日商簿記1級に独学で合格できる人の特徴4選

  • 簿記1級を独学でとろうと思ってるんだけど……
  • 自分が簿記1級の独学に向いているのか分からない
  • 簿記1級に独学で合格する方法を教えて!

「簿記1級は独学でも合格できる」「簿記1級は独学では無理!」のように真逆の情報が流れていることもあり、簿記1級に独学で合格できるかどうか判断できないというケースは非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。私自身も簿記1級に独学で合格しています。この経験から、簿記1級に独学で合格するために必要な条件は熟知しています。

この記事では簿記1級に独学で合格するために必要なことについて解説します。

この記事を読めば、あなたが簿記1級に独学で挑戦すべきなのか、挑戦すべきならどういったことを意識して挑戦すべきなのかが分かります。

結論から言えば、「簿記2級の過去問を90分以内に90点得点できる実力を独学でつけることができた人」「疑問点を2日以内に解決できる環境にある人」「通学・通信・独学が全て同じ費用だったとしても独学を選ぶ人」「簿記を面白いと感じる人」の全てにあてはまれば独学での合格も可能です。

簿記1級の独学は無理ではないが不利ではある

世間では「通学・通信・独学」を比較して、独学が難しいと考える風潮にありますが、実際は独学が難しいということはありません。

学習スタイルが違うだけで「通学・通信・独学」に本質的な有利不利はありません。

大切なことは自分に合った勉強スタイルで勉強することです。

通学が合っている人は通学で勉強するのが一番合格しやすいです。独学が合っている人は独学で勉強するのが一番合格しやすいです。

独学が難しいと言われている理由は「独学に向いていない人が強引に独学で勉強するから」です。向いていない学習スタイルで勉強すれば難しいのは当たり前です。

独学そのものが難しいのではなく、独学に向いていないのに独学で勉強する人が多いから難しいと言われているのです。

通学・通信・独学に本質的な有利不利はありません。実際、簿記2級までであればそのまま当てはまります。

しかし、簿記1級の独学は非常に不利です。独学に向いている人であっても独学以外を選んだ方がいいと言っていいくらい独学は不利です。

理由は市販されている学習教材の完成度の低さにあります。

市販されているテキストを批判しているわけではありません。

簿記1級のテキストの需要の少なさを考えると、今以上に充実させることが難しいのは理解できます。

市販されている簿記1級のテキストと独学で勉強する場合の問題点は次のとおりです。

テキスト名独学で勉強する場合の問題点
合格テキストTACの本講座で使用されているもので、講義とセットで使う前提で作られている
簿記の教科書TACの独学道場で使用されているもので、講義とセットで使う前提で作られている(「合格テキスト」よりは独学向け)
とおるテキスト過去の出題が多い論点に絞ってあるため、どうしてもヤマを張る勉強になってしまう
スッキリわかる(個人差はあるが)ほぼ全員合格レベルに届かない
サクッとうかる(個人差はあるが)多くの人は合格レベルに届かない

どのテキストで勉強するにしても独学では難しい状況です。独学で勉強する場合は、この5つのテキスト中から選んで勉強していく必要があるのでどうしても不利になってしまいます。

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簿記1級のテキストについては「【2021年版】独学向け簿記1級おすすめテキスト【5つのテキストを徹底比較】」で詳しく解説しています。

簿記1級に独学で合格できる人の特徴4選

簿記1級の独学は不利ですが、不可能というわけではありません。次の4つ全てに当てはまる人は簿記1級に独学で合格する見込みがあります。

簿記2級の過去問を90分以内に90点得点できる実力を独学でつけることができた人

簿記1級に独学で合格するためには「簿記2級の過去問を90分以内に90点得点できる実力を独学でつけることができた人」である必要があります。

簿記2級と簿記1級では難易度に大きな差があります。

簿記2級簿記1級
分量(「簿記の教科書」のページ数)商簿560ページ、工簿384ページ商会1,304ページ(3冊合計)、工原950ページ(3冊合計)
合格率10%~30%約10%
合格基準70%以上「70%以上」かつ「4科目全て10%以上」
受験のチャンス年3回年2回
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簿記2級の難易度については「日商簿記2級の難易度」で、簿記1級の難易度については「簿記1級の難易度と簿記1級の挑戦前に確認すべきポイント」で詳しく解説しています。

この表から分かるとおり、どの基準で比較しても簿記1級の方が難しいです。簿記1級の方が分量は多く、合格率は低く、合格基準は厳しく、受験のチャンスも少ないです。

「簿記2級の過去問を90分以内に90点得点できる実力を独学でつけることができなかった人」「簿記2級に独学以外の方法で合格した人」が簿記1級に独学で挑戦するのは無謀です。

独学で合格するためには「独学で合格するためのスキル(経験)」が必要になります。

「独学で合格するためのスキル(経験)」は簿記2級までの勉強で身につけておく必要があります。

簿記2級を独学で勉強していない人は「独学で合格するためのスキル」が身についていないので、簿記1級に独学で合格することは難しいです。

疑問点を2日以内に解決できる環境にある人

簿記1級に独学で合格するためには疑問点を2日以内に解決できる環境にあることが必要です。

疑問点は解決しなければ勉強が進みません。強引に進めようとすると暗記せざるをえなくなりますが、暗記での合格は難しいです。

疑問点が2日以上解決できないと勉強がスケジュールどおりに進まなくなってしまいます。

簿記1級の勉強を独学でしていて、疑問点が全く出ないということはほとんどありません。簿記1級に独学で合格するためには疑問点を2日以内に解決できる環境が必要です。

家族に簿記や会計の専門家がいる状態が理想です。

通学・通信・独学が全て同じ費用だったとしても独学を選ぶ人

私の経験から確実に言えることが一つあります。「費用が安く済むことを理由に独学を選んで、簿記1級に一発合格した人に会ったことがない」ということです。

独学で簿記1級に一発合格した人は「自分には独学が合っているから」という理由で独学を選んでいます(私もです)。

仮に通学・通信・独学が同じ費用だったとしても独学を選ぶのか考えてみてください。

通学・通信・独学が同じ費用だったとしても独学を選ぶならあなたは独学に向いています。

通学・通信・独学が同じ費用なら独学を選ばないのに独学で挑戦しようとしているのであれば、合格できないとは言いませんが、不合格が続く覚悟が必要です。

詳しくは後半でお伝えしますが、独学によって1回以上合格が遅れるのであれば、独学は結果的に損になります。

簿記を面白いと感じる人

簿記1級に独学で合格するためには簿記を面白いと感じている必要があります。

簿記1級は内容が多いため、勉強時間も多く必要になります。

簿記2級をほぼ完璧に身につけた人が簿記1級の合格までにかかる時間は約537時間です。勉強期間は平日2時間勉強する場合で約1年です。

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簿記1級の合格に必要な勉強時間については「【社会人向け】簿記1級の合格に必要な勉強時間の目安」で詳しく解説しています。

独学場合、基本的に全て1人で勉強します。誰からも勉強するように指示されることもありません。

誰からも指示がない状況で平日2時間の勉強を1年も続けるためには簿記を面白いと感じている必要があります。

面白くないことを平日2時間、1年間続けることができる「鉄の意志」を持っている人は簿記を面白いと感じなくてもいいかもしれません。

しかし、個人的には「簿記1級に合格すること」よりも「面白くないことを平日2時間、1年間続けること」の方が難しいです。

簿記1級を独学で勉強するのにかかる費用

テキスト・問題集:19,800円~32,120円(税込)

市販テキストは完成度が低いのですが、市販テキストの中でおすすめするのであれば「簿記の教科書」です。

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簿記1級のテキストについては「【2021年版】独学向け簿記1級おすすめテキスト【5つのテキストを徹底比較】」で詳しく解説しています。

簿記1級の問題集については「【2021年版】独学向け簿記1級おすすめ問題集【5つの問題集を徹底比較】」で詳しく解説しています。

「簿記の教科書」とその問題集である「簿記の問題集」を使って勉強する場合の費用は次のとおりです。

  • 簿記の教科書:商会5,280円(3冊合計)、工原5,280円(3冊合計)
  • 簿記の問題集:商会4,620円(3冊合計)、工原4,620円(3冊合計)

合計で19,800円です。

また、簿記の教科書だけで理解が難しい場合は「サクッとうかる」を準備として使う必要があります。

  • サクッとうかる:商会6,160円(3冊合計)、工業6,160円(3冊合計)

合計で12,320円、簿記の教科書・問題集と合わせても32,120円です。

電卓:4,700円(税込)

電卓は「SHARP製 学校用電卓 EL-G37」をおすすめします。私が知る限り最高の電卓です。

4,700円(税込)と少し高いですが、電卓でハンデを負うわけにはいきません。簿記1級を受験するのであれば、個人的には「EL-G37」一択です。

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おすすめの電卓については「【初心者必見】日商簿記検定におすすめの電卓3選(シャープ2つとカシオ1つ)」で詳しく解説しています。

過去問:2,860円(税込)

簿記1級に合格するのに過去問は絶対に必要です。過去問は「合格するための過去問題集(TAC)」がお勧めです。お値段は2,860円です。

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おすすめの過去問については「【簿記1級】過去問の選び方と使い方【最初は解けないのが当たり前】」で詳しく解説しています。

受験料:7,850円(税込)

簿記1級の受験料は7,850円(税込)です。
簿記1級-商工会議所HP

予想問題集や模擬試験(公開模試など)は不要

予想問題集や模擬試験は不要です。問題練習は過去問で十分なので、予想問題集や模擬試験を受ける時間があるのであれば復習にあてた方が合格に近づきます。

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予想問題集や模擬試験が不要な理由については「答案練習や模擬試験、予想問題を受ける必要はない4つの理由」「簿記1級の直前期に公開模試は受けない方がよい」で詳しく解説しています。

簿記1級不合格1回あたりのコスト:約200,000円

簿記1級を独学で勉強するのにかかる費用についてお伝えしてきましたが、通信や通学でも「電卓」「過去問」「受験料」は必要なので、「独学」と「通学・通信」で費用に差が出るのは「テキスト・問題集」だけです。

通学や通信の費用は様々なのですが、およそ100,000円から200,000円です。

通学の場合はプラスで交通費がかかります。

独学は簿記の教科書と簿記の問題集だけだと19,800円、「サクッとうかる」を加えても32,120円です。

比較するとかなりの差があるように見えます。しかし費用が安いからという理由で独学を選ぶと確実に勉強期間が伸びるので結果的に損をします。

簿記1級は1年に2回しか試験がないので、1回不合格になるごとに勉強期間が6ヶ月長くなります。

この6ヶ月を「時給800円・1ヶ月あたり20日・1日あたり2時間」働くと給料は192,000円です。

時給は例です。あなた自身に合わせてください。

電卓や過去問は買い換えないとしても、受験料は確実に1回分かかるので、受験料7,850円を加えたら約200,000円かかってしまいます。これが200,000円の内訳です。

本当に働くわけではないから200,000円のコストは机上の空論だと考える人も多いです。

しかし、働かずに別のことをするということは、働くこと以上にその「別のこと」に価値を見出しているということです。

その「別のこと」の価値は200,000円以上あると考える必要があります。

1回不合格になるごとに200,000円の費用がかかると考えるのが会計の考え方です。

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「ある選択をしたことで失われた利益」を機会原価と言います。

例えば「行けば確実に10,000円手に入れることができる場所に行かなかった」という場合、10,000円の機会原価が発生したと考えます。

機会原価は簿記1級の原価計算で学習する内容です。「機会原価と埋没原価から考える独学の隠れたコスト」で詳しく解説しています。

機会原価は少し難しい考え方ですが、理解しておくと実生活でも無駄な損を減らすことができます。

【まとめ】日商簿記1級に独学で合格できる人の特徴4選

簿記1級の独学は無理ではありませんが、不利です。次の4つの特徴を全て兼ね備えた人は独学で合格できる可能性があります。

  • 簿記2級の過去問を90分以内に90点得点できる実力を独学でつけることができた人
  • 疑問点を2日以内に解決できる環境にある人
  • 通学・通信・独学が全て同じ費用だったとしても独学を選ぶ人
  • 簿記を面白いと感じる人

簿記1級に1回不合格になるごとに200,000円のコストがかかるので、合格までの期間が長期になるのであれば通信や通学の方がコスパはよくなります。

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  • 簿記1級の独学はよほど向いている人以外は難しいとお伝えしてきましたが、それでも独学で合格したいというあなたは素晴らしいです。あなたなら独学で合格できる可能性があります。しかし、簿記1級に独学で合格するためには合理的な勉強をすることが不可欠です。簿記1級の勉強法については「簿記1級にラクラク受かる勉強法-簿記1級」で詳しく解説しています。
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