【2021年版】独学向け簿記1級おすすめテキスト【5つのテキストを徹底比較】

  • 簿記1級のテキストを買おうとと思ってるんだけどどれがいいのかな……
  • 自分に合ったテキストが分からない
  • 簿記1級のテキストの特徴を教えて!

簿記1級のテキストの種類はそれほど多くありませんが、内容が高度なため選ぶことができないというケースは非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。職業柄、市販のテキストにも精通しています。

この記事ではテキストの選び方や市販されているテキストの特徴について解説します。

この記事を読めばあなたに合ったテキストが分かるので、効果的に簿記1級の勉強を進めていくことができます。

【重要】簿記1級のテキストを選ぶ前に簿記2級の過去問を90分以内に90点以上取る実力をつけること

簿記1級のテキストを選ぶ前に簿記2級の過去問を90分以内に90点以上取る実力をつけることが大切です。

簿記2級の実力をほぼ完璧といえるところまで高めておかないと、どのテキストを使っても簿記1級に合格することはできません。

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簿記2級の過去問を90分以内に90点以上取る実力があるのであれば、簿記2級の勉強方法は問いません。独学用のテキストであれば「簿記の教科書 日商2級」か「とおるテキスト」がおすすめです。

簿記2級のテキストについては「【2021年版】独学向け簿記2級おすすめテキスト【8つのテキストを徹底比較】」で詳しく解説しています。

簿記2級の実力を測るという目的で過去問を解く場合は、前回の問題練習から少なくとも1ヶ月空けて解いた方が正しく判断できます。

前回解いたときの記憶が残っている状態で解くと実力以上の点数が出てしまいます。

簿記1級のテキストを選ぶときのポイント

簿記1級のテキストはそれほど多くはありませんが、何らかの基準がなければ選ぶことは難しいです。そこで、最初に簿記1級のテキストを選ぶときのポイントをお伝えします。

簿記1級のテキストに必須の4つの要素

最新の出題範囲や会計基準に対応していること

簿記1級のテキストを選ぶときは最新の出題範囲や会計基準に対応しているものを選んでください。実際に内容を見て判断するのは初心者には難しいので、最新版を選んでおけば大丈夫です。

簿記1級の商業簿記・会計学において2019年度に特に大きな試験範囲の変更がありました。2019年4月以降に発売されているもの、「2019年度改正対応」といった説明があるものを選ぶことが大切です。

工業簿記・原価計算については会計基準も試験範囲もずっと変更がありません。多少古い版であっても大丈夫です。

説明が分かりやすいこと

あなたにとって説明が分かりやすいことが大切です。あなたの主観で選んでください。誰にとっても分かりやすい説明というものは存在しません。

この記事の後半でテキストの分かりやすさなどを解説しますが、私と意見が違う場合はあなたの意見を優先させてください。

同じ言葉の説明であっても「説明が少なすぎて分かりにくい」という感想を持つ人もいれば「簡潔で分かりやすい」という感想を持つ人もいます。

本屋の立ち読みでもAmazonの試し読みでも構いませんので、必ず自分の目で見て分かりやすいものを選んでください。

率直に言って、市販されている簿記1級のテキストに分かりやすいものはありません。

内容自体が高度なうえ、試験範囲が膨大なので分かりやすくしようとすると採算が合わないものと推測されます。

どのテキストで勉強するのにしても、簿記2級までを完璧に身につけ、その実力をもって行間を埋めながら勉強していく必要があります。

図解が充実していること

本当は図解がなくても分かりやすければいいのですが、現実問題として文字だけで簿記を分かりやすくすることは難しいです。

図解があることで、経営活動のイメージがしやすくなります。図解が充実していて分かりやすいと思うものを選んで下さい。

ここでいう「図解」は「イラスト」とは違います。最近は動物などのイラストを使ったテキストが多いですが、イラストは少ない方がいいです。

イラストにはとっつきやすくなる効果はありますが、簿記を理解しやすくなる効果はありません。

そのテキストの内容を身につければ合格点を取れること

そのテキストの内容を身につければ合格点を取れるものを選ぶことが大切です。「簿記1級テキスト」と名づけられていても、簿記1級の合格レベルに届くかどうか微妙なものが多いです。

簿記1級のテキストに不要なもの3つ

解答テクニックは不要

簿記1級の内容になるといくつかの解答テクニックは必要になりますが、解答テクニックは教わるものではありません。

教わった解答テクニックを本試験レベルの問題で自在に使いこなすことは不可能に近いです。

解答テクニックは自分で作り出すくらいでないと実践では使い物になりません。解答テクニックを作り出すためには簿記の本質的な理解を徹底することが大切です。

簿記の本質ではない説明が目立つテキストは選ばない方が無難です。

最新の出題傾向に対応している必要はない

先ほど最新の「出題範囲」や「会計基準」に対応している必要があるとお伝えしましたが、「出題傾向」に対応している必要はありません。むしろ最新の出題傾向には対応していない方がいいです。

出題傾向とは問題の特徴のことです。「問題の難易度」「問題文の長さや言い回し」「出題形式」などが出題傾向にあたります。

出題傾向に対応していない方がいい理由は「過去問練習が新傾向問題の練習にならなくなるから」です。

本試験問題では一定の割合で「新傾向問題」が出題されます。受験生は何の準備もなくその問題に挑戦しなくてはいけません。

しかし、「新傾向問題」の解き方がテキストで説明されてしまうと、もう「新傾向問題」ではなくなってしまいます。

前もって新傾向問題の傾向を知ってしまうことで、過去問を解くときに「新傾向問題」ではなくなってしまうのです。

本試験では一定の割合で「新傾向問題」が出題されます。なので「新傾向問題を初見で解く能力」が必要になります。

テキストが最新の出題傾向に対応していると「新傾向問題を初見で解く能力」を磨くことができません。

こういった理由から新傾向問題には対応していない方が望ましいのです。しかし、市販されているほぼ全てのテキストは本試験で出題された出題傾向はすぐに反映されます

出題傾向がすぐに反映される理由は、テキストと問題集を終えたあとの過去問練習で合格点に届かないとクレームになったり悪評を書かれたりするからです。

前もって「新傾向問題」を解けるようにしておけば過去問で高得点が出せるのでそういったクレームは起きにくいです。

事実上、最新の出題傾向に対応していないテキストを入手することはできません。

旧版のものを買うという方法もありますが、その場合、出題範囲や会計基準が対応していない危険性があります。

「過去問では合格点が取れるのに本試験では合格点が取れない」となってしまう理由の一つは「新傾向問題を初見で解く能力の不足」にあります。

動画は不要

簿記の勉強に動画は不要です。動画は時間に対する情報密度が低すぎるので、動画で勉強する場合、かなりの勉強時間を確保する必要が出てきます。

特に動画の勉強でよくないのが「疲れているからテキストは読めないけれど動画なら見ることができる」というスタンスが習慣になってしまうことです。

こうなってしまうと勉強時間のほとんどが動画の視聴になってしまいます。

もちろん動画をたくさん見ても、問題練習の量を減らさなければいいのですが、多くの人は問題練習の量が減ります。問題練習が減れば合格は難しくなります。

問題練習が経るくらいなら動画はない方がいいです。

「テキストで分からないところだけ動画を見る」「動画を見ている時間は勉強時間に含まない」といった意識があれば動画はプラスに働きます。

5つのテキストを徹底比較(おすすめは理解系合格型)

テキストの選び方が分かったところで、いよいよテキストを徹底比較していきます。まずはテキストを次の3つに分けて、その後テキストを個別に解説します。

  • 網羅系合格型
  • 理解系合格型
  • 合格準備型

網羅系合格型

網羅系合格型にあたるのが「合格テキスト 日商簿記1級」です。

合格テキスト 日商簿記1級
出版社TAC
ページ数商会892ページ(3冊)、工原864ページ(3冊)
大きさB5
カラー2色刷り

合格テキスト 日商簿記1級

市販されている簿記1級のテキストの中で最も内容が豊富です。簿記1級のほぼ全ての内容を網羅的に取り上げています。合格テキストの内容を全て完璧に身につければ合格点には届きます。

高得点を狙うためには網羅系がよさそうに思えるのですが、網羅系のテキストはお勧めしません。

理解しづらいですし、勉強の意識が「簿記を理解する」のではなく「知らないことをなくす」という方向にいきやすいです。

合格テキストはTACの本講座で使用されているものです。本来は講義とセットで使うものなので、テキスト単体で使うと説明が省略されている感が否定できません。

簿記で高得点を取るためには「知らないことをなくす」のではなく「知らない問題が出てもできるようにする」という意識が大切です。

簿記は5教科の中では「数学」に近いのですが、網羅系のテキストでは勉強の意識が「社会」になりやすいのです。

というわけで網羅系のテキストである「合格テキスト 日商簿記1級(TAC)」はお勧めしません。

あくまでもメインテキストにはお勧めしませんが、サブテキストとして辞書的に使うのはお勧めです。

理解系合格型

理解系合格型にあたるのは「簿記の教科書 日商1級」と「日商簿記1級とおるテキスト」です。

簿記の教科書 日商1級日商簿記1級とおるテキスト
出版社TACネットスクール
ページ数商会1,304ページ(3冊)、工原950ページ(3冊)商業816ページ(2冊)、工業628ページ(2冊)
大きさA5B5
カラーフルカラー2色刷り

みんなが欲しかった簿記の教科書 日商1級

「とおるテキスト」と比較して、安い、小さい(その分厚い)、フルカラーという特徴があります。

「とおるテキスト」と比較してとっつきすく、持ち運びもしやすいです。テキストは小さくてフルカラーの方が売れるので、「合格レベルを超えるテキストで売れるものをTACが作ってきた」という印象です。

簿記1級の市販テキストの中で最も「簿記を理解する」という点を重視しています。しかし、内容自体が簿記2級までと比較して高度なため、それほど分かりやすいとはいえません。

市販テキストの限界を感じます。

内容的には「合格テキスト」よりは少ないですが、知らない問題も解けるようにすることで「合格テキスト」と同等以上の得点も期待できます。

日商簿記1級“とおる”テキスト

「簿記の教科書」と比較して、高い、大きい(その分薄い)、2色刷という特徴です。硬派なテキストで「合格テキスト」と「簿記の教科書」の中間のテキストを作ってきたという印象です。

「とおるテキスト」は簿記1級の試験範囲の中から過去の出題が多い論点に絞って取り扱っている印象を受けます。

その絞った論点を詳しく説明している形なので、過去に出題があまりされていない論点が出題されたときは合格が難しいと割り切る必要があります。

合格準備型

合格準備型にあたるのは「スッキリわかる日商簿記1級」と「サクッとうかる日商1級テキスト」です。

スッキリわかる日商簿記1級サクッとうかる日商1級テキスト
出版社TACネットスクール
ページ数商業1,548ページ(4冊)、工原1,496ページ(4冊)商業1,063ページ(3冊)、工業
926ページ(3冊)
大きさA5A5
カラー2色刷りフルカラー

合格準備型のテキストはとっつきやすさを最大限重視している印象です。イラストを多用することでとっつきやすくしていますが、説明があっさりしていて簿記を理解しやすいというわけではありません。

合格準備型と名づけたとおり、合格準備型のテキストだけでの合格は非常に困難です

しかし、合格準備型のテキストにも使い道はあります。簿記1級は学習内容が非常に高度なので、簿記2級をほぼ完璧に理解していたとしても「理解系合格型」のテキストが難しい場合があります。

そのときに「理解系合格型」のテキストを理解する準備として「合格準備型」のテキストを使うのです。

スッキリわかる日商簿記1級

「スッキリわかる」はテキストと問題集が合体しているので、別に問題集はありません。

「スッキリわかる」の問題だけでは絶望的に足りないので、「スッキリわかる」だけでの合格は不可能です。

サクッとうかる日商1級 テキスト

「スッキリわかる」のネットスクール版といった印象です。「スッキリわかる」と違い、テキストと問題集が分かれているぶん分量が多いです。

「スッキリわかる」より簿記を理解するための説明が多いですが、それでも「サクッとうかる」だけで簿記を理解するのは難しいです。

簿記1級の膨大な論点の基礎を身につけるという点ではいいかもしれませんが「サクッとうかる」だけで合格は難しいです。

【まとめ】あなたにおすすめの簿記1級テキスト

簿記1級に市販のテキストだけで合格するのは難しいです。難しいのは承知の上で、どのようにテキストを選んでいったらいいのか、私が考えるベストの方法をお伝えします。

  1. 簿記2級の過去問を90分以内で90点以上取れる実力をつける
  2. 書店に行き「簿記の教科書」の連結会計と税効果会計の説明を読む
  3. スムーズに理解できれば「簿記の教科書」で勉強する
  4. もし難しければ「サクッとうかる」を読んで簿記1級の基礎を作る
  5. 「サクッとうかる」を終えたら「簿記の教科書」に切り替えて勉強する

簿記2級の過去問を90分以内で90点以上取れる実力をつける

まずは簿記2級の過去問を90分以内で90点以上取れる実力をつけることが大切です。これができなければ簿記1級の勉強は始まりませんし、書店に行って「簿記の教科書」を読んでもほぼ確実に理解できません。

あせらず簿記2級の力をためてください。

書店に行って「簿記の教科書」の連結会計と税効果会計の説明を読む

次に書店に行って「簿記の教科書」の連結会計と税効果会計の説明を読んでください。連結会計と税効果会計は簿記2級でも出てくる論点で、かつ、多くの人が難しいと感じている論点です。

連結会計と税効果会計が理解できれば、他の論点も理解できます。

スムーズに理解できれば「簿記の教科書」で勉強する

連結会計と税効果会計が理解できれば「簿記の教科書」で簿記1級の勉強を始めてください。

もし難しければ「サクッとうかる」を読んで簿記1級の基礎を作る

「簿記の教科書」の連結会計と税効果会計が難しかった場合、そのまま「簿記の教科書」で勉強を進めることは困難です。理解できないまま勉強を続けてもつらいだけで合格もできません。

そこで「サクッとうかる」で「簿記の教科書」を理解するための土台を作ります。

「サクッとうかる」は内容が薄く、これだけでの合格は困難ですが、簿記2級と「簿記の教科書」の橋渡しとして使うのは極めて効果的です。

「簿記の教科書」の連結会計と税効果会計を理解することができなかった場合、「とおるテキスト」を読んでみて、「とおるテキスト」が理解できれば「とおるテキスト」で勉強を進めるという選択肢もあります。

しかし、「とおるテキスト」は過去の出題実績が多い論点に絞っている傾向が強いため、出題実績が少ない論点が出題された場合は合格をあきらめる覚悟が必要です。

出題実績の少ない論点が4科目中の「どれか」で出題される確率はかなり高く、不合格が続くリスクがあるので個人的にはおすすめしません。

ちなみに「スッキリわかる」は問題集と一体型のため、簿記2級と「簿記の教科書」の橋渡しとして使うには不向きです。どうしても「サクッとうかる」が合わない人にだけ「スッキリわかる」をおすすめします。

「サクッとうかる」を終えたら「簿記の教科書」に切り替えて勉強する

「サクッとうかる」を読み終えたら、もう一度「簿記の教科書 日商1級」の連結会計と税効果会計を読んでみます。理解できれば「簿記の教科書」をメインテキストにして簿記1級の勉強を始めます。

もし「簿記の教科書」が理解できなければ、おそらく独学での簿記1級合格は困難です。とはいえ、ほとんどの人は大丈夫だと思います。

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