退職給付引当金の取引と仕訳

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。この記事では退職給付引当金の取引と仕訳について解説します。

退職給付引当金

長期間働いた従業員が退職した場合は、退職金を受け取ることがあります。この取引を企業の側から見た場合、退職金を支払うということになります。

退職金を支払うのは、退職金を支払うという内容の契約が従業員と企業との間にあるからです。この契約がなければ、そもそも退職金を支払う義務はありません。

退職金を支払うという契約があるということは、将来退職金を支払わなければならないという義務が既に発生しているということです。よって、将来支払うべき退職金のうち当期で負担するべき分を引当金として計上することになります。

2つの退職金

退職金は退職一時金と退職年金という2つがあります。

  • 退職一時金…退職時に一括で受け取る退職金
  • 退職年金…退職時から分割で受け取る退職金

上記のような違いがあります。また、次のように様々な形態があります。

  • 契約によってどちらで受け取るか決まっている企業
  • 退職時にどちらにするか選択できる企業
  • どちらとも併用できる企業

この2つをまとめて退職金と言います。

退職金に引当金を計上できる理由

先ほど「将来支払うべき退職金のうち当期で負担するべき分を引当金として計上することになる」とお伝えしました。なぜここで引当金を計上するのでしょうか。ここについて深く考えてみましょう。

まずは、退職給付引当金を設定しなかったらどうなるか考えてみます。勤続年数5年、退職時に支払う退職金(全額退職一時金)1,000,000円とします。退職給付引当金を設定していない場合は、退職金を支払った期に支払った金額の全てが費用として計上されます。

よってこの従業員に対する費用は次のようになります。

  • 1年目…0円
  • 2年目…0円
  • 3年目…0円
  • 4年目…0円
  • 5年目…1,000,000円

これはまずいです。退職金はこの従業員が働いた全期間に対応する費用です。それが5年目だけの費用として計上されるのでは適正とはいえません。

5年間の労働に対して1,000,000円を支払うのだから、1年当たり(1,000,000円÷5=)200,000円が費用となるように5年間で配分して、次のようになるのが適正です。

  • 1年目…200,000円
  • 2年目…200,000円
  • 3年目…200,000円
  • 4年目…200,000円
  • 5年目…200,000円

まとめると、そのままでは支払った期に全額が費用として計上されてしまう退職金を働いた期間で配分するために退職給付引当金を設定するということになります。

ちなみに、本当は退職給付引当金の金額は上記のように(1,000,000円÷5=)200,000円という計算は行いません。もっと複雑な計算を行います。この計算は簿記1級の内容で、現時点では難しすぎます。

そこで、分かりやすさを重視して(1,000,000円÷5=)200,000円をいう本来ならばありえない計算を行っています。簿記2級では計算自体は全く出題されず、仕訳ができれば十分なので安心してください。

退職給付引当金の取引と仕訳

退職給付引当金の計上

「決算において、全従業員の退職給付引当金800,000円を計上した」場合の仕訳について考えてみましょう。

退職給付引当金を800,000円計上しているので、『(貸)退職給付引当金800,000』となります。この退職給付引当金という勘定は当期に発生した将来引当金を支払う義務を表します。義務の発生なので負債となります。負債の発生は貸方に記入します。

次は借方です。退職給付引当金を設定した場合の借方は退職給付費用という勘定を使います。この退職給付費用という勘定は退職金に関する当期の費用を表します。『(借)退職給付費用800,000』となります。費用の発生なので借方に記入します。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
退職給付費用 800,000 退職給付引当金 800,000

仕訳のイメージとしては簿記3級で学習した貸倒引当金の設定時の仕訳である次の仕訳と同じです。

(借)貸倒引当金繰入 800,000/(貸)貸倒引当金 800,000

退職金を支払った

「従業員が退職し、退職金500,000円を現金で支払った。なお、退職給付引当金は今までに1,000,000円設定してある。」場合の仕訳について考えてみましょう。

現金で500,000円支払うので、『(貸)現金500,000』となります。

また、退職金を実際に支払うので、今まで設定してきた退職給付引当金を取り崩します。

退職給付引当金の設定金額(1,000,000円)が退職金の支払金額(500,000円)より多いので、支払金額の分だけ退職給付引当金を取り崩せば問題ありません。よって、『(借)退職給付引当金500,000』となります。

まとめると次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
退職給付引当金 500,000 現金 500,000

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“退職給付引当金の取引と仕訳” への4件のフィードバック

  1. タロウ より:

    ■退職給付引当金

    はじめまして。
    簿記2級合格を目指して勉強しています。
    現在のレベルは退職給付引当金を調べている程度です。
    分かりやすい説明で助かりました。
    今後も活用させて頂きます。

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。お役に立てて嬉しいです。簿記の勉強がんばってください。応援してます。

  2. ゴンドラマスター より:

    ■満点でした\^o^/

    先日の【全経1級】工業簿記が【満点】でした(^O^)/

    簿記で満点を取ったのは2回目になりました

    日ビ2級 商業簿記【満点】以来です

    やはりなかなか満点とかはかなり難しいと思われます

    快挙達成ですが勉強時間はわずかに1週間もありませんでした

    からっぽの状態でしたがネットスクールのDVDを全部見ました

    そしたら記憶がよみがえったのです

    桑原先生は2級の神様ですね

    明日は大原の1級月例試験

    日曜日は日ビ1級 商業簿記の試験です

    完全にまずい状態ですが体験することに意義があると思うのであせらずがんばります

    • dokuboki より:

      コメントありがとうございます。快挙達成やりましたね。
      この調子でがんばっていきましょう。応援しています。

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