簿記の実力をつけていくためには簿記のテキストを効果的に使っていくことが必要です。テキストを効果的に使うことでスムーズにインプットができ、問題練習にもスムーズに入っていくことができます。
ちなみに、この記事を書いている私は日商簿記に合格するための通信講座を2012年から運営し、これまでに数百人の合格者を送り出させていただいています。もちろん私自身も簿記1級に合格しています。
こういった私が、簿記のテキストを効果的に使うために意識すべき4つのポイントについて解説していきます。
テキストの効果的な使い方
テキストを効果的に使っていくときのポイントは次の4つです。
- 分からなかったら下位の級に戻ること(今から簿記3級の学習を始める人は参考程度で構いません)
- 全ての情報はテキストに集める
- テキストに効果的に書き込む
- テキストはバラバラにして持ち歩く
分からなかったら下位の級に戻ること
簿記という学問は積み上げ型の学問です。簿記3級の内容を土台に簿記2級の内容が、簿記2級の内容を土台に簿記1級の内容が組まれています。
なので、もし簿記2級の内容が理解できなければ、それは簿記3級の内容があいまいにしか理解できていないのかもしれません。簿記1級の内容が理解できなければ、それは簿記2級の内容があいまいにしか理解できていないのかもしれません。
簿記2級に合格できたことと簿記2級を完璧に身につけていることはイコールではありません。かなり大きな開きがあります(簿記2級が完璧な人は制限時間の半分で満点が取れます)。もしその級の内容が分からなければ、下位の級に戻って確認することが大切です。
理解するコツは理解できていると「思っている」ところまで戻って、その理解を本当に理解しているレベルに持っていくことにあります。
全ての情報はテキストに集める
勉強していくと色々な情報が色々なところに拡散していく傾向があります。テキストで学習した内容はテキストに書き込まれ、問題集で学習した内容は問題集に書き込まれ、ミスしたところはミスノートに書き込まれといった具合にです。
このような書き込み方をしていると、次のようなデメリットがでてきます。
- 情報がどこにあるのか分からない
- 持ち運びが大変
- 全体像がつかみづらい
情報がどこにあるのか分からない
色々なところに書き込んでしまうと、どこに何を書いたのか分からなくなってしまい、探すのが大変になってしまいます。それに対して、テキストに情報を集めておけば、テキストを見るだけで全て見つかります。
持ち運びが大変
色々なものに書き込んでいたら、外で勉強するときに持ち運ぶものが大量になってしまいます。逆に書き込みをテキストにまとめていたら、テキストだけを持っていけば勉強ができます。もちろん問題集や電卓などは必要ですが、テキストに関しては1冊だけで済みます。便利です。
全体像がつかみづらい
情報がテキストやノートなど、色々なところに散っていると、その学習内容の全体がいまいちつかみきれません。テキストを読んでもノートを見ても何か足りないような気がしてしまいます。全体像をつかむためにも一つにまとめることが大切です。
また、一つにまとめるということは「これさえ身につければ大丈夫」と思えるということでもあります。安心感につながります。
情報はテキストに集約する方が効率的です。問題集を解いていて書いたところやミスノートに書いたところを問題集やミスノートに書くと同時にテキストにも書いておきます。そうすることでテキストを見ただけで今まで勉強したことの全てが分かります。
テキストに効果的に書き込む
テキストはあくまでも万人向けに作られたもので、自分専用のものではありません。なので、自分に最も適したテキストにするためには書き込みをすることが効果的です。
ここで重要なことはテキストに書き込むときは自分の言葉で書くということです。他の人が書いた文や会計基準にある文など、自分の言葉ではない文章はやはり身につかないからです(会計基準などをそのまま書き込みたい場合はコピーを貼っておくだけで十分です。)。
テキストに書き込むときは自分で理解した言葉に書き直して書き込むことが大切です。そうすることでしっかりと自分のものにできますし、もし理解が間違えていたとしても間違えていたことがはっきりと自分で分かります。
理解が間違えていたときは書き直せばいいのです。そのときも間違えていた内容を完全に消すのではなく、後から見える形で書きなおしておく方がどのように間違えていたのかが分かり、お勧めです。
効果的な書き込みの例として次のようなものがあります。
- 重要なところを目立たせる
- 疑問に感じたことを書く
- 自分自身の弱点を見つけ出し、その弱点と改善点を書く
- 他のページを参照したらページ番号を入れる
- イメージしづらい場合は横に図解を入れる
- 言葉の定義を書き込み、場合によっては補足説明をつける
- 用語の略称をつける
- 解法を一言でまとめる
- 似たような論点は違いを書き出してみる
重要なところを目立たせる
重要なところを赤ボールペンや蛍光ペンで目立たせるのが書き込みの第一歩です。ただ、どこが重要なのかが初学者の段階では見極めるのが難しいです。
重要なところというのは一言で言えば「ここが理解できていなかったから問題が解けなかった」と思ったところです。なので問題を解いてみるまではどこが重要なのかはわからなくて構いません。
また、問題が一回目からきちんと解けたところはすでに身についている可能性が高いので目立たせる必要はないかもしれませ ん。
「ここが理解できていなかったから問題が解けなかった」という点を目立たせましょう。
疑問に感じたことを書く
分からないところが出てきた場合、疑問に感じたことを書いておくこともお勧めです。重要なところを目立たせるときに使った色とは違う色(青がお勧め)を使うといいと思います。
書きとめたあとはそこは無視して読み進めてください。「とりあえず先に進んでみて、やっぱり理解できなかったらまた戻ってくればいい」という意識で読み進めていくことが大切です。
あまり立ち止まってしまうとつらいですし、効率もよくありません。先に進んでいくうちに理解できることはよくあることです(理解できない部分は無視してページを進めていき、それでもどうしても分からなかったら、そのときに考えるということです。)。
そして、その疑問点が解決できればその内容もテキストに書き込むことで理解を深めることができます。
このように進めていくのですが、あまりにも頻繁に分からなくなるのであれば問題です。そういった場合、それまでの学習内容のほとんどを理解していないことが考えられます。
ときどき分からないところが出てくる程度であれば、そのつどピンポイントで戻り学習をすれば十分です。ですが、あまりにも頻繁に分からなくなるのであれば、最初からやり直すことも考えてください。
程度にもよりますが、1ページに何度も分からなくなる場合は、それ以上その場所を学習しても効率が悪いです。いっそのこと前の級を最初からやり直したほうが効率的だと言えます。
自分自身の弱点を見つけ出し、その弱点と改善点を書く
問題を解いた後、その問題を間違えてしまった場合、その間違えてしまったところが自分の弱点だと考えます(ケアレスミスはミスノートの方に書きます。ここでの間違いは「本質的な」間違いです。)。そして、その弱点(間違えた考え方)と正しい考え方を書きます。
つまずいた部分を重点的に書き込むことが大切です。
他のページを参照したらページ番号を入れる
何か他のテキストやウェブサイトなどを参照した場合には参照ページなどを書き込むといいと思います(色は黒でいいと思います。)。
イメージしづらい場合は横に図解を入れる
自分にとって分かりやすいと思える図解が考えられる場合、自分なりの図解を入れることお勧めします。
また、図を描くという作業で、自分の理解を整理することにもなりますし、正しい理解ができているか確認することもできます。理解を深めるために図を描くことも効果的です。
言葉の定義を書き込み、場合によっては補足説明をつける
以前に登場した言葉であったも、そのテキストを読んでいる時点で完全に覚えているとは限りません。その時点で覚えていなければ自分の言葉で意味や補足説明を入れていくと分かりやすくなりますし、自然と覚えていくための助けとなります。色は緑などがいいと思います。
解法を一言でまとめる
難しい問題になってくると、解答にたどり着くまでの解法が非常に長くなる傾向があります。そういう問題の解説も非常に長くなることになります。
しかし、理解が進んでくるとそれほど長い解法の説明は必要なくなってくると思います(自分なりの言葉で一言でまとめられるということです。)。
そのような段階になったら自分の言葉で解法をまとめるといいと思います。ちなみに、色は緑などがいいと思います。
似たような論点は違いを書き出してみる
簿記では似たような考え方が色々なところで出てきます。似たような論点ではどこが同じでどこが違うのかを表にして書き込むと理解が深まります。同じところは同じように考え、違うところだけ考え方を理解すればいいので効率もいいです。
なので、似たような論点は違いを書き出してまとめてみることをお勧めします。 ちなみに、色は緑などがいいと思います。
このような書き込みをすると効果的です。ちなみに、色分けの基準は「重要箇所:赤」「疑問点:青」「分かりやすくするためのもの:緑」としています。これは一つの例ですが、「自分で把握でき色数に絞ること」「自分でルールを作ること」が大切です。
テキストはバラバラにして持ち歩く
製本されているテキストはそのまま持ち歩くとかなり大変です。特に複数のテキストにまたがるところを勉強している場合特に大変です。
そういった場合はテキストをばらばらにして持ち歩くのもいいかもしれません。テキストがぼろぼろになってしまうという問題点がありますが、「持ち歩くのが大変だから勉強しない」では本末転倒です。
まとめ
- テキストを読んでいて分からなかったら下位の級にしっかりと戻る。
- 全ての情報はテキストに書き込むことでテキストに情報を集約する。
- テキストに「重要なところ」「疑問点」「分かりやすくするための情報」などを書き込む。
- テキストを持ち運ぶときはバラバラにして持ち歩く。
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