試算表のミス発見能力

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。

試算表は総勘定元帳の記録が正しいかどうかを確かめるために作成される表です。簿記では「取引→仕訳帳→総勘定元帳」という流れで記帳・転記されるのですが、この転記が正しく行われているかどうか確かめるのが試算表です。

この記事では試算表のミス発見能力について解説します。

試算表の借方と貸方が同じになる理由

試算表の借方合計と貸方合計は常に同じになりますが、そうなる理由は次のとおりです。

  1. 仕訳の借方と貸方の金額は必ず同じになる
  2. 借方と貸方が同じである仕訳が転記されるので、総勘定元帳の各勘定の借方の合計と貸方の合計は必ず同じになる
  3. 総勘定元帳の借方合計と貸方合計を集計した合計試算表の借方合計と貸方合計も同じになる
  4. 合計試算表から各勘定の借方と貸方を相殺した残高試算表の借方合計と貸方合計も同じになる

これにより、1~4のどこにもミスがなければ試算表の貸借は必ず同じになります。これは、逆に言えば「一致しなければどこかに誤りがある」ということでもあります。

誤りの原因

先ほどの1~4がミスなく行われれば貸借が一致します。ということは、もし貸借が一致しなければ1~4のどこかに誤りがあるということになります。なので誤りの原因としては次の4つが考えられます。

  1. 仕訳の借方と貸方が同じ金額になっていない(1に誤りがある)
  2. 仕訳から総勘定元帳への転記漏れや二重転記(2に誤りがある)
  3. 合計試算表への集計時の漏れや二重転記(3に誤りがある)
  4. 合計試算表から残高試算表への差額計算時の計算ミス(4に誤りがある)

ミスの発見の難易度

このうち、3や4のミスは金額を突き合わせればすぐに気づくことができます。

それに対して気づくのに大変なのは2のミスです。2のミスは転記を一つ一つ見直さなければならないので、非常に手間がかかります。

比較的すぐにミスを見つける方法として、「不一致の差額を計算し、この金額にあてはまる転記漏れを調べる」という方法がありますが、この方法は誤りが2箇所以上ある場合には発見できないので完全とはいえません。やはり2のミスの発見は難しいです。

また、1のミスは通常はほとんどありません。やはり貸借が一致しない仕訳を切るというのは、よほどの初心者でない限り行わないからでしょう。万が一起こってしまった場合は2のミスと同じように仕訳を一つ一つ見直すことになるので、非常に手間がかかります。

試算表のミス発見能力

試算表の貸借合計が一致しなかった場合、先ほど確認した1~4のどこかにミスがあるということが分かります。

ですが、それ以外のミス、例えば、「仕訳自体が借方と貸方の金額が同じという関係を維持したまま間違っていた場合」や「転記先を間違えた場合」、「同じ仕訳の二重転記」などのミスは1~4のどれにもあてはまらないミスのため試算表では発見できないミスになります。

このように、試算表のミス発見能力はそれほど強くはありません。なので「貸借合計が一致したからミスはない」と過信しないことが大切です。

簿記検定で貸借一致の確認は行うべきか?

簿記検定では借方合計の欄と貸方合計の欄に点数が割り当てられることはほとんどありません。借方合計と貸方合計を計算するのにも時間はかかるので、 時間を惜しむのであればここを埋める必要はないともいえます。

貸借一致を確認するメリット

貸借一致を確認するメリットは「貸借が一致しなくなるようなミスに気づくことができる」ことです。貸借が一致しなくなるようなミスは次のようなミスです。

  • 1つの仕訳の中で借方と貸方が一致していない
  • 借方か貸方のどちらかに書き忘れた
  • 借方に書くべきことを貸方に書いてしまった(逆も)
  • 借方 に50,000、貸方に5,000というように0の数を間違えた

ミスに気づくことができれば、そのミスを修正することで得点を上乗せすることができるので、この点は紛れもなくメリットになります。

貸借一致を確認するデメリット

貸借一致を確認するデメリットとしては次のようなものがあります。

  • 借方合計の欄や貸方合計の欄には通常は配点がないので点数的に意味がない
  • 電卓のスピードにもよるが、それなりに時間を使う
  • 全てのミスを発見できるわけではない
  • 貸借が不一致だったとしてもどこにミスがあるのかを見つけるのにはかなりの時間がかかる

借方合計の欄や貸方合計の欄には通常は配点がないので点数的に意味がない

借方合計の欄や貸方合計の欄には通常は配点がありません。なので、たとえ埋めてもそれだけでは1点も点数が増えません。

電卓のスピードにもよるが、それなりに時間を使う

これは個人差も多く、また問題にもよりますが、早い人でも1分、5分から10分かかる人もいます。この時間のロスは痛いので、まだ解くべき問題が残っている段階で貸借一致の確認を行うのは少々危険です。

全てのミスを発見できるわけではない

金額そのものを間違えてしまっていた場合には借方と貸方が同じ金額ずつ変わるので、貸借一致の確認をしたとしてもミスには気づけません。貸借は一致しているのに不正解ということになります。

貸借が不一致だったとしてもどこにミスがあるのかを見つけるのにはかなりの時間がかかる

貸借が不一致だったとしてもどこにミスがあるのかを見つけるのにはかなりの時間がかかることもあります。

ミスが1ヶ所であれば短時間で見つける方法 もありますが、2ヶ所以上のミスだった場合は全ての仕訳をチェックしなおす必要があります。場合によっては数十分以上の時間がかかることもあります。

これらを総合的に考えると、貸借一致の確認は次のような要領で行うべきだと言えます。

  • まだ解くべき問題が残っている段階では貸借一致の確認はやらない
  • 全ての問題を解き終わり、なおかつ時間が多く余っていて他に見直すべきところがなければ貸借一致の確認を行う意味がある

一般的に言えば、きちんと実力があれば簿記3級や簿記2級ではかなりの時間が余るので貸借一致の確認をやるべきだといえます。しかし簿記1級の場合はかなりの実力者でも時間が大幅に余ることはまずないので貸借一致を確認する機会はほとんどないと言えます。

ちなみに…合計試算表の実務での取り扱い

先ほど解説したように、簿記の教科書としての説明としては「仕訳帳→総勘定元帳→合計試算表→残高試算表」という流れで学習します。しかし、実は実務では合計試算表は作られないことがほとんどです。

理由は「実務では総勘定元帳は残高式だから」です。簿記の教科書では総勘定元帳は「T字勘定」で書かれるようなものを想定しています。

ですが、「T字勘定」では、その勘定の残高が見ただけでは分からないので、残高式(補助簿で見られるような、そのつど残高を記入する方式)で作ることがほとんどです。結果、合計試算表は作ることはほとんどなくなります。

とはいっても「仕訳帳→総勘定元帳→合計試算表→残高試算表」という流れは非常に大切で、これがあっての実務なので学習上はこの考え方を重視します。

実務と学習が違う例の1つです。

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