日商簿記1級の学習範囲と他資格との学習範囲の関係

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日商簿記1級は日商簿記2級と比べると別次元に難しい、試験範囲も格段に広がると世間では言われています。しかし、実際にどれくらいの違いがあるのかはなかなか分からないのではないでしょうか。

本日は「日商簿記1級の試験範囲」と「『日商簿記3級』『日商簿記2級』『税理士』『公認会計士』などとの試験範囲の大きさの違い」についてお伝えします。

日商簿記1級の範囲

日商簿記1級の出題範囲は「企業会計」と言われるものの全てです。ただ、「企業会計」の内容が隅から隅まで問われるというわけではなく、重要ではない部分はもちろんあります。

「企業会計」とは「財務会計」と「管理会計」をあわせたものです。財務会計は企業外部の利害関係者に対して営業活動の成果を報告する会計です。「有価証券報告書」に関する内容が財務会計だと考えて構いません。日商簿記1級では財務会計の処理そのものである「商業簿記」と会計処理についての理論的な裏づけである「会計学」を学習します。

それに対して管理会計は企業内部の利害関係者に経営管理に役立つ会計情報を提供する会計です。「予算管理」「財務管理」などが管理会計の代表例です。日商簿記1級では製造業の会計である「工業簿記」と経営の意思決定を中心に考える「原価計算」を学習します。

他資格との学習範囲の大きさの違い

次に「他資格との学習範囲の大きさの違い」についてお伝えします。

他資格は具体的には「日商簿記3級」「日商簿記2級」「日商簿記1級」「税理士(簿記論+財務諸表論)」「公認会計士(財務会計論+管理会計論)」をここでは取り上げます。

各試験に合格するための勉強のスタンス

それぞれの試験に合格するための勉強のスタンスとして次のような流れがあるので、これにしたがって考えていきます。

  • 日商簿記3級合格…日商簿記3級を70%得点する
  • 日商簿記2級合格…日商簿記3級を100%完璧に身につける+日商簿記2級を70%得点する
  • 日商簿記1級合格…日商簿記2級を100%完璧に身につける+日商簿記1級を70%得点する
  • 税理士(簿記論+財務諸表論)=日商簿記2級を100%完璧に身につける+簿記論と財務諸表論で60%得点する
  • 公認会計士(財務会計論+管理会計論)=日商簿記1級を70%得点できるようにする+財務会計論と管理会計論で(短答式70%、論文式52%)得点する

ちなみに、ここでいう「学習範囲」はあくまでも「学習範囲の大きさ」の話で、「学習内容の難易度」は考慮していないことに注意してください。

日商簿記3級を70%得点するための学習範囲

日商簿記3級の試験で70%の得点を獲得するための学習範囲というのは極めて少ないです。日商簿記3級はほとんど毎回出題される問題というのがあるので、「過去問演習」と「演習で分からなかったところをテキストで確認する」という勉強だけで70%には届きます。

この勉強範囲を1として他の検定試験と比較していきます。

日商簿記2級を70%得点するための学習範囲

日商簿記2級を70%得点するためには次の2つを満たす必要があります。

・日商簿記3級を100%完璧に身につける
・日商簿記2級を70%得点する

日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲

日商簿記3級を100%完璧に身につけるには、70%身につけるために学習する範囲のおおよそ2倍の範囲を学習する必要があります。

なので、「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1としたときの「日商簿記3級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は2となります。

日商簿記2級を70%得点するための学習範囲

日商簿記3級を100%完璧に身につけているのであれば、その時点で日商簿記2級(商業簿記)の約50%を得点する力はすでにあります。なので、日商簿記2級(商業簿記)で70%得点するためにはあと20%得点力を上げればいいということになります。

そう考えると、日商簿記2級(商業簿記)の試験で70%の得点を獲得するための学習範囲というのはそれほど多くありません。「過去問演習」と「演習で分からなかったところをテキストで確認する」という勉強だけで70%には届きます。

この部分の勉強範囲は「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」とほとんど同じなので、1と考えて問題ありません。

また、日商簿記2級は工業簿記があります。この部分については日商簿記3級では全く学習しないので0からのスタートになります。ですが、日商簿記2級(工業簿記)で70%の得点を獲得するための学習範囲はそれほど大きくはありません。「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」と同程度です。なので「日商簿記2級(工業簿記)で70%の得点を獲得するための学習範囲」は1となります。

これまでより、「日商簿記2級を70%得点するための学習範囲」は、「日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲2」+「日商簿記2級(商業簿記)の試験で70%の得点を獲得するための学習範囲1」+「日商簿記2級(工業簿記)で70%の得点を獲得するための学習範囲1」=4となります。

日商簿記1級を70%得点するための学習範囲

日商簿記1級を70%得点するためには次の3つを満たす必要があります。

  • 日商簿記3級を100%完璧に身につける
  • 日商簿記2級を100%完璧に身につける
  • 日商簿記1級を70%得点する

日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲

「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1としたときの「日商簿記3級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は2となります。

日商簿記2級を100%完璧に身につけるための学習範囲

日商簿記2級を100%完璧に身につけるには、70%身につけるために学習する範囲のおおよそ2倍の範囲を学習する必要があります。

なので、「日商簿記2級を70%得点するための学習範囲」は商業簿記と工業簿記をあわせて2なので、「日商簿記2級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は4となります。

日商簿記1級を70%得点するための学習範囲

日商簿記1級と日商簿記2級では試験範囲の広さが違いすぎるので、日商簿記2級を100%完璧に身につけていても日商簿記1級の問題は20%程度しか取れません。なので、日商簿記1級で70%得点するためにはあと50%得点力を上げる必要があります。

また、日商簿記1級は日商簿記2級までと違って得点しようとしてはいけない「捨問」が存在します。なので70%得点するといっても、それほど勉強範囲を削るわけにはいきません。

こういったことを踏まえると、「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲」は「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1とすると12(商業簿記・会計学が7、工業簿記が3、原価計算が2)となります。

これまでより、「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲」は、「日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲2」+「日商簿記2級を100%完璧に身につけるための学習範囲4」+「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲12」=18となります。

税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するための学習範囲

税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するためには次の3つを満たす必要があります。

  • 日商簿記3級を100%完璧に身につける
  • 日商簿記2級を100%完璧に身につける
  • 税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点する

日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲

「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1としたときの「日商簿記3級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は2となります。

日商簿記2級を100%完璧に身につけるための学習範囲

日商簿記2級を100%完璧に身につけるには、70%身につけるために学習する範囲のおおよそ2倍の範囲を学習する必要があります。

なので、「日商簿記2級を70%得点するための学習範囲」は商業簿記と工業簿記をあわせて2なので、「日商簿記2級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は4となります。

税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するための学習範囲

税理士(簿記論+財務諸表論)の試験範囲は日商簿記1級(商業簿記)よりやや広い程度です。

なので、「税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するための学習範囲」は、「日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲2」+「日商簿記2級を100%完璧に身につけるための学習範囲4」+「税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するための学習範囲8」=14となります。

ちなみに、税理士(簿記論+財務諸表論)は、日商簿記1級を取得した後に合格を狙うパターンも考えられます(私はこちらをお勧めします。)。この場合、「税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するための学習範囲」は、「日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲2」+「日商簿記2級を100%完璧に身につけるための学習範囲4」+「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲12」+「税理士(簿記論+財務諸表論)を60%得点するための学習範囲1」=19となります。

公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点するための学習範囲

公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点するためには次の4つを満たす必要があります。

  • 日商簿記3級を100%完璧に身につける
  • 日商簿記2級を100%完璧に身につける
  • 日商簿記1級を70%得点する
  • 公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点する

日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲

「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1としたときの「日商簿記3級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は2となります。

日商簿記2級を100%完璧に身につけるための学習範囲

日商簿記2級を100%完璧に身につけるには、70%身につけるために学習する範囲のおおよそ2倍の範囲を学習する必要があります。

なので、「日商簿記2級を70%得点するための学習範囲」は商業簿記と工業簿記をあわせて2なので、「日商簿記2級を100%完璧に身につける」ための学習範囲は4となります。

日商簿記1級を70%得点するための学習範囲

「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲」は「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1とすると12(商業簿記・会計学が7、工業簿記が3、原価計算が2)となります。

公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点する

公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点するための学習範囲は「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲」のほぼ1.5倍です。なので「日商簿記3級を70%得点するための学習範囲」を1とすると18(財務会計論が10.5、管理会計論が7.5)となります。

なので、「公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点する学習範囲」は、「日商簿記3級を100%完璧に身につけるための学習範囲2」+「日商簿記2級を100%完璧に身につけるための学習範囲4」+「日商簿記1級を70%得点するための学習範囲12」+「公認会計士(財務会計論+管理会計論)を短答式70%、論文式52%得点するための学習範囲18」=36となります。

まとめ

これまでをまとめると次のようになります。

  • 日商簿記3級を70%得点するための学習範囲:1
  • 日商簿記2級を70%得点するための学習範囲:4
  • 日商簿記1級を70%得点するための学習範囲:18
  • 税理士(簿記論+財務諸表論)で60%得点するための学習範囲:14
  • 公認会計士(財務会計論+管理会計論)で短答式70%、論文式52%得点するための学習範囲:36

この数値はあくまでも目安として見ておいてください。あと、これはあくまでも学習範囲の大きさの話で、学習内容の難易度は考慮していないので注意が必要です。

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