- 日商簿記1級に挑戦しようと思ってるんだけど……
- 日商簿記1級と他の簿記資格の範囲の違いが分からない
- 日商簿記1級と他の簿記資格との範囲の大きさがどれくらい違うのか教えて!
簿記に関する資格で有名なのは「日商簿記3級」「日商簿記2級」「日商簿記1級」「税理士(簿記論・財務諸表論)」「公認会計士(財務会計・管理会計)」の5つです。
それぞれ範囲が異なりますが、具体的にどのように異なるのかはあまり知られていません。そのため、どの資格に挑戦するか迷う方が非常に多いです。
私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。職業柄、日商簿記はもちろん税理士試験や公認会計士試験についても熟知しています。
この記事では「日商簿記3級」から「公認会計士」までの内容の違いと範囲の広さの目安について解説します。
この記事を読めばそれぞれの資格の内容の違いと範囲の広さの目安が分かります。
結論を一言で言うと、日商簿記3級を1とした場合、日商簿記2級が4、日商簿記1級が18、税理士(簿記論+財務諸表論)が14、公認会計士(財務会計+管理会計)が36となります。
日商簿記1級の範囲は企業会計の全て
日商簿記1級の出題範囲は「企業会計」と言われるものの全てです。ただ、「企業会計」の内容が隅から隅まで問われるというわけではなく、重要ではない部分はもちろんあります。
「企業会計」は「財務会計」と「管理会計」をあわせたものです。
財務会計は企業外部の利害関係者に対して営業活動の成果を報告する会計です。
日商簿記1級では財務会計の処理そのものである「商業簿記」と会計処理についての理論的な裏づけである「会計学」を学習します。
管理会計は企業内部の利害関係者に経営管理に役立つ会計情報を提供する会計です。「予算管理」「財務管理」などが管理会計の代表例です。
日商簿記1級では製造業の会計である「工業簿記」と経営の意思決定を中心に考える「原価計算」を学習します。
日商簿記1級と他資格の学習範囲の大きさの違い
次に「他資格との学習範囲の大きさの違い」についてお伝えします。
他資格は具体的には「日商簿記3級」「日商簿記2級」「日商簿記1級」「税理士(簿記論+財務諸表論)」「公認会計士(財務会計論+管理会計論)」を取り上げます。
また、それぞれの試験に合格するための勉強のスタンスとして次のような流れがあります。
- 日商簿記3級合格…日商簿記3級を70%得点する
- 日商簿記2級合格…日商簿記3級を100%完璧に身につける+日商簿記2級を70%得点する
- 日商簿記1級合格…日商簿記2級を100%完璧に身につける+日商簿記1級を70%得点する
- 税理士(簿記論+財務諸表論)=日商簿記2級を100%完璧に身につける+簿記論と財務諸表論で60%得点する
- 公認会計士(財務会計論+管理会計論)=日商簿記1級を70%得点できるようにする+財務会計論と管理会計論で(短答式70%、論文式52%)得点する
この流れにしたがって考えていきます。
日商簿記3級を70%得点するための学習範囲を1とする
日商簿記3級では小規模の株式会社についての簿記を勉強します。日商簿記3級の試験で70%の得点を獲得するための学習範囲というのは極めて少ないです。
日商簿記3級はほとんど毎回出題される問題というのがあるので、「過去問演習」と「演習で分からなかったところをテキストで確認する」という勉強だけで70%には届きます。
日商簿記3級を70%得点するための学習範囲を1として他資格と比較していきます。
日商簿記2級を70%得点するための学習範囲:4
日商簿記2級を70%得点するためには次の2つを満たす必要があります。
- 日商簿記3級を100%完璧に身につける
- 日商簿記2級を70%得点する
日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲:2
日商簿記3級の内容を100%身につけるためには過去問練習を中心とした勉強ではなく、しっかりと内容を理解しなければなりません。
日商簿記3級を100%完璧に身につけるには、70%身につけるために学習する範囲のおおよそ2倍の範囲を学習する必要があります。
「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1としたときの「日商簿記3級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は2となります。
日商簿記2級を70%得点するための学習範囲:4
日商簿記2級では中規模の株式会社についての簿記を勉強します。
日商簿記3級を100%完璧に身につけているのであれば、日商簿記2級(商業簿記)の約50%を得点する力はすでにあります。
日商簿記2級(商業簿記)で70%得点するためにはあと20%得点力を上げればいいということです。
そう考えると、日商簿記2級(商業簿記)の試験で70%の得点を獲得するための学習範囲というのはそれほど多くありません。
「過去問演習」と「演習で分からなかったところをテキストで確認する」という勉強だけで70%には届きます。
20%得点力を上げるための勉強範囲は「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」とほとんど同じなので、1と考えて問題ありません。
また、日商簿記2級は工業簿記があります。工業簿記については日商簿記3級では全く学習しないので0からのスタートになります。
ですが、日商簿記2級(工業簿記)で70%の得点を獲得するための学習範囲はそれほど大きくはありません。
「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」と同程度です。「日商簿記2級(工業簿記)で70%の得点を獲得するための学習範囲」は1となります。
まとめると「日商簿記2級を70%得点するための学習範囲」は4となります。
日商簿記1級を70%得点するための学習範囲:18
日商簿記1級を70%得点するためには次の3つを満たす必要があります。
- 日商簿記3級を100%完璧に身につける
- 日商簿記2級を100%完璧に身につける
- 日商簿記1級を70%得点する
日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲:2
「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1としたときの「日商簿記3級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は2となります。
日商簿記2級を100%完璧に身につけるための学習範囲:4
日商簿記2級の内容を100%身につけるためには過去問練習を中心とした勉強ではなく、しっかりと内容を理解しなければなりません。
日商簿記2級を100%完璧に身につけるには、70%身につけるために学習する範囲のおおよそ2倍の範囲を学習する必要があります。
「日商簿記2級を70%得点するための学習範囲」は商業簿記と工業簿記をあわせて2なので、「日商簿記2級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は4となります。
日商簿記1級を70%得点するための学習範囲:18
日商簿記1級と日商簿記2級では試験範囲の広さが違いすぎるので、日商簿記2級を100%完璧に身につけていても日商簿記1級の問題は20%程度しかありません。
日商簿記1級で70%得点するためにはあと50%得点力を上げる必要があります。
また、日商簿記1級は日商簿記2級までと違って得点しようとしてはいけない「捨問」が存在します。70%得点するといっても、それほど勉強範囲を削るわけにはいきません。
こういったことを踏まえると「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲」は「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1とすると12となります。
まとめると「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲」は18となります。
税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するための学習範囲:14
税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するためには次の3つを満たす必要があります。
- 日商簿記3級を100%完璧に身につける
- 日商簿記2級を100%完璧に身につける
- 税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点する
日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲:2
「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1としたときの「日商簿記3級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は2となります。
日商簿記2級を100%完璧に身につけるための学習範囲:4
日商簿記2級を100%完璧に身につけるには、70%身につけるために学習する範囲のおおよそ2倍の範囲を学習する必要があります。
「日商簿記2級を70%得点するための学習範囲」は商業簿記と工業簿記をあわせて2なので、「日商簿記2級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は4となります。
税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するための学習範囲:14
税理士(簿記論+財務諸表論)の試験範囲は日商簿記1級(商業簿記)よりやや広い程度です。日商簿記1級(商業簿記)が7なので税理士(簿記論+財務諸表論)は8となります。
「税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するための学習範囲」は14になります。
公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点するための学習範囲:36
公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点するためには次の4つを満たす必要があります。
- 日商簿記3級を100%完璧に身につける
- 日商簿記2級を100%完璧に身につける
- 日商簿記1級を70%得点する
- 公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点する
日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲:2
「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1としたときの「日商簿記3級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は2となります。
日商簿記2級を100%完璧に身につけるための学習範囲:4
日商簿記2級を100%完璧に身につけるには、70%身につけるために学習する範囲のおおよそ2倍の範囲を学習する必要があります。
「日商簿記2級を70%得点するための学習範囲」は商業簿記と工業簿記をあわせて2なので、「日商簿記2級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は4となります。
日商簿記1級を70%得点するための学習範囲:12
「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲」は「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1とすると12となります。
公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点する:36
公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点するための学習範囲は「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲」のほぼ1.5倍です。
「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1とすると18(財務会計論が10.5、管理会計論が7.5)となります。
「公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点する学習範囲」は36となります。
【まとめ】日商簿記1級の範囲と公認会計士や税理士の範囲の広さの目安
これまでの内容をまとめると次のようになります。
- 日商簿記3級を70%得点するための学習範囲:1
- 日商簿記2級を70%得点するための学習範囲:4
- 日商簿記1級を70%得点するための学習範囲:18
- 税理士(簿記論+財務諸表論)で60%得点するための学習範囲:14
- 公認会計士(財務会計論+管理会計論)で短答式70%、論文式52%得点するための学習範囲:36
この数値はあくまでも目安として見てください。また、この数値はあくまでも学習範囲の大きさの話で、学習内容の難易度は考慮していないので注意が必要です。
コメント
こんにちは。
初めてコメントさせていただきます。
税理士や会計士への道は大変そうですね(;^ω^)
平野さんは会計士の通信講座はなさっているのですか?
またこれから行う予定などはありますか?
少々変な質問になってしまいましたが、ご容赦ください。
コメントありがとうございます。
会計士の通信講座は当面考えてはいないです。簿記や管理会計や財務諸表論は守備範囲なのですが、それ以外、特に監査論などが私には荷が重過ぎるかなと感じています。