簿記3級の独学は難しい?難しすぎ?1ヶ月は無理?

  • 簿記3級を独学でとろうと思ってるんだけど……
  • 簿記3級を独学でとるのにいくらかかるのか分からない
  • 自分が簿記3級の独学に向いているのか教えて!

「簿記3級は独学で十分」「簿記3級難しすぎ!」など、真逆の情報が流れていることもあり、簿記3級に独学で目指すべきかどうか判断できないというケースは非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。この経験から、簿記3級に独学で合格するための必要な条件は熟知しています。

この記事では簿記3級に独学で合格するための条件、独学で勉強すべきかの判断基準について解説します。

この記事を読めば、あなたが簿記3級に独学で挑戦すべきか、挑戦するならどんなことに気をつけるべきかが分かります。

結論から言えば、簿記3級に独学で合格することは可能だけど、独学で勉強することによって合格が遅れるなら独学でない方がよいといえます。

簿記3級の独学に不利はない

世間では「通学・通信・独学」を比較して、独学が難しいと考える風潮にありますが、実際はそんなことはありません。学習スタイルが違うだけで「通学・通信・独学」に本質的な有利不利はありません。

大切なことは自分に合った勉強スタイルで勉強することです。通学が合っている人は通学で勉強するのが一番合格しやすいです。独学が合っている人は独学で勉強するのが一番合格しやすいです。当然といえば当然です。

独学が難しいと言われている理由は「独学に向いていない人が強引に独学で勉強するから」です。向いていない学習スタイルで勉強すれば難しいのは当たり前です。

独学そのものが難しいのではなく、独学に向いていないのに独学で勉強する人が多いから難しいと言われているのです。通学・通信・独学に本質的な有利不利はありません。

簿記3級の学習教材は独学に適した高品質なものが市販されているので独学が不利になることはないのです。

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簿記3級のテキストは「みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商3級」がおすすめです。簿記3級のおすすめテキストについては「【2021年版】独学向け簿記3級おすすめテキスト【9つのテキストを徹底比較】」で詳しくお伝えしています。

簿記3級に独学で合格できる人の3つの特徴

簿記3級の独学に不利はありませんが、独学向いていない人が独学で勉強することには明確な不利があります。次の3つ全てに当てはまる人は独学に向いている人です。

独学に向いている人の特徴1:疑問点をすぐに解決できる環境にある人

独学で勉強する一番のデメリットは「疑問点を解決するのに時間がかかること」です。本で調べたり検索して調べたりして解決しますが、疑問の内容によっては大変な場合があります。

家族に簿記や会計の専門家がいると理想的ですが、そうでなくても疑問点をすぐに解決することができる環境にあることが必要です。

環境だけでなく技術も必要です。検索するのには技術が必要ですし、疑問点を自力で特定することにも技術が必要です。簿記2級も独学で挑戦していくつもりなら、簿記の実力と合わせて「疑問点を自力で解決する技術」も高めていく必要があります。

簿記3級であれば疑問点そのものが出てこないまま合格できる可能性もあるので、疑問点をすぐに解決できないから簿記3級に合格できないということはありません。しかし、疑問点をすぐに解決できる環境にない人は独学に向かないことは間違いありません。

独学に向いている人の特徴2:自分が何をすべきか自分で判断できる人

独学で勉強する場合は使うテキストや問題集、勉強計画など、全て自分で判断しなければなりません。判断材料はこのブログでもお伝えしていますが、最終的には自分に合ったものを自分で決める必要があります。

自分で使うテキストや問題集を自分で選べないということは、自分がどういう説明が分かりやすいか分からない、自分がどういう勉強をしたら身につくのか分からないということです。

簿記3級であればそれでも独学で合格できることも十分あります。しかし、自分がすべきことを自分で判断できない人が独学に向いているとは言えません。

独学に向いている人の特徴3:自分で決めたことを自分で実行できる人

平日のみ毎日2時間勉強する場合の勉強期間は次のとおりです。

  • 簿記2級以上を目指す場合:約14週(3~3.5ヶ月)
  • 簿記3級までで十分な場合:約10週(2~2.5ヶ月)
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簿記3級の勉強時間については「【社会人向け】簿記3級の合格に必要な勉強時間【1ヶ月は無理?】」で詳しく解説しています。

独学の場合、誰かがスケジュールを組んでくれるわけではありません。すべて自分で管理して行動する必要があります。

独学で簿記3級に合格するためには最低でも2ヶ月の勉強を続ける必要があります。自分で決めたことをすぐに自分でやめてしまう人に独学は難しいです。

この3つを全て満たしている人は独学での勉強に向いている人です。

独学に向いているかどうかに数学の得意・不得意は関係ありません。簿記3級で出てくるのは整数・小数の四則計算だけで、電卓の使用も認められているからです。小学算数ができないなら独学は難しいですが、その心配はいらないでしょう。

簿記3級を独学で勉強するのにかかる費用

簿記3級に独学で合格するのにかかる費用は9,119円です。

  • テキスト(簿記の教科書):1,100円
  • 問題集(簿記の問題集):1,100円
  • 過去問(合格するための過去問題集):1,760円
  • 電卓(EL-N862X):2,309円
  • 受験料:2,850円「商工会議所HPより
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使用するテキスト・問題集と過去問、電卓は私がおすすめしているものです。次の記事で詳しく解説しています。

予想問題集や模擬試験は不要です。予想問題集や模擬試験が不要な理由については「答案練習や模擬試験、予想問題を受ける必要はない4つの理由」で詳しく解説しています。

簿記3級不合格1回あたりのコスト:約35,000円

簿記3級を独学で勉強するのにかかる費用についてお伝えしましたが、通信や通学でも「電卓」「過去問」「受験料」は必要なので、「独学」と「通学・通信」で費用に差が出るのは「テキスト・問題集」だけです。

通学や通信の費用は様々なのですが、およそ25,000円から45,000円です(通学の場合はプラスで交通費がかかります)。独学は2,200円です。

比較するとかなりの差があるように見えますが、費用が安いからという理由で独学を選んで仮に合格が1回伸びてしまうと損になります

簿記3級の試験に不合格だった場合、次の試験までに仮に40時間勉強すると時給800円として32,000円かかってしまうからです。

電卓や過去問は買い換えないとしても、受験料は確実に1回分かかるので、受験料2,850円を加えたら独学にかかる費用と通学・通信にかかる費用の差がなくなってしまいます。

本当に働くわけではないからこの35,000円の費用は机上の空論だと考える人も多いと思います。しかし、働かずに別のことをするということは、働くこと以上にその「別のこと」に価値を見出しているということです。その価値は35,000円以上あると考える必要があります。

1回不合格になるごとに35,000円の費用がかかると考えるのが会計の考え方です。

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「ある選択をしたことで失われた利益」を機会原価と言います。例えば「行けば確実に10,000円手に入れることができる場所に行かなかった」という場合、10,000円の機会原価が発生したと考えます。機会原価は簿記1級の原価計算で学習する内容です。「機会原価と埋没原価から考える独学の隠れたコスト」で詳しく解説しています。

機会原価は少し難しい考え方ですが、理解しておくと実生活でも無駄な損を減らすことができます。

【まとめ】あなたは簿記3級に独学で挑戦すべきか

簿記3級において、独学で勉強すること自体が不利ということはありません。独学で勉強することが向いているのであれば独学で勉強するのが最も効果的です。

独学に向いている人は次の3つを兼ね備えた人です。

  1. 疑問点をすぐに解決できる環境にある人
  2. 自分が何をすべきか自分で判断できる人
  3. 自分で決めたことを自分で実行できる人(最低2ヶ月、簿記の勉強を自分の意思で続けられる人)

独学で勉強すべきかどうか私なりの意見をまとめると次の表のようになります。

当てはまるものコメント
「1,2,3」独学に向いています。ぜひ独学で勉強してください。
「1,2」「1」「2」独学では簿記3級に合格できる実力をつけるまで勉強を続けることができません。独学での合格は難しいので通学や通信をおすすめします。
「2,3」独学での合格は可能ですが、独学に向いているというわけではありません。1回不合格になると独学による費用面でのメリットがなくなります。「独学で勉強することで合格が伸びないか」を基準に「独学にするか」「通学・通信にするか」判断することが大切です。
「1,3」「3」独学での合格は可能ですが、独学に向いているというわけではありません。独学で勉強すべきどうかの判断も難しいので、通学や通信にしておいた方が無難です。
なし独学での合格は不可能に近いです。通学や通信での勉強をおすすめします。

ぜひあなたに合った方法で勉強されてください。それが最もストレスなく、短時間で、しっかりと簿記の実力をつけて合格できる方法です。

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