個人事業主に簿記の勉強は何級まで必要なのか?【3級までで十分】

  • 個人事業主に対応した簿記を勉強しようと思ってるんだけど……
  • 個人事業主は簿記の勉強をした方がいいのか分からない
  • 必要なら何級まで勉強したらいいのか教えて!


2019年4月から簿記3級の学習内容が個人事業主向けではなくなりました。このことによって、個人事業主がどのように簿記を勉強したらいいのか分からないというケースは非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。簿記3級が個人事業主向けだった頃から簿記に携わってきましたし、個人事業主の方に簿記をご指導させてもいただきました。

この経験から、個人事業主の方がどのように簿記を勉強するとよいのかよく知っています。

この記事では個人事業主は簿記を勉強した方がいいのか、勉強した方がいいのであれば何級まで勉強した方がいいのかについて解説します。

この記事を読めば個人事業主が簿記を勉強すべき理由と方法が分かります。

結論を言うと、個人事業主は簿記3級までを勉強しておくことで、多くのメリットがあります

個人事業主が簿記を勉強する3つのメリット

節税することができる

個人事業主は帳簿をつけることができなくても事業自体は行うことができます。個人事業主は通常は小規模で事業を行っているので、帳簿についてもそれほど厳しい義務は課されていません。

しかし、個人事業主も納税の義務はあります。その納税の申告方法には記帳の程度に応じて次の3つがあります。

  • 白色申告:記帳の義務はほとんどない
  • 青色申告(10万円控除):単式簿記での記帳
  • 青色申告(55万円控除):複式簿記での記帳

それぞれの特徴を表にまとめると次のとおりです。

白色申告青色申告(10万円控除)青色申告(55万円控除)
記帳の義務なし単式簿記での記帳複式簿記での記帳
推定課税されるされないされない
青色申告特別控除なし10万円55万円
損失の繰越控除できない3年間3年間

白色申告でも単式簿記による記帳は義務付けられているのですが、たとえ帳簿をつけていなくても罰則はありません。

対して青色申告の場合、帳簿をつけなければ青色申告を取り消されます。

青色申告(55万円控除)は「e-Taxによる申告(電子申告)」または「電子帳簿保存」を行うと控除額が65万円になります。詳しくは国税庁のHPをごらんください。

推定課税とは

推定課税とは、税務署から大雑把に利益が計算されて、大雑把に税金が計算されて課税されることです。具体的には同規模の同業他社の金額から推定されることになります。

推定課税には原則として反論できません。

帳簿をつけていないので仕方ないといえば仕方ないのですが「同規模で同業種の別の会社ではこのくらい利益が出ているからあなたも同じくらいの利益が出ているだろう。だからこれだけ税金を払ってください」といった形で課税されます。

青色申告特別控除とは

所得から一定の金額を差し引くことができる制度のことを所得控除といいます。所得控除の一つが青色申告特別控除です。

青色申告特別控除が10万円であれば所得を10万円減らすことができます。青色申告特別控除が55万円であれば所得を55万円減らすことができます。所得が減れば納税額も減ります。

納税額がいくら減るのかは所得税率が何%なのか、つまりどれだけ利益を上げているのかによります。

損失の繰越控除

今年の損失を翌年以降に繰り越して翌年以降の利益から控除することができる制度を「損失の繰越控除」と言います。

仮に今年100万円の損失が、翌年に150万円の利益が出た場合の翌年の課税所得

  • 損失の繰越控除あり:翌年の課税所得=150万円‐100万円=50万円
  • 損失の繰越控除なし:翌年の課税所得=150万円

損失を繰り越せることで税額に与える影響は非常に大きいです。

白色申告で納税すると非常に不利です。そこで、ほとんどの個人事業主は有利な青色申告を選択します。

「青色申告(10万円)控除」でも白色申告よりは圧倒的に有利なのですが、特に有利なのが「青色申告(55万円)控除」です

ただし「青色申告(55万円)控除」を認めてもらうためには複式簿記での記帳が必要になります。複式簿記で記帳するためには簿記3級の知識が必要です。

簿記については税務署でも基本的には教えてくれません。

税金の申告書類に関しては教えてもらえますが、帳簿のつけ方そのものについては会計事務所に見てもらうように言われます。

複式簿記で記帳するために会計事務所にお願いしてしまっては金銭的なメリットがなくなってしまいます。

簿記3級の知識があれば「青色申告(55万円)控除」が受けられます。控除額の差は45万円です。所得税率が10%の人でも45,000円、20%の人なら90,000円毎年税金が安くなります。

簿記3級を勉強するコスパは節税効果だけを見ても相当に高いです。

安心して事業を行うことができる

安心して事業を行うためには、事業の中で現金や銀行預金がどのように動いているのか理解しておくことが必要です。

現金や銀行預金の残高の動きを理解しておかないと「残高不足による引き落とし不能」にもなりかねません。

たとえ一時的にでも支払いができなくなると事業として信用を落としてしまい、場合によっては事業の継続が難しくなってしまいます。

「残高不足による引き落とし不能」を防ぐためには、常に現金や銀行の預金残高が支払いに足りているのかをつかんでおく必要があります。そのためには簿記の力が必要です。

きちんと帳簿をつけていることで「毎月○日には○○円以上残高があれば安心」といった感覚が身についてきます。この感覚があることで本業に集中できます。

資金面での心配があるとどうしても本業に集中できないので、本業にも悪影響が出てしまいます。

無駄な費用をなくすことができる

簿記を身につけておくことで、例えば次のような無駄な費用をなくすことができます。

  • 会計事務所に経理を丸投げすることによってかかる顧問料
  • いくら資金が必要か分からず、無用の借金をして支払う金利
  • 必要な在庫量が分からず、無用の在庫を抱えることで支払う保管料

会計事務所に経理を丸投げすると年間で15万円から30万円くらいの費用がかかります(企業規模によります)。

その上、丸投げしても、事業主にしか分からない多くの確認がされるため、手間は実は減りません。丸投げするより自分で記帳した方が手間は少ないです。

きちんと簿記を身につけて帳簿をつけておけば、このような費用は避けることができます。

個人事業主でも会計ソフトは必須

個人事業主でも会計ソフトは必須です。手書きで帳簿をつけていたり、EXCELで管理したりしている人もいるかもしれませんが、時間のロスが非常に大きいです。

会計ソフトは安いものであれば年間8,000円程度です。時給が2,000円だった場合、本業4時間分です。会計ソフトを使えば会計に使う時間を1年あたり4時間よりもはるかに減らすことができます。

記帳に使う時間を本業に使うことで会計ソフト代はすぐに回収できます。

関連記事

個人事業主におすすめの会計ソフトは「【無料あり】個人事業主におすすめの会計ソフト3選 | 経営15年目の会計のプロが解説」で詳しく解説しています。

個人事業主が簿記を勉強するなら簿記3級まででOK

個人事業主のが簿記を勉強する場合、簿記3級までで大丈夫です。簿記2級までは必要ありません。

「資金に余裕が出てきて有価証券に投資したら簿記2級の範囲である有価証券の勉強をする」といった形で、必要な部分だけ簿記2級の勉強をすれば十分です。

逆に、簿記3級を必要な部分だけ勉強するのはおすすめできません。簿記3級は複式簿記の基本を体系的に学べるので、簿記3級は全部勉強しておくことをおすすめします。

個人事業主が簿記3級を勉強するコツ

現在の簿記3級は「個人事業主」ではなく「小規模の株式会社」に対応しているものになっているので、少しだけ勉強の仕方が難しいです。

暗記不要の簿記独学講座の簿記3級の内容に加えて「引出金」「当期純利益の資本金勘定への振替の仕訳」「決算振替仕訳(個人事業主)」を勉強しておくと個人事業主に必要な内容が身につきます。

確定申告については簿記3級では学習しないので、市販の書籍で最新のものを購入して勉強する必要があります。

税金についての情報は頻繁に変更になるので、必ず最新のものを使ってください。

【まとめ】個人事業主に簿記の勉強は何級まで必要なのか?

個人事業主は簿記3級までを勉強しておくことで、「節税できる」「安心して事業が行える」「無駄な経費を減らすことができる」などの多くのメリットがあります。

簿記3級を勉強する場合、暗記不要の簿記独学講座の簿記3級の内容に加えて「引出金」「当期純利益の資本金勘定への振替の仕訳」「決算振替仕訳(個人事業主)」を勉強しておくと個人事業主に必要な内容が身につきます。

確定申告については別に勉強する必要があります。

個人事業主でも会計ソフトは必須です。個人事業主におすすめの会計ソフトについては「【無料あり】個人事業主におすすめの会計ソフト3選 | 経営15年目の会計のプロが解説」をごらんください。

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