貨幣的測定の公準(貨幣的評価の公準)

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。前回お伝えした会計公準である継続企業の公準に引き続き、3つ目の会計公準である貨幣的測定の公準(貨幣的評価の公準)についてお伝えしていきます。

貨幣的測定の公準(貨幣的評価の公準)

会計を行うためには、企業の活動を測定する必要があります。この測定には何らかの「ものさし」が必要です。このものさしに「金額(日本においては「円」)」を使うというのが貨幣的測定の公準です。

企業の活動は多くの種類があるので測定単位は無数にあります。例えば、建物なら「棟」や「家」、車両なら「台」、土地なら「平方メートル」「坪」などです。

単位がばらばらであれば合計は当然一致しませんし、会計情報が混乱してしまいます。そこで「全ての企業の活動は金額で測定する」という前提を作ったのです。

貨幣的測定の公準(貨幣的評価の公準)が意味する会計の限界

貨幣的測定の公準は金額をものさしとして企業活動を測定するという前提です。この前提に従うならば次の2つが貨幣的測定の公準が意味する会計の限界となります。

  1. ものさし自体の長さが変わってしまうと不正確になる(インフレーションやデフレーションといった貨幣価値の変動により測定が不正確になる)
  2. ものさしで測ることができないものは測定できない(「企業の信用」など、お金では測れない価値などは財務諸表に表れない)

なので、貨幣価値の変動はないものとみなされ、また、金額で測れないものもないものとみなされます

「貨幣価値の変動により測定が不正確になる」という会計の限界

これまでの会計公準が意味する会計の限界の中でも、この貨幣的測定の公準が意味する会計の限界、特に1の限界は最も深刻なものです。

なぜなら、企業実体の公準も継続企業の公準も、一部の例外的な状況を除き、それなりに受け入れることができる前提ですが、この貨幣的測定の公準が意味する「貨幣価値が変動しないという前提」は明らかに現実を反映していないからです。

貨幣価値は毎日毎日刻一刻と変動しているのが現実です。「貨幣価値が変動しないという前提」は会計を成り立たせるために現実を無視して強引に作り出した前提なのです。

なのでこの「貨幣価値が変動しないという前提」は実質的には破綻しています。その結果、(特に歴史のある企業の)貸借対照表に計上されている金額が、ただの名目的なものになってしまっているのです。

ちなみに、ハイパーインフレなどのように貨幣価値の変動がないという前提を維持することが不可能になるほど貨幣価値が変動した場合は法令等によって「貨幣価値変動会計」や「インフレーション会計」が適用されることもあります。

「お金では測れない価値などは財務諸表に表れない」という会計の限界

また「お金では測れない価値などは財務諸表に表れない」という会計の限界も深刻なものです、なぜなら、企業の本質的な価値はお金では測れないものの中にこそあるからです。

もし企業の価値がお金で測ることができるものだけなのであれば、その企業の「お金で測ることができる資産」を準備しさえすれば同じ収益力の企業が作れるはずです。

しかし、現実にはそのようなことは不可能です。お金で測ることができないものはお金で買うことができず、そのお金で測ることができない部分が企業の収益力に大きな影響を与えているからです。

お金では測れない価値とは「企業の信用(ブランド)」「他の追随を許さない職人の存在(凄腕のプランナー、ディレクター、作家なども含みます)」「カリスマ経営者」「販売網(チャネル)」「有力者とのコネクション」などでしょうか。

こういった価値が財務諸表に表れないことで財務諸表の有効性も大幅に下がっています。

もちろん、こういった「お金で測れない価値」を財務諸表に計上することにより発生する問題もあります。この問題はさらに深刻で、お金で測れない価値を財務諸表に計上するようになると、財務諸表の価値が全くなくなってしまう危険があります

なので「お金で測れない価値」を財務諸表に計上すべきと言っているわけではありません。あくまでも「お金では測れない価値が財務諸表に計上されないことで財務諸表の有効性が下がっている」という事実だけをお伝えしていると考えてください。

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