日商簿記1級に独学で合格するための3つのポイント

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日商簿記1級の難易度は日商簿記2級までと比べると格段に難しいと言えます。また、全経簿記や全商簿記を含めても最高難度の簿記検定です。こういった事情から「日商簿記1級に独学で合格するのは難しい」と感じているのではないでしょうか。

結論から言うと、日商簿記1級に独学で合格することは十分に可能です。本日は日商簿記1級に独学で合格するために必要な3つのポイントについてお伝えします。

「独学」か「通信」か「通学」かを考える前に意識すべきこと

「独学」か「通信」か「通学」か、つまり「勉強方法」を考えるときに真っ先に意識すべきことがあります。それは次の2つです。

  • 合格に必要な要素を全て満たせれば勉強方法に関わらず合格できる
  • どのような勉強方法であっても合格に必要な要素を満たせなければ合格できない

つまり、「勉強方法ありき」ではなく、「合格に必要な要素を満たしやすい勉強方法を選択する」という視点で考えなければならないということです。

では、「合格に必要な要素」とは何でしょうか。

合格に必要な要素とは?

「合格に必要な要素」とは直接的には一つだけ、つまり「合格基準を満たすこと」です。

日商簿記1級の合格基準は「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4科目全体で70%以上得点することです。ただ、どれか1科目でも40%に満たない科目があると、全体で70%以上得点していたとしても不合格になります。

では、この合格基準を満たすために必要な要素は何でしょうか。それは次の2つです。

  • 基本的な問題(正答率が高い問題)で確実に得点すること
  • 苦手科目を作らないこと

基本的な問題(正答率が高い問題)で確実に得点すること

日商簿記1級では傾斜配点がまず間違いなく採用されています(傾斜配点については簿記1級の合格率に隠された2つの真実と簿記1級合格のための方法で詳しくお伝えしています。)。

その結果、基本的な問題(正答率が高い問題)の配点が高くなることになるので、基本的な問題(正答率が高い問題)をしっかりと解答することで得点の上昇が見込めます。

苦手科目を作らないこと

日商簿記1級の合格基準は「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4科目の中のどれか1科目でも40%に満たない科目があればその瞬間に不合格になります。

なので苦手な科目を作らないことが合格への最低条件になります(この点については簿記1級の難易度と簿記1級に挑戦する前に確認すべき3つのポイントで詳しくお伝えしています。)。

合格に必要な要素を満たすためには…

では、これら2つを満たすためにはどのようなことを身につけなければならないのでしょうか。詳しくは先ほどの2つのリンク先でお伝えしているのですが、結論は次の3つです。

  • 日商簿記2級の過去問を「1時間30分以内で95点以上」取れる実力をつけてから簿記1級に入ること
  • 暗記ではなく理解すること
  • 復習を繰り返し、同じ問題を何度も解くこと

日商簿記2級の過去問を「1時間30分以内で95点以上」取れる実力をつけてから日商簿記1級に入ること

「基本的な問題(正答率が高い問題)で確実に得点すること」にも「苦手科目を作らないこと」にも関わってくるのですが、日商簿記2級の検定試験で出題される問題と言うのは日商簿記1級の受験生から見れば全て「基本的な問題(正答率が高い問題)」です。

なのでここで失点してしまうようでは基本的な問題(正答率が高い問題)を落としてしまうことになり、結果合格が遠のいてしまいます。

また、日商簿記2級の検定試験で出題される問題が解けないということはおそらくその科目は苦手です。解けるようにしておかないと40%の得点を取ることができずに不合格となってしまう可能性が高いと言えます。

暗記ではなく理解すること

日商簿記2級までは出題パターンも比較的決まっていて、内容も少ないので暗記中心・過去問演習中心でも合格することができます。ですが、日商簿記1級になると分量が段違いに増え、また難易度も上がります。出題パターンも多彩で過去問演習だけでは対応できません

また、「会計学」という科目できちんと「基本的な問題(正答率が高い問題)」を得点するためには理解している必要があります。

暗記だと「知っている問題は解けるけれど知らない問題は解けない」という形になってしまい、「基本的な問題(正答率が高い問題)」を確実に得点できる形にはならないからです。

このように、日商簿記1級で点数を取るためには暗記ではなく理解することが大切なのです。

もちろん日商簿記2級までの範囲についても理解していなければならないことは言うまでもありません(もし暗記で日商簿記2級に合格したという方は理解中心でやり直す必要があります。)。

復習を繰り返し、同じ問題を何度も解くこと

簿記は「たくさんの練習」が必要な学問です。練習量が足りていなければ「解答に時間がかかってしまう」「ミスが多く得点が安定しない」などの状態になってしまいます。

また、「基本的な問題(正答率が高い問題)で確実に得点する」ためには「基本的な内容を完璧に身につける」必要があるのですが、完璧に身につけるためには練習量が絶対に必要です。

練習量についてですが、1回目から完答できた場合でも最低3回、できれば7回解くことをお勧めします。

合格に必要な要素を満たすために適した勉強方法について

これまでの内容から、合格に必要な要素を満たすためには次の5つが重要だと分かります。

  • 日商簿記2級の過去問を「1時間30分以内で95点以上」取れる実力をつけてから日商簿記1級に入ること
  • 簿記の勉強の仕方を身につけておくこと
  • きちんと理解して試験範囲をやり切ること
  • 分からないことを分かるようにするための道具・手段があること
  • 練習量をしっかりとこなすだけの時間をとること

では、これらを満たすために効果的な学習方法は何でしょうか。一つずつ見ていきましょう。

日商簿記2級の過去問を「1時間30分以内で95点以上」取れる実力をつけてから日商簿記1級に入ること

これは日商簿記1級の勉強をスタートするための必要条件です。この力をつけて日商簿記1級の勉強をスタートしてください。

簿記の勉強の仕方を身につけること

日商簿記1級に合格するためには「自分はどういう方法で勉強すると理解しやすいのか」「どういったペースで勉強するといいのか」など、自分自身が効率よく実力をつけることができる方法を知っておく必要があります

勉強の仕方を確立していないと日商簿記1級の合格はかなり難しいです。

簿記の勉強の仕方が日商簿記1級の勉強を開始する時点で身についていない場合、最も効果的なのは「通学」です。通学では講師が身近にいて、勉強の仕方についても色々と質問することができますし、勉強仲間もいるので、色々と参考になる情報を聞くこともできます。

次に効果的なのは「通信」です。通信では質問する講師はいるので、勉強の仕方についても色々と質問することはできますが、勉強仲間とコミュニケーションを取るのは難しいと言えます。

最も不利なのは「独学」です。独学では質問する相手が基本的にいないので、自力で勉強の仕方について確立しなければなりません。身近に日商簿記1級に合格した人がいれば参考になる意見が聞けるかもしれませんが、そうでないのであれば自分で解決しなければなりません。

日商簿記1級の勉強を開始する時点で自分が勉強の仕方をつかんでいるのかも確認して、つかんでいなければ通学か通信でなければ困難です。逆につかんでいるのであれば独学でも可能性があります。

きちんと理解して試験範囲をやり切ること

当たり前のことですが、きちんと理解して試験範囲をやり切ることが必要です。そして、「きちんと理解して試験範囲をやり切る」のに有利な勉強方法というものはありません。個人差がありすぎるからです。

通学・通信・独学には次のような特徴があるので、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

以下、通学と通信と独学の違いについてお伝えします(便宜上、ここでは「Web通学」は通信に含んでいます。)。

通学(DVD通学を除く)

通学は授業の時間が決まっているので、授業をペースメーカーにするのが向いている人は通学が向いているかもしれません。モチベーションの維持も比較的しやすいと言えます。

通学は生の授業を受けられるので、基本的には「学校」と同じです。学校での勉強スタイルが合っている方は通学がお勧めです。

また、通学は周りに勉強仲間がいて刺激を受けるので、仲間と切磋琢磨して実力をつけていくタイプの人は通学がいいかもしれません。逆に遊び仲間を作ってしまう人は通学は向いていないと言えます。

ただし、通学は大都市圏に限られるので誰もが選択できる勉強方法ではないと言えます。

通信(DVD通学を含む)

通信講座では市販の学習教材とは異なる教材が選択できるので、選択肢が広がります。また、市販の教材よりも質・量ともに高い傾向があるので、通信講座の方がいい面もあります。

ただ、質はともかく、量が大きいことが必ずしもいいとは限らないので注意が必要です(この点についてはこの記事の後半に「追記」でお伝えします。)。

また、通信の場合、「基本的に一人で」「自由な時間に」「自由な場所で」勉強できます。一応その講座の進度というものはあるのですが、自由に変更できます。

これは「忙しい人が自分のペースで勉強できる」というメリットである反面、「サボりがちな人がペースを乱してしまい試験範囲が試験日までに終わらなくなる」というデメリットにもなりえます。

モチベーションの維持という点では通学よりは難しいですが、独学よりは簡単だといえます。

独学

独学の場合は市販の学習教材で勉強することになるのですが、通信講座と違って進度・学習計画まで自分で管理しなければなりません。

そのため、通信以上に「忙しい人が自分のペースで勉強できる」というメリットと「サボりがちな人がペースを乱してしまい試験範囲が試験日までに終わらなくなる」というデメリットが強調されます。

モチベーションの維持も最も難易度が高いので、独学で勉強していくためには自己管理能力が高い人であることが絶対条件だと言えます。

分からないことを分かるようにするための道具・手段があること

「暗記ではなく理解すること」が日商簿記1級の合格に必要だと言うことは、勉強していて分からないことが出てきたときに分かるようにするための道具や手段が必要だということになります。

これについては、「通学」と「通信」が最も効果的です。

圧倒的に不利なのは「独学」です。独学の場合、質問する相手がいませんし、いたとしても簿記指導のプロではない人に聞くことになる場合がほとんどです。分からないことが出てきたとしても自力で解決する必要があります。

また、試験範囲や会計基準の変更情報も自分でキャッチしなければならないので、勉強以外の部分に時間や労力を割く必要もあります。

このように考えると、分からないことを分かるようにする手段、試験範囲や会計基準の変更情報をキャッチする手間や時間をかける余裕がある人は独学も可能ですが、そうでなければ通学か通信が無難だと言えます。

練習量をしっかりとこなすだけの時間をとること

「復習を繰り返し、同じ問題を何度も解くこと」が簿記1級の合格に必要だということは「練習量をしっかりとこなすだけの時間をとること」が必要だといえます。

これについては最も効果的なのは「独学」です。意外かもしれませんが、たいていの方にとってそうだと感じています。

日商簿記1級の問題集は独学で学習できるように書店でも多くの種類が売られています。その中から自分に合うものを選び、しっかりと繰り返し解けば「復習を繰り返し、同じ問題を何度も解くこと」ができ、合格レベルの実力をつけることはできます

次に効果的なのは「通信」です。通信でももちろん問題集が付属していますし、模擬試験。答案練習などもあるので十分な量の問題集があります。

なぜ「独学」より不利なのかというと、「問題が多すぎる」のです。同じ問題を繰り返し解くことが大切なので問題が多すぎる場合は自分で取捨選択しなければならないのですが、これができない場合は繰り返す回数が減ってしまうことになります。

また、特に模擬試験・答案練習について言えることなのですが、問題の難易度が高すぎて「基本的な問題(正答率が高い問題)で確実に得点する」という目的には全く役立たない問題が出されます

これは本来は解く必要がない問題なのですが、解く必要がない問題を見極められないと復習が追いつかなくなってしまいます。

最も不利なのが「通学」です。通学は通信と同様の問題点があるのですが、それに加えて「通学時間」が必要になります。通学時間も勉強はできるのですが、簿記は問題を解くには電卓を置くなどの場所が必要なので、通学中に問題を解くのはほぼ不可能です。

このように考えると、同じ問題を繰り返して解きやすいのは独学です。「基本的な問題(正答率が高い問題)で確実に得点する」という目的に照らしてきちんと解くべき問題を取捨選択できるのであれば通信でも特に問題ないと言えます。

また、通学の場合は大なり小なり通学に時間がかかってしまうので、「基本的な問題(正答率が高い問題)で確実に得点する」という目的に照らしてきちんと解くべき問題を取捨選択できるとしても時間的な不利は否めません。

追記:講義・DVD教材について

独学では特に心配ないのですが、時間的な問題について特に注意したいのが「講義やDVD教材などについて」です。これらは分かりやすい面ももちろんあるのですが、「何のために見るのか」を意識しておかないと時間だけを失うことになってしまいます。

講義やDVD教材を見ることが役立つのは、先ほどの合格に必要な要素の3つのうちの「暗記ではなく理解すること」つまり「理解するため」だけです。それ以外の2つには全く役に立ちません。

また、講義やDVD教材を見るにはそれ相応の時間がかかるので、合格に必要な要素の3つのうちの「復習を繰り返し、同じ問題を何度も解くこと」に確実に悪影響を与えます。

つまり、「講義やDVD教材を見ることで問題練習の時間が確実に減る」のです。こう考えると講義やDVD教材については次のような注意点が浮かび上がってきます。

  • 分からないところを分かるようにするために活用する
  • 分かっているのであれば見ない

通信や通学で多い間違いが「講義を受けたりDVD教材を見たりするだけで勉強した気になる」「疲れているから講義やDVDだけでも見ておこうという意識で勉強する」といった行動です。

これは正確には勉強ではありません。このような行動をとってしまうくらいなら講義やDVD教材がない通信講座を受けるか独学の方がいいと思います。

まとめ

これまでの内容をまとめると、日商簿記1級に合格するための勉強方法に関しては次のように判断するべきだと言えます。

どの方法を選ぶにしても「合格するために身につけなければならない要素」は変わらないので、あくまでも「手段」という意識で選ぶことが大切です。

  • 日商簿記2級の過去問を「1時間30分以内で95点以上」取れる
  • 日商簿記2級までの内容を暗記ではなく理解しているか
  • 日商簿記2級までの問題集や過去問を最低3回解いているか

全てにYes→下へ
どれか一つでもNo→全てがYesになるまで日商簿記1級には入らない

  • 日商簿記1級の勉強を開始する時点で簿記の勉強の仕方を身につけている
  • 分からないことを分かるようにするための道具・手段がある
  • 自己管理能力が高い

全てにYes→独学も選択肢に入る
どれか一つでもNo→通学か通信しかありえない

  • 時間に融通がきく

Yes→通学も選択肢に入る
No→通信・独学しかありえない

  • 「基本的な問題(正答率が高い問題)で確実に得点する」という目的に照らして見るべき講義・解くべき問題を取捨選択できる

Yes→通学・通信がベター
No→独学がベター

もし「今のままでは合格は難しい」にたどりついてしまったら、途中のどこかで自分の特性や環境を変える努力をする必要があることを意味しています。

【簿記革命】という通信講座について

【簿記革命】は通信講座ですが、【簿記革命】は通信講座の長所だけを残し、次のような形で問題点をなくしています。

  • 簿記2級までを完璧に理解できる内容(【簿記革命2級】までの話です)
  • 理解中心で暗記を極力しないテキスト
  • 分量・内容・難易度ともに過不足ない問題集

通信講座が持つ問題点を全て解消しています。また、不必要な問題や答案練習などを省くことにより一般的な通信講座よりも価格を抑えることができています。ご検討されるといいかもしれません。

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