日商簿記1級に出題される問題の傾向と解けるようになるためのポイント

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こんにちは、簿記合格請負人の平野です。

日商簿記1級でどんな問題が出題されるかを知るには、実際に問題を見るのが一番です。しかし、これから勉強を始める人が過去の問題を見ても、難しすぎて傾向がよく分かりません。対策を立てることも難しいでしょう。

この記事では、日商簿記1級でどんな問題が出題されるのか、そして、その問題を解くにはどのようなことを意識して勉強したらいいのかについてお伝えします。

日商簿記1級の勉強をするときに意識すべきこと

具体的な科目に入る前に、日商簿記1級を勉強するときに意識すべきことについてお伝えします。

簿記1級を勉強するときは、簿記3級、簿記2級以上に考えることが大切です。「そう覚えているから」「テキストにそう書いてあったから」といったある意味「思考停止」に陥っている知識だけでは合格はできなくなっています。

考えるときには次のようなことを意識するといいと思います。

  • なぜその仕訳を切るのかを考える
  • なぜその計算をするのかを考える
  • 問題を解くときにも考える

なぜその仕訳を切るのかを考える

仕訳というのは1行仕訳の場合「借方の勘定科目」「借方の金額」「貸方の勘定科目」「貸方の金額」の4つが決まれば決まります。これは簿記1級でも変わりません。また、複数行の仕訳でもやや複雑になるだけで、勘定科目と金額が分かれば仕訳は作れるという点は変わりません。

仕訳の要素である「勘定科目」と「金額」がなぜそうなるのかをきちんと考えることが大切です。仕訳を考えるときは次のように考えます。

  1. 資産・負債・資本・収益・費用のどれが増減したのかを考える
  2. 増減した金額を考える
  3. 勘定科目を考える

1.資産・負債・資本・収益・費用のどれが増減したのかを考える

仕訳は簿記上の取引が発生したときに切ります。この取引とは「資産・負債・資本・収益・費用の増減」です。つまり、これらが増加したり減少したりしたときに仕訳を切るのです。

なのでまず仕訳を切るときに考えるべきことは「資産・負債・資本・収益・費用のどれが増減したのか」です。これが分かれば仕訳の大枠でのイメージはつかめます。

2.増減した金額を考える

次に考えるべきことは「増減した金額」です。勘定科目は後回しでいいでしょう。この増減した金額を考えます。借方と貸方の金額が一致していればあと は勘定科目を決めるだけです。もし一致していなければ何か「資産・負債・資本・収益・費用の増減」を見落としているので、それを考えます。

3.勘定科目を考える

最後に勘定科目を考えます。取引の内容を適切に表す勘定科目を考えればおおむね正解にたどり着けます。

なぜその計算をするのかを考える

主に工業簿記や原価計算の話です。計算というものは意味なく行うものではありません。必ずその計算を行う理由があります。計算の理由をきちんと考えることが大切です。理由を考えず、ただ計算方法を覚え、なんとなく使うという勉強をしていては簿記1級ではほとんど点数は取れません。

問題を解くときにも考える

きちんと考えるのはテキストで勉強しているときだけで、問題を解くときにはただの「作業」のように解く方がいらっしゃいますが、それはいけません。問題を解くときにもきちんと考えるようにしてください。

考えていたら解くのに時間がかかると思っていらっしゃる方もいますが、そうではありません。考えずに覚えることで時間の短縮を図るのではなく、考えることそのもののスピードを高めるようにしないと簿記1級では合格点は取れません。

では、具体的な科目を学習していくときのポイントについてお伝えします。

商業簿記の学習上のポイント

商業簿記でよく出題されるのは「決算整理の総合問題」「連結会計」「本支店会計」です(多いのは「決算整理の総合問題」です。)。

商業簿記の学習上のポイントは次の2つです。

  • 基本を完璧に身につけること
  • 図による解法を使うときは解法暗記ではなくきちんと理解して使うこと

基本を完璧に身につけること

商業簿記は時間がかかる問題が出題されることが多いです。全てを解答しようとするとかなりの時間が必要なので、完璧を目指すと「会計学」を解く時間が少なくなってしまいます。

時間内に完璧な答案を作成するのは不可能なわけではないのですが、会計学で4割に届かなければ元も子もないので、完璧を狙わず、「難しい問題」「解けそうでも時間がかかりそうな問題」は後回しにし、「解きやすい問題」「多くの受験生が解答できる問題」をしっかりと得点することが大切です(これは傾斜配点を味方につけるためにも重要です。傾斜配点については簿記1級の合格率に隠された2つの真実と簿記1級合格のための方法をご覧下さい。)。

このように解答していくためには、基本問題を繰り返し解き、基本を完璧に理解することです(日商簿記2級の内容までは特に完璧にすることが大切です。)。特に仕訳は完璧に理解しておくことが大切です。

図による解法を使うときは解法暗記ではなくきちんと理解して使うこと

日商簿記1級では「特殊商品売買」「工事契約」「外貨建取引」「退職給付会計」などで図を使った解法を使うことが多くなってきます。図を使うのはもちろんOKなのですが、そのときにはただの解法暗記ではなく、きちんと理解して使っていくことが大切です。

図だけで問題を解くことによって、図だけが一人歩きをしてしまうと応用が効かなくなってしまいます。そうなると簿記1級では点数を取るのが難しくなってきます。

会計学の学習上のポイント

日商簿記1級の会計学の試験範囲は、商業簿記と同じです。違うのは出題の傾向で、商業簿記は計算力を問う問題が出題されるのに対し、会計学では会計の理論的な理解を問う問題が出題されます。

会計理論の問題は出題形式は、「穴埋形式」「○×形式」「計算形式(時間がかからないもの)」「論述形式(1,2行程度)」です。分量が多い記述などはないのでしっかりと理解しておけば答案作成の練習はしなくても得点することができます。

会計学の学習上のポイントは次の3つです。

  • 手を広げすぎない
  • 理論の丸暗記はしない
  • 偶然○×問題があたってもきちんと復習する

手を広げすぎない

会計学を勉強していく上でのポイントの一つは「どこまで勉強するか」ですが、会計学の出題内容は深いので、手を広げれば切りがありません。そこで、傾斜配点を味方につけるために、「多くの受験生が解答できる問題」をしっかりと得点する意識で学習していくのが効果的です。

理論の丸暗記はしない

理論問題は丸暗記すれば正解できそうなので、つい丸暗記に走りがちです。しかし、丸暗記は「非常に大変」「少し変えられただけで正解できない」といった欠点があります。

なので、会計学であっても丸暗記はしないことが大切です。商業簿記を勉強しながら「会計処理を行う理由」などを考えていくことが会計学の勉強になるので、そういった意識で勉強していくことが大切です。

偶然○×問題があたってもきちんと復習する

○×問題は、何にも考えず適当に選んでも50%の確率で正解します。しかし、正解できたからといって理解できているとは限りません。

○×問題は、正解できることはもちろん「なぜ○なのか」「なぜ×なのか」という理由までしっかりと理解できるまで復習することが大切です。

商業簿記と会計学の時間配分について

商業簿記と会計学の2科目の試験時間は合わせて90分です。過去の出題から考えると、商業簿記の方が圧倒的に時間がかかるので、商業簿記に60分、会計学に30分という時間配分を基本に、問題の難易度や分量によって微調整を加えるという方法がお勧めです。

また、どちらから解くかですが、こういった場合は時間がかからない方から手をつけるのが鉄則です。なので、「会計学を先に解き始め、30分たって終わらなかったら後回しにして商業簿記の解答に入る」というのが最も無難な戦略になります。

工業簿記の学習上のポイント

工業簿記では、「標準原価計算」「総合原価計算」「個別原価計算」などが出題されます。

工業簿記の学習上のポイントは次の2つです。

  • 計算の意味を理解する
  • 文章を読み取る力をつける

計算の意味を理解する

先ほどお伝えしたとおり、工業簿記では「標準原価計算」「総合原価計算」「個別原価計算」などが出題されるのですが、それぞれにおいての処理の方法も多彩です。

計算の方法が非常に多いので、覚えようとしてもうまくいきません。それらの計算の意味をしっかりと理解することが大切です。なので、計算練習をするときに、計算をただの作業にしてしまうのではなく、「なぜこの計算をするのか」「この計算をした結果、何が求まるのか」を考えながら計算することが大切です。

文章を読み取る力をつける

工業簿記の本試験問題は、問題文が長く複雑で、問題文の意味がよく分からない場合が多いです。問題文の意味が分からなければ得点できないので、問題文の意味を正確に読み取る力をつける必要があります。

問題文の意味を正確に読み取る力は「過去問」と「原価計算基準」でつけていきます。過去問と原価計算基準を見比べてみるとよく分かるのですが、過去問の表現は原価計算基準とよく似ています。問題文は原価計算基準を参考に作られていることが多いからです。

原価計算基準は文章が難解で、なかなか意味が分からないのですが、この原価計算基準の意味をきちんと読み取ることができるようになれば、本試験の問題文の意味も自然と読み取れるようになってきます。

原価計算の学習上のポイント

原価計算の出題内容は、「意思決定」が中心に出題されます。

工業簿記の学習上のポイントは次の3つです。

  • 計算の意味を理解する
  • 文章を読み取る力をつける
  • 意思決定の考え方を、自分が実際に会社を経営したりしている人の立場になって考える

上2つは簿記1級・工業簿記の勉強上の注意点と同じなので、最後の1つについて解説します。

意思決定の考え方を、自分が実際に会社を経営したりしている人の立場になって考える

原価計算は「意思決定」の問題です。企業は利益を獲得するために活動しているので、その意思決定のための判断材料は「儲かるのか」です。儲かるためには「収益が増える」か「費用が減る」かのどちらかなので、このどちらかが起こるのかを判断材料に意思決定をすることになります。

こういった、判断基準を問題文から見極めることがが大切になってきます。なので、こういったことを意識しながら、「自分が経営者だったらどう判断するのか」「どういう判断が一番儲かるのか」を考えながら学習することで身につけていくことが大切です。

まとめ

日商簿記1級の問題を解けるようになるためには次のことを意識しながら勉強するといいと思います。

  • 商業簿記:「基本問題を繰り返し解き、基本を完璧に理解すること」「解法をきちんと理解した上で使うこと」
  • 会計学:「丸暗記しないこと」「商業簿記を勉強しながら『会計処理を行う理由』などを考えていくこと」
  • 工業簿記:「計算の意味を理解すること」「問題文の意味を読みとる力をつけること」
  • 原価計算:「計算の意味を理解すること」「問題文の意味を読みとる力をつけること」「意思決定の考え方を理解すること」

こういった意識で各科目の勉強を行っていけば、効率よく合格できる力が身につくと思います。

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