原価の本質~原価計算基準~

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。簿記1級では原価計算基準についての理論問題が出題されることがあります。なので原価計算基準を読むことが望ましいのですが、この原価計算基準は非常に難解な文章となっています。

そこで、原価計算基準の解説を行っていきます。今回は原価計算基準の第一章の三である「原価の本質」についてお伝えしていきます。

原価の本質

原価計算基準の第一章の三である「原価の本質」では、「原価とは何か」について書かれています。では早速、一文ずつ解説していきます。

原価計算制度において、原価とは、経営における一定の給付にかかわらせて、は握された財貨又は用役(以下これを「財貨」という。)の消費を、貨幣価値的に表わしたものである。

口語訳
原価計算制度において、原価とは、製品やサービスの提供に関する材料や労働力の消費で、金額で表したものである。

解説
原価計算制度において、原価とは次の3つの要素を満たしたものであるということです。

  • 製品やサービスの提供のために消費されたモノやサービスの消費
  • 金額で表されたもの

(一)原価は、経済価値の消費である。

口語訳
原価は、経済的な価値があるものを消費したときに認識する

解説
原価は経済価値の消費なので、経済的な価値が全くないもの、つまり無料で手に入るもの(空気や太陽光など)は消費しても原価とは考えません。

また、消費しないもの(土地や著作権など)や消費していないもの(買っただけで使っていない材料や消耗品など)は原価とは考えません。

経営の活動は、一定の財貨を生産し販売することを目的とし、一定の財貨を作り出すために、必要な財貨すなわち経済価値を消費する過程である。

口語訳
経済活動とは製品やサービスを生産・販売することが目的で、そのためにモノ(材料)やサービス(労働力)を消費する過程である。

原価とは、かかる経営過程における価値の消費を意味する。

口語訳
原価とは経営過程での価値(モノやサービス)の消費のことである。

(二)原価は、経営において作り出された一定の給付に転嫁される価値であり、その給付にかかわらせて、は握されたものである。

口語訳
原価は製品やサービスの提供に転嫁される(振り替えられる)価値で、製品やサービスの提供と関係する形で把握されるものである

解説
この一文は製造業で考えると分かりやすいです。工業簿記で「材料・労務費・経費→(製造間接費)→仕掛品→製品」と勘定が振り替えられていきますが、このことを「転嫁される」と表現しています。

ここに給付とは、経営が作り出す財貨をいい、それは経営の最終給付のみでなく、中間的給付をも意味する。

口語訳
給付は経営で作り出される製品やサービスで、最終的に給付されるもの(製品など)だけでなく、中間的給付(半製品・仕掛品など)も含む。

(三) 原価は、経営目的に関連したものである。

口語訳
原価は、経営の目的に関連したものである。

経営の目的は、一定の財貨を生産し販売することにあり、経営過程は、このための価値の消費と生成の過程である。

口語訳
経営の目的は製品やサービスを提供することで、経営過程とは製品やサービスを提供するために価値を消費したり生み出したりする過程である。

解説
製品を製造するために材料や労務費を消費するとともに仕掛品を生み出し、仕掛品や労務費を消費しながら製品を生み出しているということです。

原価は、かかる財貨の生産、販売に関して消費された経済価値であり、経営目的に関連しない価値の消費を含まない。

口語訳
原価は製品やサービスの提供に関連して消費されたものである。したがって消費やサービスの提供に関連しない価値の消費は原価には含まない。

財務活動は、財貨の生成および消費の過程たる経営過程以外の、資本の調達、返還、利益処分等の活動であり、したがってこれに関する費用たるいわゆる財務費用は、原則として原価を構成しない。

口語訳
財務活動(資金調達や資金の返済、配当の支払などの活動)は製品やサービスの提供に関連するとはいえないので、財務活動のためにかかった費用(「支払利息」や「手形売却損」、剰余金の処分である「配当金」など)は原価には含まない。

解説
財務活動にかかった費用(営業外費用)は原価には含みません

ちなみに「製品の販売のための費用(販売費)」や「会社の全般的な管理のための費用(一般管理費)」は「製品やサービスの提供に関連して消費されたもの」と解釈されているので原価に含みます。

ただ、原価には含みますが「製造原価」には含みません。販売費や一般管理費まで含めた原価は「総原価」と言われます。一般に工業簿記で「原価」という場合「製造原価」を意味するので、やや注意が必要です。

(四) 原価は、正常的なものである。

口語訳
原価は、正常(通常の状態)なものしか認めない。

原価は、正常な状態のもとにおける経営活動を前提として、は握された価値の消費であり、異常な状態を原因とする価値の減少を含まない。

口語訳
原価は、正常な状態での経営活動におけるモノやサービスの消費なので、異常な状態でのモノやサービスの消費は原価には含まない

解説
異常な状態での費用(特別損失)は原価に含まないので、例えば災害が原因で発生した「災害損失」などは原価には含みません。

(三)と(四)をざっくりとまとめると次のようになります。

  • 製品の製造に直接的に関連しているもの(材料・労務費・経費など):原価(総原価にも製造原価にも含まれる)
  • 販売費及び一般管理費:原価(総原価には含まれるが製造原価には含まれない)
  • 営業外費用:原価には含まれない(非原価)
  • 特別損失:原価には含まれない(非原価)

これで原価計算基準の第一章の三である「原価の本質」は全て終了です。原文は非常に読みづらいのでできるだけ分かりやすく解説(口語訳)しました。このような形で意味を理解しながら原文を何度も読み込むことで、徐々に原価計算基準を自分のものにしていってください。

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