- 簿記3級の過去問を買おうと思ってるんだけど、どれがいいのかな……
- 過去問の効果的な使い方が分からない
- 過去問を無料で手に入れる方法を教えて!
「過去問は直前期に解くだけでいい」「勉強の最初から解くべきだ」など、真逆のことを言っている人もいて、過去問の使い方が分からないというケースは非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。過去問の使い方は合否に直結するということもあり、過去問の使い方にも精通しています。
この記事では過去問の選び方と使い方、簿記3級の試験傾向とその対策について解説します。
この記事を読めば過去問の選び方や使い方が分かります。過去問の傾向と対策まで解説するので、簿記3級の合格もぐんと近づきます。
結論から言うと、簿記3級の過去問は「TAC:合格するための過去問題集 日商簿記3級」がおすすめで、試験日の2,3週間前から本試験のつもりで解き始めるのがベストです。
簿記3級の過去問は「合格するための過去問題集(TAC)」がベスト

過去問は有名なものが4つの出版社から販売されています。
タイトル | 出版社 | 収録回 | コメント |
合格するための過去問題集 | TAC | 12回 | 基本的に毎回新版が出るので、最新版を買えば直近の過去問も解くことができる。解説も分かりやすい。個人的におすすめ。 |
未来のための過去問題集 | ネットスクール | 11回 | 基本的に年1回新版が出るので、直近の過去問が収録されていない可能性がある。解説は分かりやすい。 |
過去問題集 | 大原 | 12回 | 基本的に年1回新版が出るので、直近の過去問が収録されていない可能性がある。解説がやや淡白で、合格点に届かない人は解説を見ても理解できない可能性がある。 |
ドンドン解ける! | 成美堂 | 15回 | 2021年1月時点で、最新版でも第150回までのものしか収録されていない。 |
価格に大差はありません。過去問は10回分解けば十分なので、全ての過去問が条件を満たしています。TACの「合格するための過去問題集」以外は直近の過去問が収録されていない場合があるのが致命的です。
こういった理由から、TACの「合格するための過去問題集」をお勧めします。
簿記3級の過去問は本試験の2,3週間前から解き始める

テキストと問題集でしっかりと実力をつけたあとに過去問で総仕上げを行います。
勉強開始時点から過去問を使うことを勧める人もいますが、この使い方で簿記を勉強してもほとんど実力がつきません。簿記の考え方を理解することができないからです。
本試験の2,3週間前から「過去10回分を3回ずつ繰り返す」のが理想的な使い方です。6月試験を例に解説します。
6月試験(6月13日が試験日)の場合
6月13日(日)が試験日の場合、次のスケジュールになります。
1回目 | 2回目 | 3回目 | |
前回の過去問 | 5月24日(月) | 5月25日(火) | 6月1日(火) |
前々回の過去問 | 5月25日(火) | 5月26日(水) | 6月2日(水) |
3回前の過去問 | 5月26日(水) | 5月27日(木) | 6月3日(木) |
4回前の過去問 | 5月27日(木) | 5月28日(金) | 6月4日(金) |
5回前の過去問 | 5月28日(金) | 5月29日(土) | 6月5日(土) |
6回前の過去問 | 5月31日(月) | 6月1日(火) | 6月8日(火) |
7回前の過去問 | 6月1日(火) | 6月2日(水) | 6月9日(水) |
8回前の過去問 | 6月2日(水) | 6月3日(木) | 6月10日(木) |
9回前の過去問 | 6月3日(木) | 6月4日(金) | 6月11日(金) |
10回前の過去問 | 6月4日(金) | 6月5日(土) | 6月12日(土) |
このスケジュールで解けば過去問を3回解いて試験に臨むことができます。
過去問の復習は翌日とその1週間後に行っています。この間隔はレミニセンス減少などを根拠にしています。詳しくは「覚えずに身につけるための脳のメカニズムとそれを利用した勉強法を理解する」で解説しています。
もちろん完璧にこのとおりにこなすことは難しいので、多少は前後しても構いません。
簿記の実力をしっかりとつけていれば、120分の過去問も60分程度で解けますし、ほとんど正解できるはずなので答え合わせの時間もほとんど必要ありません。1日に1回分の過去問を解くこともそれほど大きな負担にはならないはずです。
この他、過去問を解く時の具体的な注意点などについては「過去問を解くタイミングと過去問を解くペース」「簿記3級の目標時間と目標得点」でさらに詳しく解説しています。リンク先の記事は簿記1級を目指している人向けの記事なので、簿記3級は60分以内に95点以上得点することを目標にしています。
簿記3級の出題形式と出題論点

過去問を10回分(第145回から第154回まで)分析した結果をお伝えします。
第155回は中止になり、第156回以降はコロナの影響やネット試験との並行運用がなされていてやや特殊な状況なので、第155回以降は分析から外しています。
最初に簿記3級全体について数値的なものをまとめておきます。
この記事では過去問の分析を中心に解説しているので、解答する順番や解答時間などについては比較的表面的な解説になっています。解答する順番や解答時間などについては「【解き終わらない人必見!】簿記3級の時間配分【解く順番も大切】」で詳しく解説しています。
配点 | 目標得点 | 目標時間 | |
第1問 | 20点 | 16点 | 8分(遅くとも10分) |
第2問 | 8~12点 | 6点 | 10分(遅くとも25分) |
第3問 | 30~32点 | 20点 | 35分(遅くとも60分) |
第4問 | 8~12点 | 6点 | 5分(遅くとも15分) |
第5問 | 30~32点 | 22点 | 25分(遅くとも40分) |
合計 | 100点 | 70点 | 120分 |
この表から分かるとおり、第1問と第3問と第5問の配点が大きいので、これらを先に解くのが一般的です。具体的には「第1問→第3問→第5問→第2問→第4問」の順番で解きます。
第1問:仕訳問題(20点)
第1問は仕訳が5問(各4点)出題されます。勘定科目を選択するタイプの問題なのでたとえ正しくても選択肢にない勘定科目を使った場合は不正解になります。
目標時間:8分以内(遅くとも10分以内)
できれば8分以内、遅くとも10分以内で解答することが大切です。これ以上時間を使ってしまうと第3問や第5問に使える時間がなくなってしまいます。
目標得点:16点(5問中4問正解)
仕訳問題はできれば4問正解したいところです。これ以上失点しても合格は不可能ではありませんが、第1問の仕訳問題が解けないのであれば、おそらく第3問や第5問も解けないはずなので合格は厳しくなってしまいます。
出題論点:固定資産が圧倒的に多い
過去10回(第145回から第154回まで)の出題論点は多いものから順に次のようになっています。
第2問:主に補助簿(8点~12点)
第2問は第1問ほど出題内容が決まっていません。補助簿関係の問題が中心ですが、仕訳や勘定記入の問題も多く出題されます。
目標時間:10分以内(遅くとも25分以内)
できれば10分以内、遅くとも25分以内で解答することが大切です。
第2問は配点が小さいので後回しにすることが多く、第1問、第3問、第5問のあとに解くのが一般的です。第1問、第3問、第5問での時間の使い方によっては時間があまり残っていない可能性もあります。
目標得点:6点
配点は小さめですが、できるだけ得点したいところです。第2問は比較的解きやすい問題が出題されることも多いです。
出題論点:補助簿と仕訳・勘定記入が半々
第2問は補助簿の問題と「仕訳・勘定記入」の問題が半々の割合で出題されています。
第3問:主に試算表(30点~32点)
第3問は主に試算表が出題されます。試算表の中でも「月初の試算表が与えられ、そこに1ヶ月の取引を加味して月末の試算表を作成する」というタイプの問題が多いです。
目標時間:35分以内(遅くとも60分以内)
第3問は難易度にばらつきが多いです。簡単な回であれば35分での解答を、難しい回でも60分以内で解答することが大切です。60分以上かけてしまうと第5問に時間がかけられなくなってしまう可能性があります。
目標得点:20点
どんなに難しくても20点は取りたいところです。第3問は配点が大きいので、ここでこれ以上失点してしまうと合格が難しくなります。不合格になってしまう理由で一番多いのが「第3問での大量失点」です。ここが正念場なのでがんばって得点して下さい。
出題論点:主に試算表が出題される
ほとんどが「試算表→日々の取引→試算表」のパターンです。合計試算表も残高試算表もどちらもありえます。合計試算表と残高試算表を読み間違えると、それだけで不合格になってしまうほど大量失点するので、ここだけは絶対に確認してください。
第4問:主に伝票(8点~12点)
第4問は主に伝票が出題されます。伝票の問題は仕訳がきちんとできれば解けるので、しっかりと仕訳を身につけておくことが大切です。
目標時間:5分以内(遅くとも15分以内)
第4問は難易度にばらつきが多いです。簡単な回であれば5分での解答を、難しい回でも15分以内で解答することが大切です。第4問は最後に解くことが多いので、他の問題に時間を使っていた場合、そもそも時間があまりありません。
他の問題が難しくても第4問に10分は残しておきたいです。
目標得点:6点
どんなに難しくても6点は取りたいところです。難しい問題が出題された場合であっても仕訳さえできれば6点は取れます。
出題論点:主に伝票が出題される
約半分は伝票が出題されます。伝票の問題は仕訳ができれば解けるので、しっかりと仕訳を身につけておくことが大切です。
第5問:精算表と財務諸表が半々(30点~32点)
第5問は精算表の問題と財務諸表(貸借対照表と損益計算書)の問題が半々の割合で出題されます。どちらも決算整理に関する問題なので、決算整理仕訳をしっかりと身につけておくことが大切です。
目標時間:25分以内(遅くとも40分以内)
第5問は難易度にばらつきが多いです。簡単な回であれば25分での解答を、難しい回でも40分以内で解答することが大切です。40分以上かけてしまうと第2問と第4問に時間がかけられなくなってしまう可能性があります。
目標得点:22点
第5問は第3問よりも出題形式に変化がありません。出題される仕訳も第1問よりもパターンが少ないです。毎回同じような問題が出題されるので、得点が取りやすいです。目標は22点としていますが、十分満点が狙えます。
出題論点:いつも出る決算整理仕訳は決まっている
過去10回(第145回から第154回まで)の出題論点は多いものから順に次のようになっています。
第5問で出題される決算整理仕訳はほぼ決まっています。満点を狙いたいところです。
簿記3級の過去問を無料で手に入れる方法

過去問は著作権の関係もあり、インターネットでは無料で入手することができません。しかし、大原に資料請求をすることで、直近1回分に限り、郵送で過去問を送ってもらうことができます。
≫大原過去問請求ページ(第156回)
資料請求することにより、営業電話がかかってくる可能性があります。営業電話がかかってくるのが嫌な人は購入してください。
解答用紙についてはTAC出版書籍販売サイトで無料ダウンロードができますので、何度でも挑戦することができます。
≫おすすめの過去問はTACの「合格するための過去問題集」です。
≫TAC出版:解答用紙無料ダウンロードサービス
- 過去問を解く時の具体的な注意点などについては「過去問を解くタイミングと過去問を解くペース」「簿記3級の目標時間と目標得点」でさらに詳しく解説しています。この記事は簿記1級を目指している人向けの記事なので、簿記3級は60分以内に95点以上得点することを目指しています。
- 簿記3級の学習内容については「暗記不要の簿記独学講座-簿記3級」で詳しく解説しています。仕訳を中心にしっかりと身につけて高得点で合格してください。
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