前から簿記を勉強していた人の「簿記2級の出題範囲の大改定」の対応

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平成28年に日商簿記2級で試験範囲の大幅な改定がありました。この改定前から簿記を勉強されていた方は「これまでの勉強が無駄になってしまうのでしょうか」といったご心配の声が寄せられています。

結論から申しますと、「平成28年の出題範囲の大改定」はこれまでの簿記の内容をきちんと理解できていれば大きな影響はないといえます。この記事では、新しく簿記2級の範囲になった論点の内容についてお伝えします。

「平成28年の出題範囲の大改定」により日商簿記2級に移動してきた論点

「平成28年の出題範囲の大改定」により、日商簿記1級の範囲だったものが日商簿記2級に移動してきました。そのため「難易度が急激に上がった」と感じている方も多いようです。

確かに日商簿記1級の範囲だったものが日商簿記2級に移動してきたのは事実です。しかし、日商簿記1級の範囲だったものも難易度は日商簿記2級レベルで出題されていますし、特に難しくなったわけではないのが本当のところです。

平成28年から日商簿記2級に移動してきた論点は次のとおりです。

  • 売上原価対立法
  • クレジット売掛金
  • 電子記録債権(電子記録債務)
  • 貸倒引当金の個別評価と一括評価
  • 各種引当金
  • 固定資産の割賦購入
  • ソフトウェア(自社利用)
  • 有価証券の分類と評価
  • 株主資本の計数変動
  • 資本剰余金からの配当
  • 売上の計上基準
  • サービス業の処理

一つ一つ見ていきましょう。

売上原価対立法

新たに簿記2級に売上原価対立法という会計処理が加わりました。これは「三分法(簿記3級)」と「分記法(簿記4級)」を足して2で割ったような会計処理で、難易度としては三分法より簡単です。

決算整理も特に不要です。もし三分法ができて売上原価対立法ができない場合、三分法の仕訳をただ暗記していて、仕訳の意味などが理解できていない可能性があります。

三分法をきちんと理解できていれば売上原価対立法を恐れることはありません。

クレジット売掛金

新たに簿記2級にクレジット売掛金という論点が追加されました。仕訳の考え方は売掛金と全く同じです。

売掛金をしっかりと理解していればクレジット売掛金をわざわざ勉強する必要はありません。

電子記録債権(電子記録債務)

新たに簿記2級に電子記録債権と電子記録債務という論点が追加されました。仕訳の考え方は電子記録債権=受取手形、電子記録債務=支払手形と全く同じです。

手形についてしっかりと理解していれば電子記録債権や電子記録債務をわざわざ勉強する必要はありません。

貸倒引当金の個別評価と一括評価

これまでは簿記3級で「貸倒引当金の一括評価」が出題されていました。新たに簿記2級で「貸倒引当金の個別評価」が追加されることになります。

一見難しそうですが、難易度としては一括評価の方が圧倒的に難しいです。個別評価を実際に行うのであればそうとも言い切れませんが、貸倒引当金をいくら計上するのか問題文で与えられるので、計算の手間が省ける分個別評価の方が簡単なのです。

新しく勉強することは何もありません。

各種引当金

簿記2級に「賞与引当金」や「返品調整引当金」が新たに追加されました。しかし、計算の難易度は「貸倒引当金の一括評価」と対して変わりません。

固定資産の割賦購入

固定資産を分割で購入した場合の会計処理が新たに簿記2級に追加されました。「固定資産を分割で購入」ということで、これまで学習した内容をしっかりと身につけておけば特に難しいことはありません。

一つやや難しい論点として、「分割払いにともなう利息をどうするのか」がありますが、これは各支払日に均等に利息額を配分する「定額法」のみが出題されることになっています。これも定額法による減価償却と同じように処理すればいいので、特に問題ないと言えます。

ソフトウェア(自社利用)

パソコン上で動くプログラム等をソフトウェアと言いますが、簿記2級で自社利用におけるソフトウェアの処理が出題されることになりました。

会計処理の方法は固定資産に極めて似ています。なので特に新しく学習することはありません。

有価証券の分類と評価

これまで簿記1級の範囲だった「子会社会社及び関連会社株式」と「その他有価証券」が簿記2級の範囲になりました。

これらの論点は新しい考え方を多く含むのでしっかりと学習しなければなりません。「子会社会社及び関連会社株式」と「その他有価証券」が何なのか、なぜそのような処理をするのかをしっかりと身につけることが大切です。

株主資本の計数変動

株主資本の中での計数の変動が簿記2級の範囲になりました。計数の変動というと難しそうですが、つまりは「株主資本内部での勘定科目の振り替え」です。

例えば「資本準備金を資本金に振り替えた」といった会計処理です。もちろんこの処理は「(借)資本準備金×××/(貸)資本金×××」です。特に難しいことはありません。

資本剰余金からの配当

これまで簿記2級で配当と言えば繰越利益剰余金からの配当でしたが、新たに資本剰余金(その他資本剰余金)からの配当が簿記2級の範囲に加わりました。

とはいえ、考え方に新しいものは何もありません。減少するのが繰越利益剰余金かその他資本剰余金かの違いしかありません。きちんとこれまでの内容を理解できていれば特に難しく感じることはないと思います。

売上の計上基準

売上をいつ計上するのか、言い換えると、いつ売上という勘定科目を使えるようになるのかに関する基準が売上の計上基準です。

通常は「商品をお客様に引き渡したとき(お客様が受け取ったとき)」が売上を計上するタイミングと言えます。これを引渡基準と言います。

通常は引渡基準ですが、引渡基準でなければならないというわけではありません。

商品を発送したときに売上を計上する「出荷基準」、お客様が商品を受け取り、きちんとした商品だと確認したときに売上を計上する「検収基準」なども認められています。

これまでの売上の計上基準だった「引渡基準」に加えて、「出荷基準」「検収基準」も新たに出題されることになりました。

新しく学習する内容ではありますが、ここに書いた内容をしっかりと理解し、取引を具体的にイメージできればそれで十分です。特に難しく考える必要はありません。

サービス業の処理

これまで商業簿記で取り扱ってきた「商品販売業」に加えて「サービス業」が新たに加わりました。

商品販売業とサービス業の最大の違いは「商品の引渡し」にあります。商品販売業の場合、商品の引渡しはほとんど一瞬ですが、サービス業の場合はある程度の期間にわたる場合が多いです(スポーツクラブや学習塾などをイメージするといいと思います)。

この違いから、やや複雑な会計処理を行う必要が出てきます。とはいえ、簿記3級で学習した経過勘定の処理(収益の繰り延べなど)をきちんと理解しておけば特に難しくありません。

また、勘定科目を「売上→役務収益」「売上原価→役務原価」とすることになりますが、これも特に問題ありません。

まとめ

新しく簿記2級に加わった論点を総ざらいしました。これらの中で改めて勉強しなければならない論点は「有価証券の分類と評価」と「自社利用の場合のソフトウェア」の2つだけだと言えます。

それ以外は、特に勉強しなくてもこれまで身につけた簿記の力で十分に解答できます。

ただ、これはしっかりと理解して身につけた場合の話であって、暗記に頼っていた場合にはこのようにはいきません。試験範囲の変更にスムーズに対応するためにもしっかりと理解して身につける意識を持つことが大切です。

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