 有価証券利息 | 30,000 |
【まとめ】社債利息の受取

支払期日到来済みの債券の利札は現金として処理します。社債から利息を受け取った場合は、社債利息ではなく有価証券利息という勘定科目を遣います。
利息は日割りが原則ですが、試験では月割りで出題されることが多いです。問題文の指示にしたがって解答する必要があります。
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