経理への転職に有利な資格3選+1【実務未経験者向け】

  • 経理に転職しようと思ってるんだけど……
  • 経理への転職に簿記1級が必要なのかが分からない
  • 経理への転職に有利な資格を教えて!

経理の資格は非常に多くの種類があり、どの資格を取ったらいいのか分からないというケースは非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。転職の成功例もたくさんお聞きしていますし、経理への転職に有利な資格ももちろん知っています。経営者でもありますので、採用する側の考え方もよく分かります。

この記事では経理へ転職するときに取るべき資格について解説します。

この記事を読めばあなたが取るべき資格が分かります。

結論を言うと、経理へ転職するために簿記の資格を取るなら日商簿記一択で、日商簿記3級→日商簿記2級と取得していくのがベストです

  1. 経理へ転職するために簿記の資格を取るなら日商簿記一択
    1. 日商簿記3級:経理に転職するならほぼ必須
    2. 日商簿記2級:経理に転職する場合に非常に有利
    3. 日商簿記1級:中小企業の経理に転職するにはややオーバースペック
    4. FASS検定(経理・財務スキル検定):おまけ程度の価値はある
    5. 選外となった資格とその理由
  2. 日商簿記とFASS検定の受験料・勉強時間・取得にかかる費用
    1. 日商簿記3級の受験料・勉強時間・費用
      1. 日商簿記3級の受験料:2,850円(税込)
      2. 日商簿記3級の合格に必要な勉強時間:約98時間
      3. 日商簿記3級の取得にかかる費用:独学なら9,119円
    2. 日商簿記2級の受験料・勉強時間・費用
      1. 日商簿記2級の受験料:4,720円(税込)
      2. 日商簿記2級の合格に必要な勉強時間:約174時間
      3. 日商簿記2級の取得にかかる費用:独学なら12,860円
    3. 日商簿記1級の受験料・勉強時間・費用
      1. 日商簿記1級の受験料:7,850円(税込)
      2. 日商簿記1級の合格に必要な勉強時間:約537時間
      3. 日商簿記1級の取得にかかる費用:独学なら35,210円~47,530円
    4. FASS検定の受験料・勉強時間・費用
      1. FASS検定の受験料:11,000円(税込)
      2. FASS検定でレベルAを取得するのに必要な勉強時間:10時間程度
      3. FASS検定でレベルAを取得するのにかかる費用:独学なら13,000円
  3. 経理へ転職する際の具体的な資格取得の4ステップ
    1. 日商簿記3級を完璧に身につけて合格する
    2. 日商簿記2級を完璧に近い形で身につけて合格する
    3. 資金と時間に余裕があればFASS検定(レベルA)も合格しておく
    4. (転職後)実務経験を積み、大企業の経理職に転職したくなったら日商簿記1級を取得する
  4. 【まとめ】経理への転職に有利な資格は日商簿記

経理へ転職するために簿記の資格を取るなら日商簿記一択

経理へ転職するために簿記の資格を取るなら日商簿記一択です。日商簿記以外の選択をする意味がないと考えて下さい。

「税理士」「公認会計士」のように経理へ転職する目的で取得するのは現実的ではないものは含んでいません。

簿記・会計系の資格の中でダントツの知名度を誇るのが日商簿記検定です。5つの級に分かれていますが、取得する価値があるのは次の3つです。

  • 日商簿記3級:経理に転職するならほぼ必須
  • 日商簿記2級:経理に転職する場合に非常に有利
  • 日商簿記1級:経理に転職するにはややオーバースペック

日商簿記3級:経理に転職するならほぼ必須

経理に転職するのであれば、日商簿記3級はほぼ必須です。

日商簿記3級を持っていないと「簿記の能力が全くない」または「簿記に対するやる気や興味がない」という印象をもたれてしまいます。日商簿記3級の取得は経理の仕事をするなら最低限必要です。

実際、私の周りで日商簿記3級を持たずに経理に転職した人は一人もいません。

抜群の実務経験があれば日商簿記3級を持たずとも経理に転職できるかもしれません。しかし、抜群の実務経験がある人はまず間違いなく日商簿記3級(たいていは日商簿記2級)を持っています。

経理に転職するのであれば、日商簿記3級はほぼ必須です。

日商簿記2級:経理に転職する場合に非常に有利

日商簿記2級があるとさらに有利です。日商簿記2級は経理系の資格としては圧倒的に知名度が高く、評価も高いからです。

日商簿記1級の方がさらに有利だと思うかもしれませんが、一般的な中小企業の経理では日商簿記1級の知識は不要です。

日商簿記1級を持っていて損はないですが、日商簿記1級は日商簿記2級よりも取得する難易度が圧倒的に高いのでコスパが悪いです。日商簿記2級があれば資格としては十分です。実務経験がなくても経理に転職できる可能性が高まります。

実際、私の友人で日商簿記2級を保有している30代の男性が未経験から経理に転職しました。

「圧倒的な実務経験があって日商簿記2級を取得する必要がない」というのでない限り日商簿記2級は持っておくべきです。

日商簿記1級:中小企業の経理に転職するにはややオーバースペック

日商簿記1級になると、たいていの場合はオーバースペックになります。中小企業では日商簿記1級の内容を実務で使うことはほとんどないからです。

逆に言うと、新卒就職で大企業の経理課に配属されたい場合や、経理の実務経験がある人が大企業の経理課に転職したい場合に日商簿記1級を取得するのは効果的です

FASS検定(経理・財務スキル検定):おまけ程度の価値はある

近年存在感を増してきた経理系の資格に「FASS検定」があります。日商簿記検定は理論よりの試験であるのに対し、FASS検定は実務よりの試験です。

そのため、実務経験が少ない人が転職するときには評価されると期待されています。しかし、現時点では実際は転職に有利なのは圧倒的に日商簿記検定です。

それでもFASS検定を有利な資格として選んだのは、2016年から「FASS人材バンク」が始まったからです。FASS人材バンクはFASS検定を主催している「日本CFO協会」と転職エージェントが組んで転職支援をするというもので、転職のサポートが期待されています。

残念ながら現時点ではFASS人材バンクの転職支援はそれほど効果が上がっていません。今後に期待です。

実際「日商簿記を持っていないけれどFASS検定レベルA(FASSの中では最高)で実務経験なし」の方が転職できた事例を聞いたことがありません。

そういった意味からもFASS検定は日商簿記2級に合格した上で、さらに取得しておくとやや有利になるくらいの資格だと言えます。

選外となった資格とその理由

次の資格はほとんど評価されないため選外としました。

  • 全経簿記能力検定(通称:全経簿記):完全に日商簿記検定の下位互換であるため。
  • 全国商業高等学校協会主催簿記実務検定(通称:全商簿記):完全に日商簿記検定の下位互換であるため。
  • 日商簿記初級:日商簿記3級の下位互換であるため
  • 日商原価計算初級:日商簿記3級の下位互換であるため
  • 簿記能力検定試験(通称:日ビ簿記):完全に日商簿記検定の下位互換であるため
  • ビジネス会計検定:経理課の仕事内容と異なるため
  • 米国公認会計士(USCPA):転職目的ではなく転職後のスキルアップ目的(外資系や海外勤務限定)ならあり
  • 国際会計検定(BATIC):転職目的ではなく転職後のスキルアップ目的(外資系や海外勤務限定)ならあり
  • 電子会計実務検定:会計ソフトを使う能力は資格で評価するものではないため
  • 給与計算実務能力検定:知名度が低いため
  • 経理事務パスポート検定(PASS):知名度が低いため
  • IFRS検定:知名度が低いため
  • 法人税法能力検定:知名度が低いため

私が経理職で採用する場合、これらの資格が履歴書に書いてあっても特に判断に影響はありません。おそらくほとんどの会社も同じです。

日商簿記とFASS検定の受験料・勉強時間・取得にかかる費用

日商簿記3級の受験料・勉強時間・費用

日商簿記3級の受験料:2,850円(税込)

日商簿記3級の受験料は2,850円(税込)です。
商工会議所HP

日商簿記3級の合格に必要な勉強時間:約98時間

日商簿記3級に合格するための勉強時間であれば約98時間で大丈夫です。しかし、日商簿記3級にギリギリ合格できる実力では日商簿記2級にスムーズに合格することは難しいです。

日商簿記2級にスムーズに合格できる実力をつけるのであれば、138時間程度の勉強時間(学習期間:3~3.5ヶ月)が必要になります。

関連記事

勉強時間の詳しい内訳については「【社会人向け】簿記3級の合格に必要な勉強時間【1ヶ月は無理?】」で詳しく解説しています。

日商簿記3級の取得にかかる費用:独学なら9,119円

取得にかかる費用は学習スタイルによって異なります。およそ次のようになります。

  • 独学:テキスト+問題集+過去問+電卓+受験料(9,119円)
  • 通信:各社の通信講座受講料+過去問+電卓+受験料(30,000円~50,000円)
  • 通学:各社の通学講座受講料+過去問+電卓+受験料+交通費(30,000円~50,000円+交通費)
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日商簿記3級の独学については「簿記3級の独学は難しい?1ヶ月は無理?【おすすめテキストも紹介】」で詳しく解説しています。費用の内訳についても詳しく解説しています。

日商簿記2級の受験料・勉強時間・費用

日商簿記2級の受験料:4,720円(税込)

日商簿記2級の受験料は4,720円(税込)です。
商工会議所HP

日商簿記2級の合格に必要な勉強時間:約174時間

日商簿記3級の内容をどれだけしっかりと身につけているかによっても勉強時間は変わってきます。仮に日商簿記3級の内容をしっかりと身につけていた場合、174時間程度で合格できます

しかし、日商簿記2級にギリギリ合格できる実力では面接のときに実力不足がばれてしまいます。しっかりと面接で簿記の実力をアピールするためにはしっかりと日商簿記2級の実力をつけて合格する必要があります。

日商簿記2級の実力をしっかりとつけるのであれば、214時間程度の勉強時間(学習期間:約5ヶ月)が必要になります。

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勉強時間の詳しい内訳については「【社会人向け】簿記2級の合格に必要な勉強時間【1ヶ月は無理?】」で詳しく解説しています。

日商簿記2級の取得にかかる費用:独学なら12,860円

取得にかかる費用は学習スタイルによって異なります。およそ次のようになります。

  • 独学:テキスト+問題集+過去問+電卓+受験料(12,860円)
  • 通信:各社の通信講座受講料+過去問+電卓+受験料(70,000円~100,000円)
  • 通学:各社の通学講座受講料+過去問+電卓+受験料+交通費(70,000円~100,000円+交通費)
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日商簿記2級の独学については「簿記2級の独学は難しい?1ヶ月は無理?【おすすめテキストも紹介】」で詳しく解説しています。費用の内訳についても詳しく解説しています。

日商簿記1級の受験料・勉強時間・費用

日商簿記1級の受験料:7,850円(税込)

日商簿記1級の受験料は7,850円(税込)です。
商工会議所HP

日商簿記1級の合格に必要な勉強時間:約537時間

日商簿記2級の内容をどれだけしっかりと身につけているかによっても勉強時間は変わってきます。仮に日商簿記2級の内容をしっかりと身につけていた場合、537時間程度で合格できます(学習期間:9~10ヶ月)

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勉強時間の詳しい内訳については「【社会人向け】簿記1級の合格に必要な勉強時間の目安」で詳しく解説しています。

日商簿記1級の取得にかかる費用:独学なら35,210円~47,530円

取得にかかる費用は学習スタイルによって異なります。およそ次のようになります。

  • 独学:テキスト+問題集+過去問+電卓+受験料(35,210円~47,530円程度)
  • 通信:各社の通信講座受講料+過去問+電卓+受験料(100,000円~250,000円)
  • 通学:各社の通学講座受講料+過去問+電卓+受験料+交通費(100,000円~250,000円+交通費)
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日商簿記1級の独学については「簿記1級に独学で合格できる人の特徴4選」で詳しく解説しています。費用の内訳についても詳しく解説しています。

FASS検定の受験料・勉強時間・費用

FASS検定の受験料:11,000円(税込)

一般受験で11,000(税込)です。団体割引などもあります。

FASS検定でレベルAを取得するのに必要な勉強時間:10時間程度

日商簿記2級に合格できる実力があれば、基礎的な知識は十分です。問題集を1冊程度勉強しておけば最高ランクであるレベルAを取ることができます。

勉強時間としては10時間程度で十分です。

FASS検定でレベルAを取得するのにかかる費用:独学なら13,000円

取得にかかる費用は問題集代、2,000円程度です。受験料と合わせて13,000円程度です。

日商簿記2級の力がない場合はもっとかかりますが、日商簿記2級に合格せずにFASS検定だけ合格しても意味がないので、このケースは省略します。

経理へ転職する際の具体的な資格取得の4ステップ

これまでの内容をもとに最も効率的に資格を取得していく方法についてお伝えします。

  1. 日商簿記3級を完璧に身につけて合格する
  2. 日商簿記2級を完璧に近い形で身につけて合格する
  3. 資金と時間に余裕があればFASS検定(レベルA)も合格しておく
  4. (転職後)実務経験を積み、大企業の経理職に転職したくなったら日商簿記1級を取得する

日商簿記3級を完璧に身につけて合格する

まずは日商簿記3級に合格することがスタートラインです。目指すのは日商簿記2級の合格なので、日商簿記3級にギリギリ合格するのではなく、完璧に使い形で日商簿記3級を身につけます。

完璧に身についたかどうかの目安は「過去問を60分以内に95点取ることができたか」です。過去数回分の平均がこの基準を満たしていればとりあえず完璧に身についていると考えて大丈夫です。

日商簿記2級を完璧に近い形で身につけて合格する

次に日商簿記2級を完璧に近い形で身につけます。日商簿記1級の合格はこの時点では考えないので、そこまで高得点で合格する必要はありません。

ただし、丸暗記などの勉強法で何とか合格点を取っただけの場合、たとえ合格していても面接ですぐに理解不足がばれてしまいます。日商簿記2級の合格をしっかりと意味のある合格にするためにもきちんと簿記の実力を身につける形で合格する必要があります。

資金と時間に余裕があればFASS検定(レベルA)も合格しておく

FASS検定の効果はそれほど高くありません。ですが経理に転職希望の人はかなりの割合が日商簿記2級に合格しているので、日商簿記2級だけだとあまり目立ちません。多少目立つためにもFASS検定のレベルAを取得しておく意味はあります。

(転職後)実務経験を積み、大企業の経理職に転職したくなったら日商簿記1級を取得する

大企業への転職は中小企業へ転職した後の話です。未経験から経理に転職できるのは99%が中小企業です。大企業の場合、未経験者は新卒でしか採用しない場合が非常に多く、中途採用では実務経験が豊富な場合に限られます。

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経理未経験の人が経理に転職するための最善のロードマップについて「【語られない真実】20代・30代の実務未経験者が経理に転職する最善の方法」で詳しく解説しています。

経理という仕事は成果があまり目立たないので、中小企業ではなかなかキャリアアップが図れません。キャリアアップをしていくのであれば大企業への転職が必須になります。

大企業への転職のときに日商簿記1級を持っておくと効果的です。大企業への転職がしたくなったら、実務経験を積みながら「日商簿記2級の復習→日商簿記1級の勉強」と進めていくことになります。

【まとめ】経理への転職に有利な資格は日商簿記

経理に転職する場合に最も効果的な資格についてお伝えしてきました。やはり経理の資格は「日商簿記」1択です。まずは日商簿記2級を目指してください。そうすれば未経験でも経理への転職が見えてきます。

無事に経理への転職ができて、さらにキャリアアップがしたくなったときには日商簿記1級の勉強にも挑戦していくことで充実した経理マンとして過ごしていくことができます。

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