原価計算制度~原価計算基準~

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。簿記1級では原価計算基準についての理論問題が出題されることがあります。なので原価計算基準を読むことが望ましいのですが、この原価計算基準は非常に難解な文章となっています。

そこで、これからしばらくにわたって原価計算基準の解説を行っていこうと思います。今回は原価計算基準の第一章の二である「原価計算制度」についてお伝えしていきます。

原価計算制度

原価計算基準の第一章の二である「原価計算制度」では、文字通り「原価計算制度」について書かれています。では早速、一文ずつ解説していきます。

この基準において原価計算とは、制度としての原価計算をいう。

口語訳
「原価計算基準」において「原価計算」は「制度としての原価計算(原価計算制度)」のことを言う。

解説
これから先は「原価計算=原価計算制度」として書いていくということです。

原価計算制度は財務諸表の作成、原価管理、予算統制等の異なる目的が、重点の相違はあるが相ともに達成されるべき一定の計算秩序である。

口語訳
原価計算制度は「財務諸表の作成」「原価管理」「予算統制(予算管理の一部)」などの目的が達成されるための計算秩序である。

解説
原価計算の目的~原価計算基準~で原価計算の目的は「財務諸表作成目的」「価格計算目的」「原価管理目的」「予算管理目的」「基本計画設定目的」の5つだと書かれていましたが、ここでは3つに減っています。

つまり「価格計算目的」「予算の編成(予算管理目的の一部)」「基本計画設定目的」がなくなっています。

「価格計算目的」「予算の編成(予算管理目的の一部)」「基本計画設定目的」を原文の「等」に含まれると解釈することもできなくもないですが、かなり無理がある解釈です(これだけ重要なものを「等」とするのは常識的にありえません)。

実はこれが「原価計算」と「原価計算制度」の違いです。

「原価計算基準の第一章の一」では「原価計算」の目的が書かれていて、「原価計算基準の第一章の二」では「原価計算制度」の目的が書かれているのです。

つまり原価計算制度には「価格計算目的」「予算の編成(予算管理目的の一部)」「基本計画設定目的」は含まないということです。

かかるものとして原価計算制度は、財務会計機構のらち外において随時断片的に行なわれる原価の統計的、技術的計算ないし調査ではなくて、財務会計機構と有機的に結びつき常時継続的に行なわれる計算体系である。

口語訳
原価計算制度は財務会計と有機的に結びついていて、いつも継続して行われる計算体系のことである。必要なときのみ行われる「原価の統計的、技術的計算ないし調査(特殊原価調査)」は原価計算制度には含まない。

解説
原価計算制度は財務会計と結びついている原価計算に限定しているということです。

原価計算制度は、この意味で原価会計にほかならない。

口語訳
原価計算制度は原価会計と言っていいくらい「会計」を意味している。

解説
この文も「原価計算制度は財務会計と結びついている原価計算に限定している」ことを意味しています。

原価計算制度において計算される原価の種類およびこれと財務会計機構との結びつきは、単一ではないが、しかし原価計算制度を大別して実際原価計算制度と標準原価計算制度とに分類することができる。

口語訳
「原価計算制度で計算する原価の種類」には実際原価や標準原価があるので、「財務会計」と結びつく原価は一つではない。また、原価計算制度は「実際原価計算制度」と「標準原価計算制度」に分類できる。

実際原価計算制度は、製品の実際原価を計算し、これを財務会計の主要帳簿に組み入れ、製品原価の計算と財務会計とが、実際原価をもって有機的に結合する原価計算制度である。

口語訳
実際原価計算制度は、製品の実際原価を計算し、その実際原価を仕訳帳や総勘定元帳に組み入れる。製品原価の計算と財務会計が実際原価で結びついているのが実際原価計算制度である

解説
実際原価計算制度の説明です。実際原価計算制度は次の手順で行う原価計算制度だと書かれています。

  1. 製品の実際原価を計算する
  2. 実際原価を財務会計の主要簿(仕訳帳と総勘定元帳)に組み入れる

このことによって「製品の原価」と「財務会計」が実際原価で有機的に結びつきます。

原価管理上必要ある場合には、実際原価計算制度においても必要な原価の標準を勘定組織のわく外において設定し、これと実際との差異を分析し、報告することがある。

口語訳
原価管理上必要なときは、実際原価計算制度であっても原価の標準を帳簿外に設定して、原価の標準と実際との差異を分析・報告することがある。

解説
原価管理をする上で必要があれば、実際原価計算制度であっても原価の標準を設定して原価の標準と実際との差異を分析・報告することがあります。

この処理は一見「標準原価計算」のようですが、「勘定組織の枠外」つまり「帳簿外」でメモ書きのような形で標準原価を使っているので標準原価計算ではなく実際原価計算にあてはまるということです。

標準原価計算制度は、製品の標準原価を計算し、これを財務会計の主要帳簿に組み入れ、製品原価の計算と財務会計とが、標準原価をもって有機的に結合する原価計算制度である。

口語訳
標準原価計算制度は、製品の標準原価を計算し、その標準原価を仕訳帳や総勘定元帳に組み入れる。製品原価の計算と財務会計が標準原価で結びついているのが標準原価計算制度である

解説
標準原価計算制度についての説明です。標準原価計算制度は次の手順で行う原価計算制度だと書かれています。

  1. 製品の標準原価を計算する
  2. 標準原価を財務会計の主要簿(仕訳帳と総勘定元帳)に組み入れる

このことによって「製品の原価」と「財務会計」が標準原価で有機的に結びつきます。

標準原価計算制度は、必要な計算段階において実際原価を計算し、これと標準との差異を分析し、報告する計算体系である。

口語訳
標準原価計算制度は、必要な段階で実際原価を計算する。そして、実際原価と標準原価との差異を分析、報告する計算体系である。

解説
標準原価計算制度では、実際原価と標準原価を比較・分析・報告するということです。

企業が、この基準にのっとって、原価計算を実施するに当たっては、上述の意味における実際原価計算制度又は標準原価計算制度のいずれかを、当該企業が原価計算を行なう目的の重点、その他企業の個々の条件に応じて適用するものとする。

口語訳
企業が原価計算を行う場合は、「実際原価計算制度」「標準原価計算制度」のどちらかを、その企業の原価計算の目的や条件から判断して適用する。

解説
企業は原価計算の目的や企業の環境に応じて実際原価計算制度を適用するか標準原価計算制度を適用するかを決めることができます。

財務諸表に表示する原価を計算したいのであれば実際原価計算制度を、原価管理をしっかりと行いたいのであれば標準原価計算制度を採用することになります。

広い意味での原価の計算には、原価計算制度以外に、経営の基本計画および予算編成における選択的事項の決定に必要な特殊の原価たとえば差額原価、機会原価、付加原価等を、随時に統計的、技術的に調査測定することも含まれる。

口語訳
「原価計算」には「原価計算制度」以外に「経営の基本計画や予算編成に必要な特殊の原価(『差額原価』『機会原価』『付加原価』など)を必要に応じて調査測定すること(特殊原価調査)」も含まれる。

解説
ざっくりと「原価計算=原価計算制度+特殊原価調査」と言うことです。

しかしかかる特殊原価調査は、制度としての原価計算の範囲外に属するものとして、この基準に含めない。

口語訳
特殊原価調査は、原価計算制度の範囲外のものとして、原価計算基準には含まない。

解説
「経営の基本計画や予算編成に必要な特殊の原価(『差額原価』『機会原価』『付加原価』など)を必要に応じて調査測定すること」を特殊原価調査と言いますが、原価計算制度には特殊原価調査は含めないということです。

なので特殊原価調査については原価計算基準では何も規定されていません

これで原価計算基準の第一章の二である「原価計算制度」は全て終了です。原文は非常に読みづらいのでできるだけ分かりやすく解説(現代語訳)しました。このような形で意味を理解しながら原文を何度も読み込むことで、徐々に原価計算基準を自分のものにしていってください。

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