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継続性の原則の意義をわかりやすく【正当な理由の具体例も】

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  • 簿記を勉強していると継続性の原則っていう原則が出てきたんだけど……
  • 継続性の原則の内容がよく分からない
  • 継続性の原則について教えて!

継続性の原則は法律みたいな文章で難しいと感じている方が非常に多いです。

私は簿記通信講座を2012年から運営してきて数百名の合格者をこれまでに送り出させていただきました。もちろん継続性の原則についても熟知しています。

この記事では継続性の原則の意義や目的、正当な理由の具体例についてわかりやすく解説します。

この記事を読めば継続性の原則についてより深く理解できるので、簿記1級の会計学や税理士試験で継続性の原則に関する問題が出題されても自信を持って解答できるようになります。

結論を一言で言うと、継続性の原則は会計処理を正当な理由なく変更してはならないという原則です。継続性の原則には「企業の期間比較をしやくするため」「会計操作を排除するため」という目的があります。

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継続性の原則の意義:会計処理を正当な理由なく変更してはならないという原則

次の原則が継続性の原則です。

企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。

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なぜ継続性の原則が必要なのか

継続性の原則には次の2つの目的があると考えられています。

  • 財務諸表の期間比較をしやすくするため
  • 会計操作を排除するため

財務諸表の期間比較をしやすくするため

「財務諸表の期間比較をしやすくするため」という点については次に引用する「企業会計原則注解・注3」で詳しく書かれています。

企業会計上継続性が問題とされるのは、一つの会計事実について二つ以上の会計処理の原則又は手続の選択適用が認められている場合である。

このような場合に、企業が選択した会計処理の原則及び手続を毎期継続して適用しないときは、同一の会計事実について異なる利益額が算出されることになり、財務諸表の期間比較を困難ならしめ、この結果、企業の財務内容に関する利害関係者の判断を誤らしめることになる。

従って、いったん採用した会計処理の原則又は手続は、正当な理由により変更を行う場合を除き、財務諸表を作成する各時期を通じて継続して適用しなければならない。

なお、正当な理由によって、会計処理の原則又は手続に重要な変更を加えたときは、これを当該財務諸表に注記しなければならない。

企業会計原則注解・注3で出てくる「一つの会計事実について二つ以上の会計処理の原則又は手続の選択適用が認められている場合」の例として次の2つがあげられます。

  • 減価償却(定額法・定率法・生産高比例法など)
  • 棚卸資産の原価配分方法(先入先出法・移動平均法・総平均法など)

二つ以上の会計処理の原則又は手続が認められているからといって、経営者が恣意的に会計処理の原則又は手続きを変えることを認めてしまっては財務諸表の期間比較ができなくなってしまいます

財務諸表の期間比較ができないと、その企業の業績が伸びているのか落ちているのか分かりません。

財務諸表が利用しづらくなってしまうので会計処理の原則又は手続は一度採用したら継続して適用しなければならないことになっています。

一つの会計事実について二つ以上の会計処理の原則又は手続の選択適用が認められている理由

一つの会計事実について一つの会計処理の原則または手続しか認めないのであれば継続性の問題はそもそも発生しません。

にも関わらず、なぜ一つの会計事実について二つ以上の会計処理の原則又は手続の選択適用が認められているのでしょうか。

この理由は「それぞれの会計処理の原則や手続に特に問題点がないから」だと考えられています。

会計原則はそもそも「一般に公正妥当と認められた会計原則」を文章にしたものです。

世間で行われていた色々な会計処理の原則や手続から公正妥当と言えないものを排除する形で作られています。

こういった事情があるので、特に問題点が見当たらない会計処理の原則や手続は認めざるをえなくなります。

例えば減価償却においてA社は定額法、B社は定率法を使っている状態で会計原則を作成した場合、定額法と定率法に優劣がつけられないのでどちらも認めざるを得ないことになります

「会計原則がまず最初にあって会計が行われるようになった」のではなく「会計が行われているところに会計原則を後出しで作った」ことが二つ以上の会計処理の原則又は手続が認められている根本の原因です。

会計操作を排除するため

会計処理の原則又は手続を恣意的に変更することで利益を操作することができます。

例えば減価償却の場合、定額法よりも定率法の方が初期に計上される減価償却費が大きくなるので、減価償却費が大きくなった分だけ利益を小さくできます。

つまり、次のようなことができるのです。

  • 利益を大きくしたい→定額法を採用する
  • 利益を小さくしたい→定率法を採用する

このようなことを自由にできるのであれば財務諸表が信用できないものになってしまいます。そこで、会計処理の原則又は手続は一度採用したら継続して適用しなければならないことになっています。

会計操作を排除するためとは企業会計原則に書かれていない

先ほど引用した企業会計原則注解・注3をもう一読むと分かるのですが、企業会計原則注解・注3にはどこにも「会計操作を排除するため」とは書かれていません。なぜなのでしょうか。

企業会計原則に「会計操作を排除するため」と書かれていないのは「企業会計原則は性善説で作られているから」です。

企業会計原則は法律ではないので「人間は決まりがなければ悪いことをする」という性悪説で作る必要はないのです。

ときどき「企業会計原則(企業会計基準)に書かれていないからその考えは間違っている」という論調を耳にすることがあるのですが、企業会計原則(企業会計基準)に書かれていないから間違いと一概に言えるものではありません。

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継続性の原則における「正当な理由」の2つの具体例

会計処理の原則又は手続は正当な理由があれば変更することができます。

企業会計原則注解3・注3の末文から読み取れます。

「正当な理由」には次のようなものがあります。

  • より合理的な方法への変更
  • 法律等の改正などに伴う変更

より合理的な方法への変更の具体例

より合理的な方法への変更の例としては「税法で規定された方法で会計処理を行っていたけれどより会計的にふさわしい会計処理に変更する場合」などがあてはまります。

例えば減価償却で「耐用年数を税法の規定どおりにしていたけれど、現実には税法に規定された耐用年数よりも確実に長持ちすることが分かった場合に耐用年数を変更する」などがあります。

法律等の改正などに伴う変更の具体例

新しい会計基準が公表され、今まで使っていた会計処理が使えなくなった場合などがあてはまります。

以前は棚卸資産の原価配分方法で「後入先出法」が認められていたのですが、2010年4月1日以後に開始する事業年度から廃止されています。

そこで、後入先出法を使っていた企業は他の方法に変更することになりました。これが「法律等の改正などに伴う変更」の例です。

ちなみに、継続性の原則が問題にしているのは「正当な方法→正当な方法」の場合のみです。

「正当な方法→正当でない方法」や「正当でない方法→正当でない方法」が認められるわけがありませんし、「正当でない方法→正当な方法」は継続性の原則以前に変更しなければなりません。

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継続性の原則はかなり論理的に無理がある原則である

継続性の原則はかなり論理的に無理がある原則であると個人的には考えています。

例えば、減価償却の方法は定額法・定率法・生産高比例法などが認められていますが、保守主義の原則からすれば定率法が明らかに優れています。

また、棚卸資産の原価配分方法は先入先出法・移動平均法・総平均法などが認められていて、確かに棚卸資産の性質によってそれぞれ適切なものがありそうです。

しかし棚卸資産の原価配分方法は棚卸資産の現実の動きと同じでなくても構わないのです。

明らかに先に入ってきたものが先に出て行くような棚卸資産でも移動平均法を採用しても全く問題ないのです。

このような状況であるにも関わらず「最初の1回のみは選択適用できる」ことにして「2回目以降は継続適用しなければならない」というのはやや矛盾があるといえます。

それならば「一つの会計事実について一つの会計処理の原則又は手続しか認めない」ということにして継続性に関する問題そのものをなくした方がいいのではないかと思っています。

こちらの方がシンプルでいいのではないでしょうか。

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【まとめ】継続性の原則の意義

継続性の原則は会計処理を正当な理由なく変更してはならないという原則です。継続性の原則には「企業の期間比較をしやくするため」「会計操作を排除するため」という目的があります。

会計処理の原則又は手続は正当な理由があれば変更することができます。

継続性の原則における「正当な理由」は次のようなものがあります。

  • より合理的な方法への変更
  • 法律等の改正などに伴う変更
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